熱出ました
「熱?」
高野は朝の体調不良に困惑した。
昨夜確かに身体にだるさはあったが疲れが出たのだろうと
あまり気に留める事はなく早めに横になったのだが…
この朝のだるさと身体のほてりで数年ぶりに体温計の
お世話になった。
「うっ…38.2分…か」
会社は無理の様だな…とため息をつき坂田部長に
今日は休み医者に行った後に再度連絡を入れる旨を伝えた。
「熱なんて何年ぶりだろう…」
医者が開くには時間はまだ早い。
キッチンに行きコップの水を飲みソファーに腰掛けると
一気に身体の力がぬける感覚に襲われる。
まずいまずい、とベットまで戻りもうひと眠りしようと
横になった。
どの位たったのか身体のだるさとほてりで目が覚めたので
高野は再び体温計を脇に挟んだ。
「まずいな…身体が動かない…」
ピピッと音がなったのを確認して体温計を覗き込むと
「39.4分…あちゃ~、やっちゃったな~」
医者に行くにも熱を少しでも下げないと行けそうにない。
「解熱剤あったかな…」
ふらつく身体をなんとか動かし薬箱にたどり着いたが
あいにく薬は切れてしまっている。
「……はぁ~…」
一気に力が抜けてしまった。
冷凍庫から保冷剤を1つ取りソファーに横たわる。
「ヒロに頼むか…」
携帯を取り浩章にメッセージを送った。
「お邪魔します…」
有崎は高野の家の鍵を開け中に入った。
浩章から連絡があり”兄貴を助けてくれ”と学校の近くで落合い
鍵と薬を渡された。この後時間が取れなくて行けないから!
頼む!と。幸い予定は無かったのでOKしたが
高野に会えることに心がざわついた。
家の中はやけに静かだ。
「寝ているかな…」
キッチンに買った物を置こうと向かうと
ソファーに苦しそうに横たわる高野を見つけた。
「高野さん!」
そっとおでこに手のひらを当てると熱が伝わってくる。
「熱い…」
有崎は持参した氷のうを用意し高野の額にあてがうと
高野は目を覚ましたがもうろうとしている。
「ん…ヒロ…?」
高野は目を開けられず名前を呼んだ。
「有崎です」
え?とうっすらと目を開きどうして?と聞いてくる。
「ヒロから連絡来て代わりにと頼まれました」
「そうか…ごめんね。移ると困るから薬置いて帰って…
ありがとう、助かった…来てくれて嬉しい…」
高野は弱々しく言葉を発し弱々しく笑う。
その姿に有崎の鼓動は早くなり高野を抱きしめたくなる
衝動をグッと堪えそっと高野の頬に手をあてた。
「こんな高野さんを放ってはいけませんよ…
俺は大丈夫なので看病させてください。」
高野は有崎の顔を見て弱々しく笑いながら”手”冷たくて
気持ちがいい…と有崎の手の上に自分の手を重ねた。
「……くっ…////]
思わず小さい声が出てしまった有崎は下を向き耐えるしか
なかった。これが自覚のない人たらしなのだろうか…
有崎はこの状況に耐えられるのか…心配になってしまった。
軽く食事をさせて解熱鎮痛剤を飲ませると何とか38度台
まで熱も下がりふらつく高野を医者まで連れていく。
「インフルエンザA型だって…」
診察室から出てきた高野はぐったりして言う。
薬を処方してもらい帰宅。
帰宅途中、高野は移るからと気にしていたので
有崎は最近俺もかかっているので大丈夫です!
と高野を黙らせた。
自宅に帰って高野をベットに寝かせると
疲れてしまったのか直ぐに寝てしまった。
「ふぅ~」
何か色々と疲れる。余分な疲れの方が多い気がする。
「心臓に悪すぎ…」
ソファーで一息ついていると携帯が鳴り浩章から
着信だ。
「兄貴どんな感じ?」
「うん、インフルエンザA型だって!」
「マジか~、俺A型なって無いから行けないわ~
すまん!冬真よろしく!」
「……ヒロ…俺色々と辛いわ」
「え?なんかあった?大丈夫?」
「高志さん、可愛いすぎて…尊い」
「なに~、のろけかよ!心配して損したわ!
兄貴のインフル移されて寝込んでしまえ!
で、兄貴に看病してもらえ!」
ははは、と笑って無理はしないでよ!と心配して
くれる浩章。
こんな話が出来る友達はありがたい。
浩章に男同士なのに気にしないのか?と前に聞いた事がある。
俺も前に冬真と似た感情を兄貴に持った事があるから…
と言っていた。今は違うから安心して~とも…
まさか自分も同性を好きになるとは思ってはいなかったが
高野は同性とか関係なく魅了されてしまった。
何故かはわからない…あの笑顔を見た時から…
浩章にも何があったのか後で聞いてみようと思う。
君の瞳に映る笑顔 ご覧いただきありがとうございます。
次回は火曜日「買い物」を予定しております。 あらかると




