決闘は白手袋から。
私事で申し訳ないのですが暫く土曜の更新はなくなり、水曜のみの更新になります。その分長く、出来るだけ面白くしていくつもりですので宜しくお願いいたします。(´・ω・`)
食事。それは生きる上でとても重要な事だ。栄養の補給だけでなく大勢で食べる食事はとても楽しく心なしかいつもよりも美味しく感じるものだ。だからhillの食事中左右からの圧力に戸惑っている場合ではない。…断じて。
「どうしたのよ。冷めるわよ?」
右隣から金髪。
「ご主人。お口に合いませんでしたか?」
左隣から白髪。
…問題はこの二人。
時間を少し戻して昼前。ギルドに目ぼしい仕事がなかったためティエルフールに行った全員で食事にしよう。という話になったのだがそこでいつも通り俺の右隣に座ったアニエスを見て心なしかイラッとした雰囲気を醸し出したティリアに何かを感じ取ったアニエスまでイラッとした雰囲気を出し始め、言動には出ていないものの俺の回りだけピリピリしている。
『ノッチ。助けてくれ。』
向かいに座ってシスティとヒソヒソしているノッチに小さく手振りで助けを求めるが口をパクパクとさせて
『頑張ってくれ。』
とだけ返してきた。何を頑張るんだ。
「というかシスティはどこに住んでるんだ?」
「そういえばそうね。」
「私は今はギルドで貸し出されている下宿に泊めさせてもらっています。手続きの時から身の回りの整備などはノッチさんに助けてもらいながらですけど。」
「「「へぇーーーーー。」」」
「…何だ?」
ノッチは凄く不思議そうにこちらを見返してくる。
「そういえばギルドのメンバー登録の時に知ったのですが、このチームのリーダーはどなたなのですか?」
システィが空になった全員の皿を重ねながら話題をふってきた。
「あーっと、今は私ってなってるけど。」
アニエスが左を見ながら言いづらそうに答える。
「リーダーだと何かあるのか?」
「特に何もないけど…チームの最終的な決定権みたいなものがあるくらい。まぁそんな感じね。」
「へぇ…。」
俺も少し人に気を配りそう返しておく。
「そ、それはもういいのよ!それよりティリア!あんたのその腰の剣見たことないんだけど。」
リーダーの話題で一回暴走した白髪の少女に無理矢理話題をふるアニエス。
「これはご主人に作っていただいた物です。それと剣ではなく刀と言うのが正しい名前です。」
刀に手を添えて話すティリアはあまりよくわからないがどことなく嬉しそうにしている。
「ふーん…で、あんた強いの?」
「ご主人よりは弱いですが…」
「引き合いが何で俺なんだよ。」
「というか…ユウ。あんたどうやって勝ったの?」
そういえば言ってなかったな。と事実を口にするより前に
「私は後ろからご主人に抱きしめられて敗北しました。」
横から爆弾が投下された。
「ティリア。それだと語弊があるだろ?」
「事実ではないですか。私の必殺の一撃をかわし、剣を折られもがく私を後ろから激しく抱いたのはご主人ですよ?」
「止めろ!」
「腕の中で必死に抜け出そうとする私に敗北を植え付けたのはご主人ではないですか。」
「だから止めろ、俺が暴行を働いたみたいに言うんじゃない!」
「ユウ…」「ユウさん…」
「ティリア!訂正しろ!この空気を何とかしろ!」
「ユウ…ちょっと戦闘訓練しましょう。私はメイス。…あんたは素手よ」
「お前は俺に死ねと?!」
何故か御立腹のご様子のアニエス嬢から遠回しな死刑宣告。
「ご主人、私が代わりに。」
「その前にこの空気を何とかしろといったはずだ!」
「上等よ!あんたのあとにユウの処刑!さぁ来なさい!」
「ご主人、見ててください。必ず勝ちます。」
そう言い残しギルドから出ていく金と白の髪。
取り残された俺。
「ノッチ、システィ。」
とりあえずの弁明を残った二人に図る。二人はいつの間にか飲み物のおかわりをたのんでいたらしい。
「…俺は、無実だ。」
二人ははゆっくりと飲み、コップを置き俺の後ろにまわると俺の肩に手を置き
「「…知ってる。」」
「…ありがとう。」
優しさがとても心に染みた。




