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【プロットタイプ】曇天夜桜

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

幻想奇譚よりのプロットタイプです。

寒い冬を抜けた先は春だった。けれども落ちるのは桜ではなく梅雨だった。幾日も及ぶ五月雨は月光さえも隠し、路面を濡らす。四月もこれでは型なしでは無かろうか。

そんな事を考えながら、家路へと向かう。この季節には楽しみにしている出来事が一つあった。

何処までも続く一本道、そこに一本だけ桜の木が植えられている。幹は太く、枝は長い。それを道路まで伸ばし、春先には数多の飾りを付ける。それを見るのが私の四月の楽しみであった。

だがこの雨ならば、きっと眺める事は叶わないだろう。降り続く雨が、花弁諸共落としてしまうのだから。

それでも諦め切れずにその桜の元へ足を運んだ。天候は生憎の雨。傘に降り注ぐ雨音と、地面を踏み締める水音だけが静かな空間に響き渡る。

桜は咲いていた。けれども桜塵が雨粒と混ざりあって色を撒く。曇天に輝く花弁がただ神々しく夜闇を照らす。

綺麗だった。十二分に綺麗だった。けれども私は白く輝く満月と共に見たいのだ。鈍の空ではなく、漆黒の空と拝みたいのだ。

それでも、私は鞄の中から端末を取り出して夜空に掲げる。丁度、この夜桜と鈍色が収まる様に。それから黙ってシャッターを押した。


窓から覗く景色が夜に染まる頃、同居人が帰ってきた。湿度の篭った匂いや冷たさが、じんわりと空気を通じて伝わって来る。

「瑠衣」

声に覇気がない。何時もの通りの良い声はなく、降り続く雨のような水気を感じた。俺が何も言わずに目を合わせると、鏡花は鞄から携帯端末を取り出して、此方に見せた。

画面に写し出されたのは夜桜だった。

鈍色の空を背景に、多くの花弁が集団で咲き誇っている。それはまるで枝先に積もった雪のように。鮮やかで神々しく、それ故に吸い込まれそうな美しさがあった。

「……雨、だったから。咲いた後、すぐに散っちゃったみたい」

「そうか……」

「満月……」

本当は月と共に撮りたかったのだろう。ただ生憎の雨だったから、それが叶わなかったのだろう。

この時期、桜並木はこぞって人が集まる様で。

私は人疲れしてしまうので、行きません。

精々昼間にサラーっと見る程度。


だから大抵、帰り道に一本だけ咲いてる桜を見ます。

普段は誰かのものですが、今だけは独り占めしながら、歩いて帰るんですよ。


最近は『今日も空暗いなー』『あ、雨降ってる』とか思いながら、足早に帰ります。


次は満月と見れるといいね。

月が綺麗に撮れた写真もあるんです。

桜の木を見てみたら、紅葉していたので、秋でしたね。


当たり前〜。な話が多いんですよ。

皮肉や逆説や純文学な話も。

でも皆、忘れてしまったんじゃないかな。

たまに思い出すと面白いすよ。

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