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新たな気持ち




次の朝、高野はベッドから中々起きられずにいた。

「…う、動けない…」

ここ最近の心の重圧が体にも出てしまいこの有様だ。

昨日はあの後、食事に行き楽しく気恥ずかしい時間を過ごした。

有崎は卒業が近い事もあり何かと忙しいようで、高野は

予定もなくゆっくりと日曜の朝を迎えていた。

昨日の事を思い出し、顔が火照る。

「ふう~、今日はゆっくりとするか…」

高野にとっては初恋になる訳で不安材料は山積みだ。

不安と言えば中嶋の事だが、昨日の話しの中で同性の彼氏の

家に引っ越しする事が分かり内心ホッとした。それと同時に

中嶋への感謝の気持ちが強くなる。

中嶋を知っているのですか?と聞かれて曖昧な返事を

してしまったが大丈夫だろうか… それは良いとして…

「今まで通りでいいんだよな…いや、冬真の喜ぶ顔は見たい。

 ん~~!」

携帯を取り出し検索を始める。28歳にもなってこの慌てぶりは

我ながら情けない。

デートスポット、キャンプ場、アウトドアイベント情報、

同性と付き合う注意点、そして夜事情…

「うっ……だよな………」

色々と考える事も有りそうだ……

携帯を置きため息をついた。



「美味しい!」

平日、高野の帰宅が早い日は有崎がご飯を作ってくれる。

「ありがとう、助かるよ」

「高志さんは普段何を食べていますか?」

「忙しいとコンビニかな…時間があれば簡単な物は作るけど」

高野は美味しそうに料理に箸を進める。

「俺も似たような感じですね。ここに来ると新しい物に挑戦

 出来て楽しいんですよ」

「そう言って貰うと嬉しいよ」

「…今度、ヒロも呼んでいいですか?…ヒロには色々と助けて

 もらったから…」

有崎は少し寂しそうに笑う。

「冬真?」

「ヒロから高志さん取っちゃったし…出来れば今まで通りに

 付き合いたいんです」

「ありがとう、そうして貰うと助かるよ」

高野は微笑んだ。有崎も微笑み返す。

「そうだ、今度の土曜日忙しいだろうけど少しでも時間

 取れないかな?」

「ん~、夕方からなら空くと思います」

「出来れば食事に行きたいなと思って、次の日卒業式だろ?

 その日は会えないだろう…」

「そうですね…その後旅行に行くから会えないし…」

寂しそうな有崎の頭をポンポンとしながら

「その後は何時でも会えるし、入社すれば毎日会えるよ」

そうですね、と有崎は笑った。幸せな時が流れる。

「お邪魔しました…」

「うん、ありがとう。また連絡するよ」

「………ぃ」

有崎は寂しそうに下を向く。心の中は帰りたくはない…

「…冬真?」

高野は有崎に唇を重ねた。

ふたりの想いが熱をおびる…有崎は抱きつき

「…連絡待っています…」

高野も抱きしめ頭に唇を落とす。

「うん…送ろうか?」

「いえ、別れたくなくなるからいいです…」

そう…と高野は言いながらもう一度抱きしめた。

有崎が帰った後、部屋の中が寂しく感じる。

「ひとりはこんなに寂しかっだろうか…」

胸には有崎の温もりが残っている。

毎回思う。帰したく無いと。だが、引き留めたらタガが外れて

しまう… 冬真を大事にしたい…

こんな事…中嶋に言ったら”覚悟が足らない”と怒られるの

だろうか… ため息と共に苦笑いをしてしまう。



土曜、有崎は友人達と買い出しなどに追われていた。

楽しくも有り寂しさも有りだが、この友人達とは今後も良い

付き合いになりそうだ。

夕方5時過ぎには各々明日の用意の為解散となった。

「高志さん、終わりました。どうしたら良いですか?」

有崎は直ぐに高野へ電話を掛けショッピングモールで待ち合わせ

をした。

「食事の時間まで買い物しよう」

高野は7時に予約がしてあるからと時間まで小物など見て回った。

時間になり店に移動した高野はフレンチレストランの扉をあけた。

「ここは…」

今人気の高い店で気軽に本格的なフレンチが楽しめると予約が

中々取れない所だ。

「7時から予約をした高野ですが」

「ようこそお越しくださました。こちらにどうぞ」

ウェイターはふたりをテーブル席に案内し事前に伝えておいた

メニューの確認をし”ごゆっくりどうぞ”と微笑んで去っていった。

「高志さん、良くこの店の予約が取れましたね」

有崎は感動している。

「篤の知り合いが経営しててね、頼んだんだ」

「そうなんですか、来たかったので嬉しいです」

美味しい料理とワインに会話も自然と弾む。

有崎は少し考えて

「相談があるのですが…」

明日の卒業式に付けるネクタイで悩んでいると言う。

「俺ので良かったら見てみるか?」

「いいですか?」

「もちろん」

食事を終えて高野の家に向かう事になった。


「このネクタイ…綺麗ですね…」

早速ネクタイの吟味をしていた有崎は鮮やかな青のネクタイを

手に取った。青の中に黒の細かいストライプが色を引き締め

派手さを落ち着かせている。

「うん、似合うよ」

高野の言葉に嬉しそうに微笑む。

高野はキッチンに行き先程ショッピングモールで買った

お揃いのカップにコーヒーを注ぎ有崎の前に出した。

「ありがとうございます」

嬉しそうに受け取る有崎に高野はキスをする。

有崎もカップを置き高野に応じる。優しいキスから徐々に

深いキスに…心の芯が熱くなる。

長いキスの後、有崎の頭を胸に抱く高野。

「…高志さん…」

「ん?」

「…今日…泊まっても…いいですか?…」

「…冬真…」

「帰りたくない…」

寂しそうな目を向ける有崎に高野の心臓が高鳴る。

「うん、いいよ…でも明日卒業式だろう…大丈夫?」

「朝早く帰ります…だから…」

「分かった…俺も一緒に居たいから…」

有崎は嬉しそうにコーヒーカップを手にした。

高野も一緒に居られる事が嬉しい。

お揃いのカップで飲むコーヒーは格別に美味しかった。



君の瞳に映る笑顔  ご覧いただきありがとうございます。高野も有崎も”大好き”全開です。

次回は土曜日「想いが一つに」をお送りします。遂に… 次回もお楽しみ頂けたら幸いです。

                あらかると


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