旅の終わりは
初詣を済ませ暖かいドームの宿に帰って来た。
夕飯までは時間ある。各々自由な時間を過ごしていたが
「プロジェクターがあるから映画でも見ない?」
浩章が部屋に備え付けてあるスクリーンを上げて言う。
「いいね~、何見る?」
篤も乗る気だ。
「最近話題の映画見られるみたい!これでいいかな?」
浩章が画面を操作している。有崎は大きなガラスの窓に
カーテンを引いた。
映画鑑賞している時に有崎の携帯にメッセージが入った。
「ヒロちょっと止めてもらっていい」
浩章は画面をとめた。有崎がカーテンを開けると
外には綺麗な夕陽が湖や木々を照らしている。
「友達が夕陽が綺麗と連絡をくれたから」
3人も”おお~”と声を上げる。高志はカメラを持ち外に出た。
「綺麗だね~」
「初夕陽か~」
みんなほのぼのと夕陽が沈むの見ていた。
有崎は中嶋にお礼のメッセージを送る。
その後は映画を見終え夕食の準備に入り有崎と高志は
外で焼き物係となった。
「高志さん、焚き火台に薪くべていいですか?」
「有崎君は気に入ったみたいだね」
「はい、今度キャンプも行きたいです」
「そうだね、君が落ち着いたら一緒にいこうか?」
「是非!お願いします」
外のバーベキューコンロで焼く物を焼き、中に持っていくと
中では篤がカクテルなど用意していて2日目の飲み会が
始まった。
有崎はカルパッチョやおせち料理の少し味をアレンジ
した物を出した。
「このカルパッチョはあの時のだね、え?おせち作って
くれたの?」
「バイト先のマスターが教えてくれたので、少しですけど」
高志は嬉しそうに箸をつけた。
3人は美味しい!と食べている。
「何?兄貴、冬真にリクエストしていたんだ~」
実は30日に買う予定だったがおせちは味が濃いので食べ
きれるのか心配と持って行くにも大変という事でやめていた。
「冬真、料理の腕がますます上がるね~」
「みんなが喜んでくれるから作りがいがあるよ」
ーーー兄貴に喜んで欲しいからだよな~、けなげ~---
ニタニタしている浩章に有崎はけりを入れた。
「ごめん!ヒロ足が当たったね~」
と真顔で言う有崎に浩章はごめんごめん!と小さく言う。
「俺はこの辺で酒は止めておくよ。明日の運転があるから」
飲み始めてしばらくした時、高志はお茶に飲み物を変える。
「そうか~明日はもう帰る日なんだよね~」
浩章はガックリと肩を落とす。
「楽しい時間は早く感じるよね」
と有崎も寂しそうにしている。
「また来ればいいじゃないか!それにまだまだ楽しい事は
沢山出来るさ」
篤がウインクしながらにこやかに言う。
2人はそうだね~とまた楽しそうに話し出す。
お腹いっぱい食べてお酒も美味しく飲んで満足したところで
お開きになった。
ベッドに横になり少しゆったりとした時間を過ごし
「電気消すよ~」
篤が電気を消す。
高志は有崎に手を出し
「今日も寝るまで繋いでいよう」
と言う。有崎は照れながら手を出し高志の手を握る。
有崎は目を閉じて高志の手の温もりを感じ安心して眠りに
付いた。
しばらくして3人は寝付いたが高志は寝られずにいる。
昨夜の有崎の顔が浮かび胸に引き寄せた時、そのまま強く
抱きしめたくなった自分の気持ちがモヤモヤと胸に残って
しまっている。
「今俺はどうなってる…」
はあ~とため息をつき隣にいる有崎の寝顔を見てそっと
髪に触れた。
グランピングでの最後の夜がふけていく。
「忘れ物はないか?」
「大丈夫~」
軽く朝食を取り、帰る為車に荷物を乗せている。
「楽しかったね」
浩章がちょっと残念そうに言った。
「うん、凄く楽しかったよ」
有崎の顔はスッキリとした良い笑顔だ。
有崎にとってこの旅は色々と収穫のある旅となった。
妹の事、中嶋に話せた事、有崎の中で色々な事が変化して
行きそうだ。
そんな有崎を見てみんな笑顔になっているが高志の心中は
それほど穏やかではなかった。
自分の変化に戸惑っているが、有崎を支えたい気持ちは
変わらない。
この旅は楽しい事も多くしかし各々考えさせられる旅に
なったのかもしれない。
「よし、帰るぞ」
車は白いドームに別けれを告げ日常の場所に戻って行く。
「また来られると良いな」
有崎は見えなくなるまで白いドームを眺めていた。
君の瞳に映る笑顔 ご覧いただきありがとうございます。
次回は火曜日「コーヒーブレイク」です。ちょっと一息、ショートの話しです。
次回もよろしくお願いします。 あらかると




