出会いは
有崎が初めて高野を知ったのはインターンで高野の会社
に行った時だった。
有崎は営業部に配属になり弓月に指導を受けていた。
ある日、営業部に資料を届けるように頼まれた企画部所属の
インターンの女子が迷子になり困っていた所を高野が
気付き一緒に届けに来たのである。
「遅くなりました~コウキファクトリーの資料です。
芹澤がインターンに任せてました。後で言っておきます」
「ああ、ありがとうな~、すまなかったね」
高野の言葉に弓月がインターンの子に謝ると
弓月に話しかけられるた子は赤い顔をして下を向いてしまった。
これは弓月に対する女子の通常の反応だ。
高野は弓月を見る。
「なんだよ、高野!何が言いたい?」
「先輩、その顔犯罪です!自重してください」
「はあ~~?」
弓月は高野を捕まえて頭をぐりぐりしていると
それを営業部の皆で囲みワイワイしていて楽しそうだ。
有崎は高野から目が離せなかった。
スーツ姿がきまっていて優しい笑顔…
人を引き付ける何かがある。何故だかわからないが
話してみたい気持ちが強く湧いた。
「高野~、丁度いいからこの案件頼むわ」
奥の机から声が掛かる。
「部長、俺結構いっぱいいっぱいで、」
「そうか、忙しくて結構!で、これね」
うっ…とたじろぐ高野だったが
「……お受け…致します。…」
高野は部長に頭が上がらない。ふぅ~と言い
資料を受け取ってガックリしている。
他の人々からも俺のも頼むな~の声に無理でーす
と答えていた。
その一瞬の事だが高野の事が気になりどうしても
話がしたいと強く思うのであった。
余談だが高野は同僚の芹澤にインターンの子と二人分の
飲み物をおごらせた。(当然! 高野談)
高野家で三人軽食を取っている時に
「実はインターンの時に高野さん…高志さんを見ました。」
「そうなの?企画に来たっけ?」
「いえ、営業部です」
「あ~、そっか、弓月先輩に指導されたか…」
「はい」
会話についていけなくて浩章は何々?と聞いてくるが
何でもないと言われ浩章はあっそとふてくされていた。
仲の良い兄弟を見て有崎は複雑な気持ちになったのと
同時に浩章が羨ましく思えた。
「たまたま高志さんが営業部に来て弓月さんに頭を
ぐりぐりされていましたよ」
と楽しそうに話す有崎に それはいつもの事だと嫌そうに
話す。
「あの先輩はスキンシップ過剰だから気を付けてな!」
「え?あれは高志さんだけだよと他の人は言ってましたが?」
なに~!と高志は憤慨した。
兄貴遊ばれてんだ~と楽しそうに浩章は笑いながら
有崎に向かい
「ねえねえ~ありありと冬君、どっちがいい?」
「冬真で!」
浩章の問いに即答の有崎だった。
え~っと言う浩章に”とうま”と念を押していた。
「俺はヒロでいいからね~」
「うん、ヒロ!」
そこも即答かよ!とやいやい言っている2人の会話を
聞きながら優しく微笑んで見ている高志だった。
「じゃあね~」
「お邪魔しました」
有崎と浩章は一緒に帰ることにした。
というか有崎が帰るのに浩章が合わせた感じだ。
「とうく…冬真はさ、兄貴のこと好きだよね?」
帰り道、浩章が感じた事を有崎に聞いてくる。
「え?……尊敬してるよ…」
浩章の言葉に胸が高鳴る。気付かれた?
「……そう?俺さ、兄貴には幸せになって欲しい
だよね~ありきたりな言葉なんだけどさ~」
そう話す浩章は少し悲しそうな顔をして話し出したので
駅前のカフェに誘い話を聞くことにした。
「うちの親は共稼ぎでさ、いつも俺の面倒は兄貴が見てくれた。
でもさ、親がいる時はあれやこれや言ってくるのよ…
親もいる時くらいはしっかり見なくちゃ、と思って
くれてたと思うけどね~ちょっとズレててさ、
優しい親なんだけどね~」
結局、やりたい事も中々出来ないで我慢する事が多くなった。
高志は弟に色々させたいと、親の要求を一人で背負い
兄が盾になる事で浩章は自由にさせて貰っていた。
相手の言いそうな事、考えてそうな事を察して行動する
そこに高志自身の意思や感情は無い。
「兄貴は自分の”意思”を表に出せなくなっちゃった…
というか、意思が分からなくなっちゃったぽい…
自分の気持ちだけ…分からない…
親が気付いた時には兄貴は本当に感情が出せなくて
親は間違えたって…後悔してるよ…今更なんだけどね」
浩章は悲しい顔をしている。
「ヒロが責任を感じる事はないじゃないの?」
「そうなんだけどさ、天然、鈍感、いじられキャラ
自覚のない人たらし的な性格にしてしまった事が
引っかかって…」
なんか酷い言われ様だが…本人は心配しているのだろう。
「なんでそれを俺に?」
「兄貴、楽しそうだった。凄く優しい顔してた、
なんか俺まで嬉しくて!兄貴は気付いてないと
思うけどね~」
有崎の顔がぶわっと赤くなる。嬉しすぎて…まずい
思わず下を向いてしまった。
「ふ~ん、やっぱり~、冬真も兄貴にそっくりなのな」
と笑う。
「え?天然、鈍感、人たらし…?」
「え?そこ?」
浩章はお腹を抱えてわらっている。
「なんかね~雰囲気というか、オーラというか、
人を惹きつける力かな~そんな感じがね」
ああ、おかしいと笑いながら言う浩章の笑顔は高志に似て
優しい表情で兄弟なんだなと思わせる。
「兄貴あんなんだから冬真がグイグイ行かないとダメだよ!」
とアドバイスまでして何かあったら連絡ちょうだい!
と連絡先を交換した。
君の瞳に映る笑顔 ご覧いただきありがとうございます。
次回土曜日「熱出ました」を予定しております。これからもお付き合いいただけたら幸いです。
あらかると




