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試験も終わり

 期末テストは無事に終わった。

 自分では、まずまずの出来だと思っている。


 今日は愁と一緒に帰る約束をした。

 あの晩、愁が俺の家の前に来て以来、ゆっくりと話す機会がなかった。

 愁は舞台の練習があり、俺は試験勉強に集中していた。


 昇降口の入口付近に行くと、愁が待っていた。

「ゴメン、お待たせ」

「冬弥、なんか久しぶりな気がする。元気だった?」

「なんだよ、毎日LINEしてるだろ」

「そうだった」

 相変わらず愁の声は美しくて心地いい。


「試験はどうだった?」

「全然ダメ。赤点取らなければいいけど。冬弥は?」

「俺は、まぁまぁかな」

「余裕だね。今度、勉強教えてよ」

「俺で良ければ」


 ゆっくり話をするため、駅付近のファーストフード店に入った。

 周りの女性客がチラチラと愁を見てくる。

 イケメンは大変だな。気が抜けない。


「舞台の練習、大変だな」

「僕は出番が少ないから、それほどでもないよ。冬弥の好きなサヤリンや主演俳優さんは大変だと思う」

「サヤリンか」

「僕の事も、ちゃんと見てよ」

「当たり前だよ。ミュージカルは初めてだから楽しみだな」


「愁は年末も舞台の練習だよな?」

「毎日ではないよ。でも、歌のレッスンや色々あるかな」

「そっか」


「冬弥はどうするの?」

「年末は、母さんの実家に行くと思う。来年は大学受験で行けないだろうからさ」

「そうなんだ。お母さんの実家はどこ?」

「兵庫県」

「関西だね」

「そうだな」

「いいなぁ。大阪は行った事あるんだけど、兵庫県は行ったことないんだよね」

「今度、一緒に来たらいいよ」

「え? ほんとに?」

「うん。こんなイケメンが来たら婆ちゃん喜ぶわ」

「何、それ」

 と一緒に笑った。


 愁と一緒にいて話をすると気分が明るくなる。

 こんな普通の男子高校生の俺を好きだと言ってくれた。

 俺も愁を好きな事に違いないが、愁とどうなりたいのだろうか?

 愁は俺とどういう風になりたいのだろうか?


 今はこの何気ない日常が楽しく、大切にしたい。


「冬弥。24日は何するの?」

「24日は別に何も用事はないよ」

「舞台の練習があるから時間は少ししかないけど、会えないかな?」

「うん。いいよ」

「良かった」



 家に帰ってカレンダーを眺めた。

 12月24日。


 あっ、そうか! クリスマスイブだよな。

 プレゼントを用意した方がいいのだろうか。愁は何でも持ってそうだしなぁ。


 人に相談するのも恥ずかしいし。どうしよう、困ったな。

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