表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/36

気付き


2月に入り卒業まで残り1か月半となった。

最近有崎から高野の話が出ない事に中嶋は気になっていた。

「最近は高野さんと会っていないの?」

「ん?うん、なんか忙しいみたいだし、俺もバタついてるしね」

「……冬真、本当の事教えて…そんな寂しそうに笑わないで…」

有崎はえ?と目を見開いた。そして下を向く。

「中嶋には隠せないな…」

「どうした?」

「俺、高野さんに好きな気持ちを隠せなくなっちゃって…

 今は落ち着くために会っていない…」

「そうなんだ」

「うん、自分から今を壊したくないからね…」

「高野さんは冬真の事どう思ってるの?」

有崎はゆっくりと息を吐き寂しい顔をする。

「たぶん、”話の合う後輩”だと思う…高野さん心に傷があって

 好きと言う感情が分からないみたいだし…」

悲しそうに話す有崎を優しい目で見る中嶋。

「冬真、好きな気持ちは時間がたっても消えないよ…

 今のまま待っていたら何も変わらないし辛いだけ」

有崎は黙って下を向いてしまった。

「冬真、同性を好きになるってとても大変な事なんだ…

 色々考える事もある。覚悟を決めないといけない事だって…

 お前だけが我慢して通る様な恋ではないんだよ…

 …でも…冬真の気持ちも分かるけどな…」

「中嶋…」

「今は冬真がこれからどうしたいか考えたらいい…」

「……これから…」

「うん、自分の気持ちを確かめなよ」

何かあったら俺が聞くからな。と微笑んだ。

有崎は小さく”うん”と答えた。



高野は相変わらず舘石のマシンガントークに付き合わされて

いる。

「ねえ、聞いてる?」

「恋心の分からない奴に話しても何にもならないと思い

 ませんか?」

「思わないよ~聞いて貰えるだけでありがたいし、それに

最近共感している所もあるでしょう?」

「え?共感?」

「そう、少しは恋心を理解してきてるのかな?」

高野は少し考えて

「理解ですか…では恋の着地点は何でしょう?」

「また、難しい事を考えて…そうね~自分の物にしたいと言う

 独占欲が叶った時かな?」

「独占欲?」

「告白するって友達から自分だけの特別な人にしたいと言う事で

 しょ?自分だけ見て欲しい、いつも隣にいて欲しい…欲しいを

 叶える事かな…」

「はあ…」

「難しい事ではないと思うけどね~、分からないかな~」

高野は悩んだ顔になり

「そんな事でいいんですか?」

「ほら、また難しく考えてる~!素直に!」

舘石は高野の顔を覗き込んで

「ねえ、聞いていい?」

「はい?」

「高野君の好きな人はどんな人?」

高野は有崎の顔を思い出す。

「好き…笑顔が癒しで、料理が上手くて、居ると安心出来て…

 守りたくなって…話していて心地良い…」

高野は言いながら逢えない事に苦しさを感じていた。

「高野君、十分に恋してるわよ」

舘石に言われ高野はやはり有崎を好きなんだという事を確信した。

「……でも、この想いは相手に迷惑を掛ける物だから…

 消してしまった方が良いんです…」

舘石は寂しそうな顔をしながら言う。

「迷惑ね~、高野君の相手って…もしかして…間違ったら

 ごめんなさい…同性…かな?」

高野は迷ったが、こんな相談は舘石の他には出来ないと

思い顔を上げて言う。

「はい…」

「そっか~、確かにそう考えるかもね~、私も思ったわよ。

 でもね、迷惑かどうかは高野君の考える事では無いのよ…

 …私もそう言われたわ…今のパートナーに」

「でも…」

舘石は高野に微笑む。

「決めるのは相手の子よ…確かに今を失うかもと考えると

 怖いわよね…でも…高野君の心をここまで変えて気付かせた

 子なのよ~貴方を特別に思っていなければここまで変えられ

 ないと思うけどね~」

「特別…」

舘石は煮え切らない高野にイラッとした。

「あ~、もう!ハッキリ言わないと分からないのね!好き!

 高野君の事好きだって事よ!鈍感だから分からないのね!」

「!!!!あわわわわ…!」

高野の心はざわつき体は硬直してしまい何も考えられなくなって

しまった。

「その子も可哀想~、鈍感な高野君に分かってもらうのは骨が

 折れるわよね~、ってあれ?高野君?ん?固まっちゃった?

 お~い!大丈夫~?お~い!高野く~ん!」

午後の仕事は手につかなかつた。



重い体を引きずりやっとの思いで家にたどり着いた高野は

ソファーに座り込む。

「冬真が俺を好き…」

思い返せば照れている時もあった…嬉しそうに笑ってた…

ヒロと居ても俺のそばに居てくれた…もしそうだったら

俺は随分酷い事をしてきたのではないだろうか…

重いため息がでる…

でもそうだったら…素直に嬉しい…

消そうと思っていた感情が一気に湧き上がる…

その時、高野の携帯の着信が鳴った。表示は浩章だ。

「もしもし、ヒロ?」

「あ、兄貴?あのさ、今度の土曜日に冬真と出掛けようと

 思って、兄貴空いてる?」

「……俺?」

「うん、一緒に出掛けようよ~、俺、海鮮食べたいの~」

「はあ?」

「ドライブ行こうよ~」

「唐突に……俺運転手…か」

「あったり~!ダメ?」

「うっ…いいよ…」

高志は浩章のお願いに弱いのである。

「やったー!ありがとう~、楽しみ~!よろしくね!」

「…分かった。時間と場所はヒロが設定してくれ」

「うん、了解!また連絡するね~」

「うん…」

電話は切れた。

ーーー待て待て!、この状態で冬真と出掛けるだと!ーーー

久しぶりに逢える嬉しさと、どうしたら良いか心の葛藤で

ぐちゃぐちゃになっている。

「ど…土曜日までに落ち着かなければ…」

湧き上がった感情をもう一度しまい込まなければならない…

嬉しさと不安が入り乱れ感情が忙しい…

「今日は寝られる気がしないな…」

ため息は出るが心の奥は嬉しい気持ちが溢れて出る。



君の瞳に映る笑顔   ご覧いただきありがとうございます。

次回は土曜日「平常心」です。  高野の心、有崎の気持ち、楽しんで頂けたら幸いです。

これからもよろしくお願いします。

                    あらかると




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ