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追放された最弱回復魔法師の力を受け継いだ俺、 回復魔法だと思ったら即死魔法でした ~気づいたらダンジョン魔王に~  作者: マリアンナイト


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1話 廃墟のダンジョン


 廃墟と化したダンジョンが、そこにあった。


 しかしその最深部には、

 静に最期を迎えようとしていた魔王が眠っていた。


 かつては冒険者たちが力試しにそこへ群がり、

 宝と名声を求めて命を削った場所。


 しかし今では――


 魔物は現れず、宝も盗り尽くされてしまった。


 誰も訪れなくなったダンジョン。

 わずかに住み着いた魔物だけが、

 たまに発見されるだけだった。


 誰も来ない。

 誰にも必要とされない。


 廃墟のダンジョンは、今の俺に重なって見えた。


 俺の名はサンク。


 この世界では、十五歳になるまでに

 誰もが魔法や能力に目覚める。


 剣士の才能。

 魔法使いの適性。

 神の祝福を受けた治癒師。


 誰もが、その能力を目に見える形で持っている。


 だが――


 俺は何も現れなかった。


 十五歳になっても。

  

 何ひとつだ。


 そんな人間は、この世界にはほとんどいない。

 

 だから、周りの視線はいつも生温かかった。

 そして、どこか冷たかった。


 冒険者の仲間にも誘われない。

 一緒に行ってもお荷物になるだけだからだ。

 

 当然、冒険者ギルドにも登録できない。

 能力のない人間に仕事などない。


 厄介者。


 ひそひそと影でののしられる。


 だから俺は、冒険者になるため

 ここに来た。


 誰も管理していない

 この廃墟のダンジョンに。


 一人でダンジョンに行くしかなかった。

 そんなことは分かってる。


「こんな感情を分かってもらえる仲間すらいないんだからな」


 心の声が漏れ出していた。


 ギルド管理のダンジョンには入れなかった。

 門兵に門前払いされる。


 それでも、


 俺はいつか、見下してきたやつらをギャフンと言わせたい。

 見返したい。

 そう思ってきた。


 めぼしい宝が残っている訳はない。

 そんなことは知っている。


 でも、弱いモンスターになら、

 なんとか勝てるかもしれないじゃないか。


 そして少しずつでも良いから、強くなりたかった。


「やってやる!」


 落ちていた木の棒を拾い、

 ダンジョンの中に入った。


 でも、手の震えが止まらない。


 もし本当に魔物が出てきたら?


 少し前、仲間のお情けで

 訓練用のダンジョンに入ったことがある。


 だが俺は……


 何も出来なかった。


 襲ってくる魔物に恐怖で体が固まる。

 仲間に助けられるだけだった。

 

「手に持っている武器を振ればいいんだよ。

 こうやってさ」


 簡単そうに言いやがる。


 運動神経の良い奴にかぎって

 運動音痴のことを理解しない。


 頭の良い奴は、知ってて当たり前だと思ってる。

 そして上から目線で話してくる。


 俺は、武器を振ってみた。

 だけれどタイミングが分からないんだ。


 何度練習したさ。


 ……でも、できないものはできないんだ。


 それでも信じた。


 窮地に陥れば人は潜在能力を発揮する。

 俺にも能力が目覚めるかもしれない。

 本当にそう思ったんだ。


 だからここにいる。


 一歩。


 また一歩。


 暗いダンジョンの中をひとり進む。


 魔物の姿はない。


 それなのに、じりじりと汗が頬を伝う。

 足は震え、体は鉛のように重く感じた。


 この恐怖からは逃げられない。

 物音がするたびに、体が強張る。


 目の前に崖が現れた。


 細長い路は先が見えない。


 落ちないように気を付けながら進む。


 眼下には、深い暗闇が続く。


 松明の炎が揺れる。


 下から風が吹き上げてくる。


 風は俺を拒んでいるように吹き付ける。


 なのに、なぜか体が引き寄せられる気がした。


 その瞬間。


 足元の地面が崩れた。


「うわーーっ!」


 俺はそのまま、崖下へ転がり落ちた。


 この先、

 俺の運命を大きく動かすことになるとは、

 まだ思いもしなかった。



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