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8:変更

話が進んでないのに8話です。


京からの提案には驚いたな。

いつもなら『俺、今日サークルで飲み会あるから』とか言って食堂を出たら別れそうだったのに。




実際、飲み会という名の合コンがあったらしいけど、丁寧に断りの電話をしてたし。



しかも代役を立ててた。




僕と京の交友関係の広さに違いがありすぎる。



正直羨ましい。




学校の正門に向かう道すがら一応聞く。



「本当によかったの?合コン断って」




「気にするなよ。三人で飯食って、久しぶりに早く帰って妹とWIIで遊ぶさ」




……シスコ――ゲフンゲフン。あー…妹思いなんだね。




「何か変なこと思わなかったか?」



「ん?」



「顔にでてるぞ」



「……」




京には勝てないなぁ…。




「…で、何食べる?」



「あからさまに話逸らしたな」


「気にしないで」



「気にしたら負けだと思うから気にしない。……まぁ、神楽ちゃんはまだ小さいから薄味の和食でいいんでないか?」



「何故に薄味?そして和食?」


「小さい時は味覚が敏感だから、薄味で出汁の味とか和食に親しんだ方が大きくなったときに味覚が豊かになるんだとよ」



「へぇ〜、じゃあ肉じゃがで。あと冷凍庫に鰆があるから焼こうかな」



「渋いな」



「性分なもので」




互いに見合ってニヤリと笑う。特に意味はない。




「――っとぉ!おい樒。アレ…」




二人でニヤニヤしてると京が何かに気付き指をさす。




その指の先を見ると……。




「っ!!か、神楽ちゃん!?」


正門に背を預けて立っている神楽ちゃんがいた。




神楽ちゃんはこちらに気付くと全速力で走って僕に飛びついてきた。




物凄い笑顔で。




「どうしてここに!?」



神楽ちゃんは笑っている。



京はニヤニヤしている。




「留守番を頼んだはずだよね、神楽ちゃん?」



神楽ちゃんは俯く。



「アレだろ?樒に会いに来たってところだろ?」



すると神楽ちゃんは『分かってるじゃねーかミーちゃん!』という勢いで京に親指を立てる。



京もサムズアップ




「樒もさ、せっかく迎えに来てくれたんだから喜ぼうぜ?どうせ部屋に盗られて困る物は無いんだろ?」




「酷い言い様だね」




僕にだって盗られて困る物くらい……特に無いな、うん。




京はそんな僕の顔を見て『だろ?』と爽やかに笑いかけてきた。




京はその笑顔で何人の女性を弄んだか知らないけど、僕は騙されない。




僕、男だし。



「まぁ、職質されても知らんが」




…ですよね。




「あ、そう言えば夕飯はどうする?」




神楽ちゃんが外に出てきたので、先程まで話していた事が前提から覆された訳で…。




「せっかく来てくれたなら、夕飯は外食でいいんでないの?」



京はあっさりと先程の話を覆した。

思い切りがいいな。




「和食で外食……○庵?」



「夢○かぁ。ん〜…。あ、そうだ!丁度いい。それなら俺がよく行く店にしないか?」



「そんな所あるの?」




てっきり京が行くところなんてファミレス・居酒屋・バー位かと思ってた。




「少し変わった場所にあるから結構穴場だぜ?味は保証する」


「へぇ…、それじゃ行ってみようかな」






京の提案に従い、そのお店に向かうことにした。

次話で少し変化があるかもしれません。

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