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想い


「22時も回って疲れているだろうからこの辺で

 お開きにするか」

弓月は高野を見ながら終わりを告げる。

クッタリしている高野だが今回は弓月のサポートも

かなりあったのでいつもよりはまともであった。

「助かります!今日はありがとうございました」

高野はもう一度一礼した。

ワイワイと店の外に出て お疲れ~と帰っていく。

「お疲れ、また一緒に仕事しような!」

と言いながらじゃあなと手を上げ帰る弓月に

高野はハイハイと言ったように手を上げ答えた。

「ふぅ~、疲れたな~」

いつもならこの後にもう一軒行くのだが

流石に疲れている。どうしようかと思案していると

「高野さん!」

と声を掛けてくる有崎の姿があった。

有崎は高野の事が気になり戻って来ていた。

「あれ?有崎君!どうしてここに?」

「オレもここで飲んでいたんですよ!実は席も隣

 だったんですよね、高野さんの名前が聞こえたから…」

有崎は高野が枯れていると聞いて悲惨な状態かと

心配していたが少し安心した。が、枯れるとは?

疑問があったので後で聞いてみようと思う。

「そうだったんだね、…有崎君はこの後時間はある?

 せっかくだし良かったらもう一軒いかない?」

有崎と会ったのだから枯れている訳にはいかないだろうと

ふん!と背筋を伸ばし有崎にたずねた。

「え!行きたいです!」

有崎も嬉しそうに答えてくれたので頑張れ俺!と踏ん張る。

高野は行きつけの店まで有崎と10分程歩くと

外見はカントリー風な作りの店に着いた。

看板には ”タップ” と書かれているショットバーだ。

有崎は興味津々店の外装を見渡していると

「どうぞ」

と高野がドアを開ける。カランカランとベルの音がして

中に入るとカウンターの奥にいるバーテンダーが飲み物を

作りながら”いらっしゃい”と声を掛けてくれる。

薄暗い店内には数人カウンターに座っている客と3席ほどの

テーブル席に2人座っていて和やかな感じだ。

「よう!浩志、連れがいるなんて珍しいな」

バーテンダーの彼から声が掛かる

有崎は軽く会釈をして中に入ると常連さんらしき人

からも高野に声が掛かる。

「2軒目なんだ、なんか作ってくれ」

高野と有崎はカウンターに座った。

「とてもいい雰囲気ですね!」

有崎は周りを見渡し呟く。

バーテンダーが先客の飲み物を作り終わり有崎達の

所へくる。

「何を飲む?彼はカクテルとかどうかな?」

有崎は、はいと答えさっぱり系で!とリクエストした。

高野も同じで!と言うとバーテンダーは首をかしげる。

「ん?軽めか?今日は枯れてる?」

ハハっと笑いOKと作りにいった。

高野は不機嫌そうにほっとけと言う。

また、枯れるワードが出てきて有崎は高野に聞いた。

高野は”力を出し切り疲れて動けない様子”と

まるで辞典を引いた様な口調で教えてくれた。

「高志は本当に枯れた様にへたばるからな~

 笑える程に,その”枯れる”は高志用語だよ」

バーテンダーは笑いながらドリンクを作ってくれている。

「え…今日は大丈夫なんですか?さっき枯れてるとかなんとか」

有崎は恐縮しながら高野を見るが高野は大丈夫だよと

笑ってみせた、が…目にはくまが出来ている。

「君の為に頑張ってるから楽しませてやってくれないか?

 はいどうぞ、モスコミュール!」

バーテンダーは言いながらドリンクを出してくれた。

「篤!余計なこと言わない!こいつ高校からの同級生なんだ」

カウンターの奥からよろしくと挨拶する。

”君の為に”の言葉に有崎は鼓動が早くなるのを感じ

モスコミュールを口に含み火照った顔を酒のせいにした。

こんな小さな言葉も有崎は嬉しく思う。

”タップ”での時間は心地いい。高野と篠田篤(しのだあつし)

の掛け合いや常連さんとの絡みも楽しくお酒も美味しいので

ついつい飲み過ぎて良い気分になってしまった。

楽しい時間は早く感じかなり遅くなっていた。

「ごめん、調子に乗りすぎた」

常連さんに言われてトイレから戻った高野は

有崎を見ると気持よさそうに寝てしまっている。

「…あらら~」

「高志、有ちゃんの家知ってるの?」

「有ちゃん?」

高野が篤を見るとニコッと笑顔をかえす。

有崎を起こして見るものの起きそうにない。

高野は首を横に振り篤はそっか~と呟く

「高志、責任取って面倒みろよ~」

篤の言葉にそうだよな~と有崎を見ると

心なしか笑みを浮かべて嬉しそうだ。

楽しかったならいいか、と高野も微笑む。

後ろでいたずらぽく笑う篤がいることに高野は

気付かずにいた。




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