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人種差別を鳥に置き換えて書いてみた作品です。

それは、とても小さな空間だった。

 白一色に統一された空間には、何色にも色分けされた無数の光の玉が浮かび、中央に置かれた木箱の上の一冊の本からは不思議な光を放っていた。

っと、突然光の玉が集まり折り重なって人の手を形作る。

その手はページをパラパラと捲り始めた。

『ある所に…なやんでばかりのニワトリさんがいました。』

 空間に野太い男の声が聞こえこだまする。

その声に反応するかの様に空間は揺れ、光の玉が歪む。

 声はすれど姿は無く、ただ光の手がおエージを捲る音と、読み上げる声がするだけだった。

 一通り読み上げると声の主は思う。

あーあ今日もまたいつもと同じ様に一日が始まる…。

いつもと同じセリフに、いつもと同じ展開、そしていつもと同じ終わり。

たまには違うセリフを…言葉を…違うお話をやってみたいと思う、けど駄目なんだ。私は、ただのナレーターで、ただの進行役。 勝手に変える事は許されていないんだ。


『ある所に、鳥達が住む街がありました。

 その街には、様々な種類の鳥達が住んでいましたが、空を飛ぶとり空鳥は、飛べない鳥、地鳥達を蔑み、差別していました。

 街の主な施設は、空鳥達の住む高級住宅地と同じ空を飛ばねば行けぬ程高い木の上にありました。

 大樹に寄りそう様に作られた高台へと続く大階段は、長く、まるで天国へと続く階段の様で、朝早くに家を出てもその日の内に辿りつけるものではなく

「だって私達には、この空を自由に飛び回る為の羽があるじゃないか。」

ある空鳥は言います。

「空を飛べぬ鳥は、鳥にあらず、ミミズそれ以下の存在だ。」

 数百年前の空鳥達の間では、そんな考え方が一般的だったのです。

 けれど、そんな負の歴史もはるか昔の事。

 地鳥達の頑張りによってその街から差別のさの字も無くなったのです。

 それと、同時に発足した鳥類平等宣言のせいで、空を自由に飛べなくなった空鳥達は、こんな地を這う〇×のような生活に、陥れたのは地鳥達のせいだと、逆恨みしてしまいました。

 ある専門家は、言います。

「空鳥と地鳥、双方の差が埋まらないのは、

一気に両者の差を埋めようとしたせい。鳥類平等宣言のせいであると。」

 これは、そんな街に住む一羽のニワトリさんのお話です。

 果たしてニワトリさんには、どんな結末がまっているのでしょう?』


ある所に悩んでばかりのニワトリさんがいました。

そのニワトリさんはいつも悩んでばかり、何かあると直ぐに悩み始め結局何もしないで終わる事ばかりでした。

その日も、ニワトリさんはデパートの屋上で悩んでいました。

あーあどうにか自分の羽で空を飛ぶ事はできんかな?

そもそもオイラ鳥だし…幼稚園、小学校…とクラス(鳥科)で空を飛べんかったのは、僕とペンギンのペン太君だけだったし、よく一緒にからかわれてたしな、けどなペン太君は泳ぐの上手いもんな。オイラ…だけ…だもんな何も出来ないの。

やっぱり鳥って、空飛ぶもんだしな何て考えながら。』

『そんな事を考えているニワトリさんのふくふくもちもちっとしたお腹に子供達がキャアキャア群がっていて、まるで一種のアトラクションの様になりながら、』

その親が「すみません。すみません。ほら、スミレちゃん行くわよ!」

「えぇーだってママ!今日はどんな乗り物でも一回だけなら遊んで良いっていったじゃない!!」

「でもねえ、スミレちゃんこのニワトリさんは乗り物じゃないのよ。さあ行くわよ!」

「でもでもでももっとあのふわふわのモチモチに触っていたいよ・・・。」

「そんな事をしていたらニワトリさんにご迷惑でしょ!もう悪い子は置いていっちゃうからね。」

「待ってママ。」

なんて親子の会話を聞き流しながら今日も一日中ボケーっとしていました。

「別に触っててもいいのに…。」

えっ!そんな事ならいっそうの事ここから飛び降りて極限状態になった方が飛べるかもしてないって?

やめて、この話一応絵本もしくは童話ってカテゴリーに入れたいだから、子供向けだから!!

第一そんな事をしたらニワさん死んじゃうから、R指定入っちゃうから本当にやめてね。それにこのチキン・・・失礼。

それにこのニワトリさんは、毎年開かれているニワトリによるニワトリの為の名誉な祭典、こいつは本当にチキンだぜ!なニワトリに送られる名誉すぎる賞、ザ・チキンハート☆キングの座にもう何年も輝いている程のチキン中のチキンつまり筋金入りの臆病者なのでそんな事は絶対にありえない事なのでした。

この賞は本来ならばもう廃止になるはずでした。空を飛べない鳥が差別されるそんな時代から変わることが出来たのですから表面状は…、

「ん?今誰か…人の悪口を言う奴は!!」

『突然立ち込める煙が晴れると共にそこに立っていたのは。絶世の美男子であった。』

「…やり過ぎじゃないの?煙も消えてないしさあ」

『ニワトリさんの言うことももっともです。辺りは一面煙だらけ、これでは美男子が何処にいるのか全くわかりません。』

「ね。」

「ウォッホン『美男子は気づきました。自分のミスを…そこで美男子は唱えました。ハラホロヒレハレ』

「えっ魔法なの?」

「美男子はそんなニワトリさんの質問を完全に無視し、何処からか取り出した台本を手に持ち言い放った。

『突然、吹き荒れた突風により煙は全てかき消されてしまいました。』

『煙が全てかき消された後には唖然とした表情のニワトリさんが…』

『ところが肝心の白い物体は目をキラキラと輝かせそこに立っていた。』

「って、唖然とした顔せんか!!え~ウォホン」

『煙が全てかき消された後には唖然とした顔のニワトリさんと何事も無かったかのように行動する周囲の人びとの姿がありました。』

『はっ、ようやく気がついたニワトリさんの目の前には白い帽子を目深に被り、白いワンピースを着た全身真っ白な少女でした。少女の腕の中には大切な物なのかしっかりと白い絵本が握られています。』

「どうしたの?お嬢ちゃん。ママとはぐれたのかな?」

少女は大事そうに抱えていた絵本を開くと一言。

『ニワトリさんは白い少女に優しく話しかけます。

まるで今まさに誘拐犯が少女を連れ去ろうとしているようです。』

「迷子ではない。」

『すっかり油断していたニワトリさんは、少女の口から発せられたとても少女とは思えない声に驚き、少しの間固まり戻ってこれたのはそれから数分後でした。』

「ヴァッヴァリトンボイス!?少女に似つかわしくもない……酷い!これは酷すぎるよ!神様。」

「で、君は一体どこからきたの?」

「それは言えない。」

「そもそも君は男の子なの?女の子なの?」

「私には性別など無い。だって必要ないのだから。今はただこのマネキンの中に入っているだけだからそれに…子供でもない!!」

「ふーん。そうなんだ。…じゃあ迷子センターに連れてってと」

『ニワトリさんは少女の方を向き言いました。』

「じゃあお兄さんとこれから素敵な所に行こうか!」

「…そうかそれでは私も君を素敵な所にお連れしよう。」

「ん!どーしたの?お兄さんを何処に連れてってくれるって言うんだい?」

『少女は無邪気に笑い、ニワトリさんの片方の手を手に取り大声を上げて叫んだ。』

「助けて!知らないチキンなおじさんに連れ去られる!!」

『その少女の叫び声を聞いた途端今まで2人のことなど気にも留めていなかったお客達が一斉にそちらの方を見ました。』

『そしてそれからのニワトリさんの運命はとても悲しいものでした。

いたいげな少女の叫び声を聞きつけたお客達がまるで変態をみる様な目付きでニワトリさんを取り囲み、警備員に取り押さえられ、特別室で取り調べを受け延々とお説教される始末。ついには警察に連行されそうになった時に白い少女が現れ現在に至ります。』

「ぜえ、ぜえ、ごっごめんなさい。もうとりを見た目で判断したりいたしません。」

「……」

『そう誓ったニワトリさんはふと疑問に思う事がありました。少女に初めて出会う前のシーンの事です。』

『好奇心旺盛なニワトリさんは我慢出来ずに思いっきって聞いて見ることにしました。』

「ねえ、さっきのは何?」

「……」

「どうしたの?急に。何も喋ってくれなくなっちゃったの?まだ怒っているの?怒ってるなら謝るから、ねえ喋ってよ!!」

「……」

「ねえってばこれじゃあただの痛い鳥だから。ねえってば・・・」

「…。」

「まっいっか。」

『結構頑固な少女に根負けしたニワトリさんは子供の様に目をキラキラとさせながら迫ります。』

「ねえねえ、さっきのはどうやったの?煙が凄くてよく見えなかったからけれどさっきのは君がやったんだよね!!声がおんなじだったもの。凄い!凄いよ!ねーねもう一度やってみせてよ!もしかしてその本持って喋るとその通りになるとか?」

(やっぱり話しかけてきた。さっきはうっかり喋ってしまったけれど、本来私は裏方なのだ。だからわたしにはセリフ以外喋る権利など…。)

「ねえねえねえねえ!!…」

(まずはこの食肉用をどうにかしよう。)

「ねえってば」

『白い少女はニワトリさんのふかふかのむちむちのお腹に手をやり、いきなり数枚の羽をむしりとった。

 好奇心旺盛な将来なフライドポテトに添えられる予定の物体Xは突然その場で準備運動をし始めました。』

「えっ!えっえ」

『準備運動をしているといつの間にやら目の前には、筋肉マッチョチョな羽むしり大好き同好会の面々と、その奥には小麦粉…そして最終地点には熱く煮えたぎる油の入った鍋が…おっと巨大クレーンの事を忘れていました。そうその巨大クレーンで食材を吊るんです。「お客様はお肌つるつる脱毛エステに続き、お肌を引き締める効果のある“ソルト&ペッパー”をまんべんなくお肌にこすりつけおしろいを塗った後最後にはその美貌を永遠のものとするために約数十分間、熱く煮えたぎるオイル風呂に入っていただくんです。」白いコック帽を被った美容スタッフが言います。』

「それってコックじゃないの!?」

『困惑気味のニワトリさんは数人に取り囲まれ、水で汚れを洗い流し、丁寧にセットされ、蝶ネクタイを首元に付けられいよいよ巨大クレーンに吊るし上げられました。』

「ちょっちょっと待ってこれって何?」

『ニワトリさんが下を見ると横断幕や巨大看板に“美味しい!美味しい!フライドチキン出来立てをあなたへ”と書いてありました。』

「コッケーちょーまずいよ!!コレ公開?公開なのこれ!ってかこれでぽっぽくのニワ生終わりなの?」

『ニワトリさんは中に吊り下がった状態で下の方を見ると全身真っ白な少女がベンチに座っているのを見つけました。少女は絵本を拡げ“このセリフを読んでいるのです”』

「やっぱり」

『ニワトリさんはやっときがつきました。』

「やっぱりあの絵本とこの世界はリンクしているんだ!じゃああの本をあの子から取り上げれば…」

『ちっとも学習してないニワトリさんは、大声を張り上げ下にいる鳥達に向かって大声を叫びます。』

「おぉーい。あの真っ白い服を着ている女の子の持っている絵本を取り上げてくれ!」

『けれどその声を聞いたひとびとは、

「うわぁまだあの鶏がコケコケっと叫んでるよ。」

「本当にね。全く鶏のくせに往生際が悪いんだから。」

「ママッ!ママ!わたしね。わたしね。あの鶏さんの真っ白な羽が欲しいよ!!」

「危ないから駄目よすみれちゃん。」

「おい、それよりまだこのイベント始まんないのかよ。もう腹減って死にそうなんだよ。」

等と言って誰もニワトリさんの言うことに耳を貸しません。』

『というか今のニワトリさんの言葉が誰にもわからないだけなのですけどね。』

「ちゃんと謝り、そしてもう二度としないというのなら下ろしてやろう。」

「本当?」

「えーえ、本当よ。」

「だけどもういいよ。

「何故?謝ればいいだけなのに」

「僕はこんな扱いを受けるのはもう慣れっこだから。ただ前より少しだけ良くなったから嬉しいけど」

『ニワトリさんが少女に謝ろうと大きく口を開いたその瞬間スピーカから大音量で司会の男が喋る声が聞こえます。』

「さぁさ皆さん長らくおまたせしました。あのクレーンで吊るされた可愛いニワトリちゃんを会場で、しめ、下処理をした後実際に調理し、私達が動物から命を頂いて生きているんだと言う感謝の心を忘れない様にするイベント只今開催です。

「さぁ、クレーンは可愛い鶏ちゃんを吊るし、第一エリア!精肉工場の職員さん達だ。」

『クレーンは動きだしニワトリさんを運び始めました。

辺りは静まり返り、クレーンの動く無機質な音だけが響いていたのでその音は死を伝える教会の鐘の音の様にも聞こえていたのです。』

「……。」

「ごっごめんなさい。もうあなた様を不快な気持ちにさせるような言動はいたしませんので許してください。」

「んー後ちょっとかな私としては第二エリアの羽むしり同好会による演目“あーなんてあーたは美しいのよ♪”が見たいのだけど」

「それじゃあ、その本の力を使ってそれだけ見れば良いじゃないか!!」

「やだ。というか出来ないの。なぜなら私はナレーターで、絵本には読む順番が決まってるから、これがきたら次がこれってね。だから本来わたしはこの絵本に書かれている事以外言ってはいけないのよ。」

「今バリバリ喋ってるじゃありませんか!」

「だからよ!今回あなたが余計な事をしてくれたおかげで私はこんなに喋るはめになってしまった。とは本来あって無いようなもの常に常に裏方に徹しているべき存在。」

「どーでもいいからお助け。」

「じゃあそのまま三回回ってニャーゴ言え。」

「嫌だ。何を好き好んで猫なんかの真似事をしなくちゃいけないだ。」

『しかしニワトリさんはずんずんと食肉処理のスタッフの元へ近づいています。』

「さあどーするの?ニワトリさん。」

『どんどんどんどん。近づいていく~あなたの命の終わりの時が~♪』

「歌わないでー!」

「じゃあさじゃあさあれやってあれ」

「そう言ってくれないだ。それならそれで良いか……」

「いう暇あったのぉー。」

『スタッフの手がニワトリさんのふくふくむちむちとしたお腹に触れようとした瞬間ニワトリさんは?

ニッニワトリさんは、涙目ですっかり頭に血が昇った体を懸命に動かし、3回回ってニャーゴと言いましたぁー。」

「うーん。まあいいでしょう。」

『ニワトリさん(半生)は軽々と三回周り、まるで猫ちゃんに私を食べてっとおねだりしてるかのようににゃーごと言いました。』

『するとニワトリさんを吊るし上げているクレーンが突然ピタリと止まり…』

「ひっひどい。でこれからどうやって助けてくれるの?」

「んーとね『実はそのイベントは羽むしり大好き同好会のスペシャルステージ“羽はむしらないけど踊っちゃうよ。あーなんてあーたは美しいのさー”をピーアールする映像を撮影していたので、実際には食べたりなんかしないのよ。だったのです。』

「こけーそれってちょっと無理があるんじゃないの?」

「いーのいーの。」

『すると「カァート」というと言う監督の声がし、「おつかれっしたー」なんて声共に次々と出演者が去っていき、ついには元のデパートの屋上の遊園地に戻っていました。』

「で僕は何時になったら降りられるのですか?」

『ニワトリさんは何時まで経っても降りられません。そう体中の全ての水分が抜けて、カラカラのミイラになるまで…っと言うのは冗談でニワトリさんがあんまり激しく揺れるので縛っていたロープがちぎれてそのまま落下。』

「うわぁー」

『そのまま地面に落下したニワトリさんは、折れた翼をかばいながら白い少女に詰め寄ります。』

「ちょっと、酷い!酷すぎるよ!いくらその絵本に書いてあることを一語一句間違えないで言わなくちゃいけなくたって……、やり過ぎだよ。コケッ」

「………。」

「あの~?」

「また無言ですか。」

『ニワトリさんの折れた翼は得体のしらない謎の光により元通りになりました。』

「ありがとう。一体どうやってかはしらないけど」

「………」

「ねえ?」

(!?こいつめ台本にない行動を!)

「ねえ?ってば!!」

『すると、ニワトリさんの前に一枚の紙きれが差し出されそれにはこう書いてありました。』

「それは、私がナレーターで、ナレーターは決められた言葉しか喋ってはいけないから。」

「そんなのおかしい。貸してそんなものオイラが破り捨ててやる。」

『ニワトリさんは、ナレーターから本をとろうと詰め寄ります。けれど突然鋭い視線が………ニワトリさんが、周りを見渡すと皆がニワトリさんをにらんでいます。』

「ほら〜やっぱりニワトリなんかを私達と同じ場所に入れるべきじゃないわ。あんな小さな子に暴力を振るおうとしてる!!」

「本当ね

「……」

『周りの鋭い視線にいたたまれなくなったニワトリさんは、困っていました。』

「どうしよう。恥ずかし過ぎるよ。どこかどっかに。」

『ニワトリさんは、ナレーターの手を取ると近くにあった建物に飛び込みました。 急いでいたニワトリさんは、そこがお化け屋敷である事に気がついていませんでした。』

「なっなにこれ!?」

「どっどうしよう。間違ってお化け屋敷に入っちゃった。」

『本当のビビりなニワトリさんはブルブル震え動こうとしません。』

「だからこれは、腰が抜けて動けないの。」

『その場から、一歩も動こうとしないニワトリさんに。痺れを切らしたナレータは、強引にニワトリさんの背中を押し歩き進めます。』


『お化け屋敷特有の暗く狭い通路に、時折聴こえる怪奇音と悲鳴、一度気を許したらあちら側の世界に引きずり込まれるのではないかと言う緊張感。それら全てが、重なり織りなす暗く楽しい恐怖の世界。』

「だからそれ止めてってば余計怖くなるから。」

『ニワトリさんの背中を一筋の冷や汗が流れ、』

『暗く細長い通路を歩いているとニワトリさんの前に何か黒い影が横切りました。』

「それ……止めて」


『黒い影は、がぶりとニワトリさんの足を噛みました。』

「いった~~。なんかに足……噛まれた。」

『暗がりの中、ビビ~リ~なニワトリさんがありもしないものに足を噛まれるなんて……。』

「だから、そ―ゆうの止めて。余計怖いから。」「がむがむ。」

「ほらっやっぱりいるって現にオイラの足……噛んでるし……って犬!?そんな!?」

『ニワトリさんは、そのまま気絶してしまいました。』

『少女はそのままニワトリさんの足をつかみそのまま引きづって、ベンチにたたきつけます。』

『そして少女もベンチに座ろうとしますが、座ることが出来ません。それもそのはずニワトリさんの身体は、大きくて丸いので普通サイズのベンチにみちみちに詰まっていたのです。』

『やれやれそれはしょうがないと思った少女は、跳び上がるとニワトリさんの上に座りました。』

「ふーう。」

『少女はため息をつきます。』

「すみませんがねぇお嬢さん。」

「言葉。」

「?」

「こ・と・ば。返事して」

『突然聞こえた声は、ひざ上のぬいぐるみから聞こえます。』

「そのこの羽毛の上で良いなら。」

『少女はそう答えることしか出来ませんでした。』

「今日はいい天気じゃのう?」

「………」

「そう言えば今日食べた柿が美味しくての……」

「………」


「お嬢さんは無口なんじゃのう?無口はいうけないよ。もっと喋らなくては、誰にも気持ちを伝えられないし、その時、喋らなかったばかりに後で酷い目にも合う。」

「え?」

「昔ね、いたんだよ。無口だったばかりに人に誤解され、弁解の機会すら与えられず、その後の人生を棒に振った男が。」

「だから君も、言いたいことがあるなら迷わず言うと良い。

「喋る事……」

「重っ」

「ほへぇ~」

『呆けた後、ニワトリさんは思いっきり叫びました。』

「パプキン・ジャンだ!」

「凄い!凄い!パプキン・ジャンだよ。凄いな初めて見たよ。』

『ニワトリさんは、嬉しそうにナレーターの手を取って飛び跳ね、目を輝かせます。』

『ところが老人は、迷惑そう。辺りを気にしてそわそわしています。』

『「もう良い所だったのに。」と、怒ったニワトリはニワトリさんのお尻を一噛み。』

『奇声を上げたニワトリさんは、お尻を抱えて吹っ飛び……気が付くと、空にはオレンジ色の夕日が浮かんでいました。』


「なんかもう。疲れた明日……明日探そう。」

「酷い。ニワちゃん。一緒に探してくれるって約束したのに。」

「あれはね夕日っていうの。この時間帯になると何時も変わらずに空に昇る夕日の話。いつも同じであきたりしない?」

『ニワトリさんの言葉に少女は何も答えることが出来ませんでした。』

(なにも変わることがない日常だとばかり思っていたのに今日は色んなことが起きたな……)





まだ続きます。この作品読んでくれてありがとうございました。

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