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#046 「観測者の夜明け」

夜が明け始めていた。

六人は校舎裏の坂道を歩いていた。

風は冷たく、空は薄い灰色に染まっている。

誰も言葉を発しない。

それでも、誰もが同じ方向を見ていた。

坂の上——久遠野の街が、静かな光に包まれていた。

家々の屋根が薄く輝き、遠くの海が鏡のように光を返す。

はるなが立ち止まり、空を見上げた。

その瞳に、淡い朝日が映る。

想太が隣で小さく息を吐いた。

「……綺麗だな。」

けれどその声さえ、すぐに風に消えた。

要がポケットに手を入れ、ぽつりと呟く。

「俺たちの沈黙も、観測されてるんだな。」

その言葉に、美弥が笑う。

「それでも、選んだのは私たち。」

隼人といちかが視線を交わす。

言葉はいらない。

沈黙の中にこそ、確かな答えがある。

太陽が、ゆっくりと地平から顔を出す。

六人の影が長く伸び、やがて重なっていく。

遠く、祈りの鐘が鳴った。

巫女の二人——蒼羽と真凜が、校舎の屋上で手を合わせていた。

彼女たちもまた、この光の意味を感じ取っていた。


——観測は祈りに変わり、

——祈りは光となった。


六人はただその光を見上げ、

新しい朝の中に立っていた。

それは“始まり”ではなく、沈黙が世界を繋いだ証拠だった。

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