買い出し 高志&有崎
「大丈夫?行こうか」
30日の11時頃高野は有崎を迎えに来ていた。
「はい、行きましょう」
明日は年越し!こんなに心浮かれる年越しは今まで
無かったので有崎の笑顔は輝いていた。
「有崎君楽しそうだね」
「そうですね、こんなに楽しみな年越しは初めてです。
なんか合宿みたいで」
「ははは、グランピングにして正解だったかな?」
「はい、凄く楽しみです。」
ニコニコしている有崎を見ていると高野も嬉しくなる。
「そうだ、誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます」
「プレゼントは何がいいか決まった?」
有崎はちょっと困った顔で
「俺こそお世話になっているし、気にしないで下さい」
「いやいや、この間も助かったし何かお礼したいから
気にしないで言ってよ」
有崎はちょっと考えて
「高野さんの行きつけのお店とか気になるお店は
ありますか?高野さんのセンス良いから真似したいです」
センスないよ~と言い高野は考えてしまった。
「あ!あそこにするか!」
と言い街中にあるからいこうか!と歩き出す。
有崎も”はい”と言って一緒に歩き出した。
街はもう年越しムードだ。年越しそば、鏡餅、おせち料理
大掃除グッズ、毎年のことながら忙しいそうに人々が
行きかっている。
高野はあるお店の前で歩く足を止め”ここだよ”と扉に
手を掛けた。そこには”革工房 のーむ”と書いた看板がある。
高野はドアを開け”どうぞ”と有崎を招き入れる。
中に入ると革の匂いが気分を高める。
ここは本革を使っているハンドメイドのお店で奥では
店主が作業をしながら”いらっしゃい”と声を掛けてくれる。
「たまに買いに来るけど一つ一つ手作りだから味があるよ」
棚にはカードケースや小銭入れボディーバッグや大きなバック
と、色、形の違う物が並んでいて見ているだけでも楽しい。
有崎が”へぇ~”と関心しながら見ていると
「これなんかどうかな?」
高野は深緑色の二つ折り財布を見せてきた。
「俺もこれの色違いを使っているけど機能的で使いやすい
からどうかな?と思ったんだけど」
有崎は手に取り中を見て確かめる。
「いいですね、使いやすそう、素敵です」
「じゃあ、これでいいかな?」
「え?でも高いです…よね…?」
と言っている間に高野はレジに行き包装まで頼んでいた。
「はや!」
でも高野とお揃いなんて考えると嬉しくてにやついてしまう…
他の商品を見ているふりをして誤魔化した。
「はい、どうぞ!俺とお揃いぽくなっちゃってごめんね」
店を出て高野は有崎にプレゼント用にラッピングした
箱を手渡す。
「ありがとうございます。嬉しいです。
高野さんには貰ってばかりなので後でお返ししますね」
「う~ん、それは俺のお礼の意味がなくなるのでは?」
「では、高野さんの誕生日はいつですか?」
「え?いいよ、気にしなくて」
「い・つ・で・す・か?」
「うっ、た、たなばただよ…」
有崎の押しに負ける高野だ。
「たなばた?…ああ、7月7日!」
「そう、行事の日が誕生日って覚えやすいけどね~」
高野は微妙な顔をしている。
「子供の頃は短冊にお誕生日おめでとう!と書いてあったよ」
なんだかな~と笑う。有崎も本当ですか?と笑う。
「そうそう、ヒロは5月6日なんだ、一日ズレちゃって
残念だよ、親は狙ってたのかな?惜しいよね」
有崎は“残念って~”と聞きながら笑っている。
高野は時計を見てお昼は?と尋ねると有崎は行きたい
店があると案内した。
そこはイタリアンのお店で女性客が多く明るい店内は
気分も上がる。
「このお店、カルパッチョが有名なんです。」
「お!有崎シェフの料理の勉強かな?」
「明日似た感じの物が出せたら篤さんのお酒に合うかなと」
「勉強熱心だね!期待してるよ」
「似た感じですからね!同じ味は無理ですからね!」
有崎は念を押す。高野はわかったよーと笑う。
有崎は高野と一緒のこの笑顔が絶えない時間が好きで
何時までも時間を共にしたいと思っていた。
なので明日からのお泊りはとても楽しみなのだ。
お昼を終えて食材の調達をしていると
「おせちは作る?」
とにこにこの高野だが
「無理です。食べたいなら買いましょう!」
あっさり言われてガックリする高野だった。
君の瞳に映る笑顔 ご覧いただきありがとうございます。
次回は土曜日「大晦日」です。次回もお楽しみいただけたら幸いです。
あらかると




