友人って必ずどこかが全員同じとこが似てる。
夢を見た。
いや…夢とは違う。実際にあったことのように感じる。
四方八方が暗闇の中、ティエルフールで変身したときと同じような狼状態の俺が漂っている。
何故か最初からその姿なことには疑問はなかった。
ただこの先に何かあるような…そんな気がした。
その先に手を伸ばす。ゆっくりと。
でも届かない。
駆け出して先へと急ぐと狼化しているはずの体の変身が不安定になっている。
鉄の筒のようになったり、和服のような袖口になったり、安定しない。
ならば。と、重い瞼を開けて目の前の景色を見る。
そしてまだはっきりしない視界の中、光が見えた。それに近づくにつれ自分の体の各所が鱗のようなものに覆われていく。
もう少し、もう少し。
もう一息。というところまで来たところで翼を広げて飛び上がる。
「……夢か。」
よくわからん夢だった。
何いきなりポエムっぽくなっているのだろうか。というか鉄の筒って何だ。
頭を振って眠気を飛ばしながら起き上がる。するとベット代わりにしているソファの足元から覗く視線と目が合う。
「……何してるティリア。」
こちらの世界に来てから出来た(というかくっついてきた)側近ことティリアが、顔だけをニュッと出し、じーっと俺を見ている。
「今日は私がご飯作ったんですよ…」
「ああ、そうだな。」
ベットから立ち上がるまでをじーっと顔の向きのみを変えて追ってくる側近。
「腕にしわをよせて作ったんですよ…」
「よりをかけてくれ。」
じーっと見つめてきながら俺の体をスルスルとよじ登りながら上昇してくる側近。
「水筒の中も積めておきましたのに…」
俺の顎を下からおでこで押しつつ恨みがましい声を発してくる。
…何だろう。この側近、最近害しか与えてこない。
ベリッと引き剥がしていつもの定位置に座らせて、その反対側に俺も座る。
「「いただきます。」」
手を合わせて唱和。ティリアは作る機会は(寝すぎて)無いけれど料理は凝っているし、旨い。気づけばもう側近の皿から粗方が消えていた。このまま先に食べ終わると
俺をじーっと見て俺の皿からも食料を持っていってしまう。急いでメインの肉の燻製に手を伸ばし、口に運ぼうとした時ティリアがもうフォークを置いていた。もう食い終わったのかと戦慄するが…ティリアは玄関をじーっと見ている。
「なぁ、どうしたティリ」
ドバァン!!
「ユウ!いるわよね!」
俺の燻製にチリ、ホコリというスパイスが降りかかった。
「…(スッ)」
「…(フルフル)」
飛び込んできたアホを注視しながらフォークをティリアに向けるが食欲はないらしい。俺もたった今食欲が失せたところだ。
「あ、食事中だった?ごめんごめん。」
「…(スッ)」
「え?私に?…んっ、……旨いじゃない。」
「アニエス。全部いる?」
「いや…全部は要らないわよ。ありがとティリア。」
無言で皿を片付けていくティリア。
「それで、何のようだ?」
「ああ、そうだそうだ。ユウ!」
バン!とテーブルに手を付き身を乗り出して声を高らかに宣言する。
キラキラ輝く眩しい笑顔。向こうの世界でも同級生でよく見た。こういう笑顔では決まって俺を─
「マルデキカクガイを捕まえに行くわよ!」
─何か面倒ごとに巻き込むんだ。それも、ものすごく、面倒くさいやつに。




