有崎の仲間
あれ以来、高野と連絡を取っていない。
何となく気まずい。高野の言葉に深い意味など無い事は
分かっている。過剰に反応した自分がいけなかった事も。
ヒロは”俺も気を付けるよ”と言っていたがそれは違う。
自分が高野に想いを告げていないから悪い。
いや、それは自分で苦しくてもこの関係でいい、拒否
されるよりましだと納得させていた事だ。
ただ、高野の”お見合い”と今まで考えた事のない言葉が
心に残った。
高野に彼女がてきたら…ヒロみたいに平静でいられるのか…
「……無理だな…キツイ…」
有崎はため息をついた。
「有崎、なんだよ隅のベンチに座ってたそがれて!
外は寒いだろ」
有崎は頭を冷やそうと大学の中庭のベンチに座っていた。
「あ!吉田、川崎、中嶋、揃って何してる?」
「あ?お前を探していたんだよ!中嶋がお前が元気
無かったって言ってたから!」
そう言うのは声のでかい吉田、気の優しい男だ。
「冬真、泣きそうな顔してたからな」
穏やかな口調の中嶋が言う。
「有ちゃんどうした?俺たちに言うてみなさい」
ちょっとお調子者の川崎が言う。
「自分の不甲斐なさに絶望していただけ」
「ん?あの有りちゃんが絶望?」
川崎がおちゃらけて言うと吉田がこらこらと
たしなめる。
「最近の冬真は機嫌良かったから安心していたのに
妹の関係か?」
「いや、違う…」
中嶋はじゃあなんだ?と横に座ってくる。
言いたくなければ言わんでもいいよと。
「有崎、ここは寒い、とにかく中に入ろうぜ風邪を引く」
吉田が自分の肩を抱き寒い寒いと体を震わす。
風邪を引いたら高野に看病してもらえるかな?
そんな事を考えたらまた心が苦しくなってしまった。
4人で学生食堂に場所を移した。
「あ~、寒かったな、」
「吉田、うるさいな~冬真、喧嘩でもした?
最近は機嫌よく優しい笑顔していたから…」
中嶋が優しく語りかけてくれる。
「中嶋と春が来たかね~と言ってたんだよ」
言いながら有崎の顔を川崎が覗き込む。
「まだ、片思い中だよ」
有崎は寂しそうな顔をした。
「片思いか!そりゃあ辛いよな~」
「え?吉田、お前片思いなんてしてるの?」
そう言う川崎の顔に吉田は顔を近づけ
「俺は片思いで終わるタイプだよ」
「なるはどね~そうだよね~」
「納得すんな!」
有崎がふふと笑うと
「少し復活したか?」
「冬真、辛い事も楽しい事も自分次第!でも辛い時は
俺たちにも分けてよ」
「そうそう、一人で考えても良いことないよ~」
「見えない先を考えても不安しかない、今を一生懸命頑張って、
考える時に考えればいい!お前はその位が丁度いい」
「そうだよ~、でも吉田はもう少し考えた方がいいかもな~
吉田~レポートの時に有ちゃんに泣きついて迷惑掛けてたよな」
「今はその話はいいだろう…あの時は皆さんに多大な
ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。」
吉田は深々と頭をさげた。大切なレポートを紛失してしまい
4人の手助けで難を逃れた事がある。
「あの時は大変だったよな、冬真」
「うん、焦ったよ」
当時を思い出して4人で笑う。
「有崎、笑おうぜ、その方がお前らしい」
「うん、ありがとう」
戻った戻った、と3人は頷く。
「お前は顔にすぐ出るから心配になるんだよな」
「え?俺顔に出るの?」
「うん、凄く出る!わかりやすいよ~」
「……マジ…」
「まじ!」
3人で声を揃えて言われてしまった。
え?え?だからヒロにすぐにばれた?そう言えばタップで
飲んでる時、やけに篤さんがニコニコしてた…バレた?
有崎の顔が赤くなる。
「お前天然だし」
「天然!」
「人たらしだし」
「人たらし!!」
待て待て!何処かで聞いたフレーズ!
俺は高野さんと同じ?有崎は困惑していた。
そんな有崎を見てニコニコしている3人。
「その、暖かい目で見るの止めて」
と笑う有崎だが3人には助けて貰ってばかりだ。
感謝しかない。そう”今を頑張る”だけだ。
君の瞳に映る笑顔 ご覧いただきありがとうございます。
次回は火曜日に「コーヒーブレイク」 (番外編)ショート を予定しております。楽しんで頂けると嬉しいです。
あらかると




