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買い出し 篤&浩章

30日の午前中、篤と浩章は少し離れた街に買い物に出かけた。

「篤さんと2人で出かけるのは初めてですね」

「そうだね~いつも高志がいたからね」

「いや、いつも兄貴と出かけると割り込んで来るのは

 篤さんでしょう!」

「そうだっけ?」

篤はとぼけて見せる。

「だって兄弟仲が良いからさ~」

「いいじゃないですか!」

篤は少し考えて浩章の顔を覗き込み

「弟君は高志が好きなんだよね?」

「え?」

「兄としてではなく、高志が!」

浩章は否定しようと言葉を見つけていたが、篤の真剣な

眼差しに噓をつくのをあきらめた。

「……前はそうでした…もう卒業しましたよ」

浩章は出来るだけ明るく答えたつもりだった。

「そう?…そんな泣きそうな顔をしているのに?」

え?と言いながら浩章は自分の顔を触り確かめている。

「ははは、泣きそうなのは噓、でも辛そうなのは

 わかったよ」

篤は優しい顔で浩章の頭を撫でる。

「止めて下さいよ!」

「高志はモテるね~ライバルが沢山だ!」

「篤さんも兄貴が好きなんですよね?」

「うん!告白済だよ。高志は本気にしてないけどね」

「兄貴、うんざりしていましたよ」

と笑う。

「ははは、俺はめげない!高志はね~人に寄り添い方が

 半端じゃあないんだよね…

 高校の時に助けてもらってからなんだよ」

篤は昔を思い出しているのかフフフと笑っている。



篤は高校時代、中性的な顔立ちで会話も上手く社交的な

性格から男女問わず人気があった。

二年の時に高野とクラスが一緒になったがその時は

それ程仲が良いわけではなかった。

「篠田、大丈夫か?顔色が悪いけど…」

ある日の放課後、高野が話しかけてきた。

篤はビクッと体を震わせる。

「何でもないよ、ちょっとお腹が痛い位かな」

「無理するなよ」

「うん、もう帰るから、ありがとう」

篤はカバンを持ち教室を出た。

顔色が悪いのはお腹が痛いからでは無い。一つ上の

先輩から呼び出しがあったからだ。前から付き合えと

言い寄られていて断り続けていたが、今日を最後に

するからと放課後に呼び出されていた。嫌な予感しかない。

行く事を体が拒んでいる。

人けのない準備室の前にその先輩はいた。

「よく来たな」

と、力いっぱい腕を引っ張り準備室に連れ込まれて

しまった。床に押し倒され恐怖に抵抗さえできず

目を強くつぶる。先輩はガタイの良い男だしもう

ダメだ…と思った時、ガラガラと扉が開いた。

先輩の肩を掴み篤から離した。篤が目を開けると怒りの

こもった顔をした高野が立っていた。

「な、邪魔するな!」

先輩は高野にかかって行くが高野は手を掴み動きを封じて

「先輩、進学にひびきますよ」

「お前には関係ない!」

高野は携帯に今までを録画していた事を告げる。

「これ以上篠田に何かした場合はこれを公表します。

 何もなければ卒業式に消します」

その間も手を力いっぱい掴んでいるので先輩の顔が歪む

「わ、分かった…悪かった」

その言葉で先輩を解放した途端に逃げ帰ってしまった。

「大丈夫か?」

篤に手を差し出す高野は“良かった”と笑った。



「その後も俺の事を気にかけてくれてね、そりゃあもう

 惚れるでしょう!」

「ほっとけない性格だからな~兄貴は…篤さん、意外と

 乙女なんですね!」

「同類の弟君に言われたくはないかな。好きになるきっかけ

 なんて些細な事だろう。それにしても高志は力強くて

 驚いたよ」

「水泳で体鍛えていたからね~」

「そうか、それでね~で、弟君の純愛ストーリーは?」

ワクワクしている篤に浩章は顔をそむけた。

どこの恋バナ好きな女子なんだよと思う。

浩章は少し考えて気持ちを整理しながら言う。

「俺は兄貴への想いをこじらせて大学進学で家を出る

 前日に告って諦めた…的な?」

「なんかサクッと言ってくれるね~、弟が一番の

 高志君がね~」

浩章は当時の事を思い出して下を向いてしまった。

「兄貴、自分の”好き”の感情が分からないって…

 俺の想いに答えようとしてくれたのか…

 一生懸命に考えて苦しそうに泣かれちゃった…」

浩章は下を向いて泣きそうな顔をしている。

篤は頭をポンポンと叩きながら

「こめん、ごめん、辛かったね~、お詫びにお昼ご馳走

 するから機嫌直して」

「高級寿司…」

「無理!」

え~!ご馳走してよ~!と浩章は駄々をこねる。

高志に奢ってもらいなさいと歩いて行ってしまった。

この後無事?に有崎の誕生日パーティーグッズを買い揃える

事ができた。


君の瞳に映る笑顔     ご覧いただきありがとうございます。


次回は土曜日「買い出し 高野&有崎」です。


次回も楽しんでいただけたら幸いです。


                      あらかると

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