正しいRPGに大切なもの。
それは僕たちが一日の仕事を始める少し前の事だった。
「あのさー、俺思うわけよ。
このゲームの中に入れたら、俺たちって無敵じゃね?」
唐突に、友人がそんな事を言い出した。
「相変わらず唐突なヤツだな」
この友人は時々、いきなり変な事を言う癖がある。
まあ、僕にも似たような癖があるから、一概に彼を否定できないが。
「だってさ、ゲームの中なら俺ってば世界でも屈指の戦士職だし、
お前くらいの魔法使いもそうそういないぜ?」
「そりゃあ、確かにかなりやりこんできたからな」
「だろ? 俺らコンビに勝てるヤツなんてそうそういねえだろ?」
「そう思うのも分かるけどさ。
けど、冷静に考えなよ。僕たちがそのゲームの中に入ったら皆が苦労するだろ?」
僕がそう告げると、彼は急に真面目な顔で頷く。
そして、どこか落胆したように呟いた。
「ま、確かにそうだわなぁ。コレも運命か」
「今更そんな事言っても仕方ないだろ」
「だよなぁ……。って、もうそろそろ仕事の時間か」
時計を見ると、確かにもうそんな時間だった。
「ああ、今日も一日頑張ろう」
僕がそう言うと、彼は吹っ切れたように立ち上がった。
「うっし、今日も働くぞー!」
その言葉に僕もなんだか元気になった。
それでも怠け癖のある彼には一言言わなければならない。
「ああ、さぼるなよ? それと、分かってるだろうけど私語は厳禁だぞ?」
僕の言葉に彼は苦笑した。
「わーってるよ。仕事は完璧にこなすさ」
その後も似たような会話をしながら職場に向かう。
さぁ仕事だ。
え、僕たちの仕事かい?
それはね。
NPCさ。
「ようこそ旅人さん。ここはミュロンドの町です」
「武器は買っただけじゃダメだ。ちゃんと装備しないと意味がないぜ?」
「ようこそ旅人さん。ここはミュロンドの町です」
「ようこそ旅人さん。ここはミュロンドの町です」
「武器は買っただけじゃダメだ。ちゃんと装備しないと意味がないぜ?」
………………。
…………。
……。
おわり。
勢いで投稿した。
今は後悔していない。
でも明日には後悔している。
思いついてから完成まで20分経ってなかった気が……。
そんな作品です。
出オチも甚だしいですが、楽しんでいただけたでしょうか?
既にお分かりでしょうが、
タイトルの『大切なもの』は『物』ではなく『者』です。