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彼の音色  作者: 千莉々
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昼休み

 昨日は家に帰り1時間程ピアノ伴奏の練習をし、勉強に取り掛かった。

 何を真剣に取り組んでいるんだよと自分に問いかけてしまう。

 それに不思議とピアノに向かうのが嫌ではなかった。


 それはそうと、愁の声は本当に綺麗だった。顔もいいしファンは多いだろう。

 俺が女だったら嫉妬されまくりのはずだ。

 

 授業中もなぜか愁の事を考えてしまう。それだけ、彼の歌声は衝撃的だった。


 昼休みになった。

「置田、呼んでるよ」

 クラスメイトに声をかけられ扉の方を向くと愁がいる。


「どうしたんだよ」

「冬弥、お昼食べた?」

「今からだけど」

「一緒に食べよ」


「ちょっと、アイツとお昼食べてくるわ」

 と友人に声をかけると、

「ごゆっくり」

 とニタニタされた。


 愁と廊下を歩いていると、女子の視線を感じる。もちろん俺を見ているのではない。

 歩いているだけで絵になるし目立つ奴だ。


 とりあえず、校舎裏のベンチに並んで座り昼ご飯を食べる事にした。

 

「冬弥、昨日はありがとう。久しぶりに気分良く歌えたよ」

「いや、俺の方こそイイ歌を聞けてラッキーだった」


 愁はレジ袋からパンとオレンジジュースを取り出した。


「お前、お昼ってパンとジュースだけかよ」

「あぁ、いつも昼はこんな感じかな。冬弥は手作り弁当だね」

「もっと、ちゃんとバランスよく食べろよ。あんな綺麗な声なんだし、体の事を考えろよ」

「え?」

 と愁は驚いた顔をし下を向いた。

「ありがとう。冬弥って優しいな」

 ほんのりと赤い頬をし、満面の笑みを浮かべた愁。

 なんだよ、メチャクチャ可愛いじゃないか。

 イケメンの笑顔の破壊力は半端ないな。


 昼休みも終わりそうなので、次回の練習日の確認をし、それぞれの教室に戻った。


「置田。最近、山之内と仲いいんだな」

 と友人の畑野に言われた。

「いや、そういう訳ではないけど……頼まれ事されてさ」

「アイツって女子の人気者だろ。カッコつけてるし話しにくいよな」

「え、普通だと思うけどな。いい奴だと思うよ」

「そうなんだ」


 そうか、愁って話しにくそうな感じなのか。

 確かに、黙っていると近づきにくい感じかもしれない。

 けど、愁のイメージが悪くなるのは嫌だなと思う。


 俺、すっかりアイツのファンだなと思いフッと笑った。

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