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一難去っても難自体は決して無くならない。

「そう言えばさっき言ってた(外れの森)ってこの森の名前か?」

「能力も知らないし、外れの森も知らないってなるとマジでイセカイとやらから来たみたいだな。」

「そこまで有名なのか?」

「ああ、ガキでも知ってる。別に何か近くにあっての外れじゃないからな。」

これは少し意外だった。

「昔どっかのお偉いさんが入ったけど余りの広さと割りのあわなさからついた名前が外れの森。」

「なるほど…。」

「まぁよわっちぃ奴だったらウルフに直ぐにやられちまうから先ず入らないんだけどな。」

そう言ってノッチは楽しそうに笑った。

「そんなに強いのか?ウルフは。」

「んー俺は聞いた話だとウルフ倒して一人前。まぁ探索者になる第一歩だな。」

ノッチは元々喋るのが好きらしく、ポンポン話題が出てくる。

「探索者って…」

「ああ。ざっくり言うと王国の回りがあんまり未開発だから、国から依頼を受けて探索するのが俺らみたいな探索者ってとこだ。」

「て、ことはその依頼を受けるところがギルド。とか?」

「おう。何を隠そう俺は元兵士だったんだがこっちの方が性に合ってたからな」

それは多分合っている。ノッチを兵士にしても指揮官って感じではないし、何より命令を嫌いそうだ。

「ここでは職業が自由なのか?さっきから質問ばっかりで申し訳ないんだが…」

「別に気にしなくていいぞ。喋ってるほうがだんまりよりな。答えてやりたいが……見えてきたぞ。」


そう言ってノッチは前を顎で指す。

その先にはなんというか─王国が広がっていた。西洋式の城を中心に城下町が円形に広がり、その周囲は頑丈そうな城壁に囲まれていた。


「…すごいな。」

「さて。こっから我らの王国にご案内だ。」

そう言うとノッチは荷台のほうに移動していった。恐らく狼─ウルフの確認だろう。

「あ、ノッチ!俺も大丈夫かな?」

「んー?大丈夫だろ。多分。」

そう言いながらウルフの検分を止めない。正直凄く不安。

「まぁ兵士には俺、顔が聞くし」

そう言いながら俺があげた首無し狼をこっちに向けてニッと笑い、

「こいつも貰ったしな。」

それにつられてこちらも苦笑いを返す。

本当に、心から、

「はじめて会ったのがノッチで良かった。」

「気持ちわりいな。」

そこで二人で大笑い。


ただ不安だった異世界で気の合う人に出会う。凄い奇跡だ。ここならきっと俺の性質は無いだろう。














確かに『巻き込まれ』ることは無くなった。

ここから先には、ただ、ただただ──




「ワハハハ……ん?」

「?どうしたノッチ。」

楽しそうに笑っていたノッチが急に固まった。不穏な空気を感じたのかボーダーカウのモーも止まった。

一気に青ざめたノッチはただ一点─

首無し狼。それを見ている。

「…一人1日10体。ウルフを狩る時の制約だ。これは越えちゃいけない。越えたら探索者の資格剥奪だ。」

今荷台には数えたところ首無し含め

全部で13体。オーバーしている。

「でも俺がいるだろ?一人頭6体だったら大丈夫だろ。」

ゆっくりとかぶりを振るノッチ。

「問題はこいつだ。こいつの名前はウォーウルフ。こいつは…狩っちゃいけないんだ。一体も。」

こっちまで釣られて青ざめる。さっきまでの楽しいムードなんてない。

「じゃ、ここで捨てよう!」

「…無理だ。見えるか?」

王国を指差すので荷台からは出ずに

そちらを見ると明らかに兵士といった感じの男が二人歩いてくる。方向はもちろん、こっち。

「…捨ててもバレる。」





『巻き込まれ』なんて目じゃない。

きっと異世界にきて俺の性質は

『トラブル回収』に進化したんだろう。








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