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コウノトリ?ああ……うん…

「最初から言ってたんだよな…今考えると。」


アニエスに泣かされ、クライブで笑い疲れていると思うけれど、気丈にも歩いて親の元を目指す幼女の頭を軽く左手で撫でてあげる。今俺の右手はしっかり幼女と繋がれているため少し窮屈だけどしょうがない。


「言ってた…て親の名前?」


幼女に左手を繋がれたアニエスが不思議そうに聞いてくる。ちなみにこの繋ぎかたを提案したのは幼女。最初は嫌。と言ってたアニエスも幼女が泣き出してしまったため渋々繋いでいる。


「ぱーぱ、まーま以外にじーじがあったろ?そのじーじが親…というか親代わりだ。」


「で…誰なのよ。」


今度の問いには無視して角を曲がると、


王宮の近くに出た。


そこにあったのはしょっちゅうお世話になる例の武器屋。


「あれ?ここ…」


アニエスが言い終わるよりも早く、両手を振りほどいた幼女が一目散に駆けていく。


ちょうどその時店の中から心配そうな顔で現れた人物に向かって一直線に。


「じーじ!」


「おお!シーリー!どこにいっとったんじゃ!」


「え?トワフ?」


「今日孤児引き取ってるって聞いてて良かった。」




「で…何で分かったの?じーじがトワフって。」


トワフに幼女改めシーリーを預けた帰り道。歩き疲れた為宮殿前の広場のベンチで休憩することにした。


「最初は男全員をぱーぱ、女全員をまーま。って言ってるかと思ったんだけどな。ギルドに行くまでに基本『うー』しか言わなかったろ?」


「……それで私のメイスって訳?」


「そ。お前はまーま呼びだったけど背中のメイスが見えた途端、じーじに変わったしな。」


「そういえばうちの国の武器は大半がトワフのとこだったっけ…」


ズゴゴ…と音をたて植物の茎のストローから飲み物を吸い上げるアニエス。


「というか大半がトワフんとこって…」


「多分トワフさんが孤児引き取ってるのは、あの人なりのしょく…しょく……」


「贖罪か?」


「そう。それ。それなんじゃないかしら。」


「…なんつうか、」


お前頭いいけど肝心なとこで外すよな。とは言わないでおく。しかし黙っているとドヤ顔がウザすぎて言ってしまいそうなので、そのまま飲み物と一緒に飲み込む。


「さて!じゃあ帰りますか!」


「元気だなー。お前。」


足を振り上げて反動で起き上がるアニエスに促されて立ち上がる。


「それにしても何でぱーぱ、まーまだったのか謎ね。」


「まぁ良いだろもう。」


「それもそうね。ぱーぱ?」


ニコッと笑い振り向くアニエス。


……こうしてれば美少女なのにな。


「そうだな。まーま。」


ここで自分のやったことを今更恥じてメイスが飛び出るからモテないんだコイツは。





『じーじ、じーじ。』


「ん?どうしたんじゃ。ああ、ユウとアニエスか。」


『ぱーぱ。まーま。』


『おお!それはしっかり覚えたようじゃな!そうじゃぞ。今や国中が認めるあっちの黒い方がぱーぱで青い方がまーまじゃ。偉うのう!』


『ぱーぱ!まーま!』





「ただいま…ティリア、軟膏取ってくれ……」


腹部に強烈な一撃を受けてそのまま帰還。食らったその場で軟膏を塗ろうと思ったのだが運悪く入れてなかった。今度からは絶対にいれておこう。


そう決意してリビングを見ると鏡で位置を確認しつつ頭にハーブを刺してる側近の姿。


「?」


こちらを向くとカクッと首を傾げてきた。ウサギかコイツは。


「ツッコミたいとこは沢山あるけど小首を傾げるあざとさアピール要らないから。取ってく、おい待て何故引っ付く。」


トテトテと近づいてくると俺の腕を退けて正面から張り付くティリア。ハーブが鼻にダイレクトに当たって凄くウザい。


「疲労回復にティリロマン。」


「……風呂に溶けるのかお前は。」


「ハーブの香り。」


「その為に頭にハーブ刺してるのか。」


家に帰っても安息の地にはならないらしい。


結局ティリロマンが離れたのは風呂、トイレと寝る時間のみだった。



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