21:瞑目
久しぶりの更新です。
京は夕飯を思いっきり食い散らかした挙げ句、片付けも手伝わずに帰ってしまった。
神楽ちゃんは片付けを手伝おうとしてくれたけど、父親らしい所を見せたいがために断った。
果たして、本当に父親なのかは不明だけど。
父親確定でも困るんだけどね。
片付けも終わり、テレビを視ていた神楽ちゃんの元へ行く。
……って、時代劇観てるし。
目をキラキラさせながら時代劇て……。
本当に子どもなのかと。
神楽ちゃんを横目に京が床に散らかしたお菓子の包みを片付けていく。
そこでルーズリーフを見つけた。神楽ちゃんが名前を書いた物だろうか。
見ると名前に加えて、何か長い文章が書かれていた。
………………。
思考が止まった。
神楽ちゃんを見る。
変わらずテレビに釘付け。
ルーズリーフに目を落とす。
再び神楽ちゃんを見る。
……これは突っ込むべきなのかな?
「………か、神楽ちゃん?」
恐る恐る声をかける。
すると、神楽ちゃんはチラッとこちらを見るがすぐにテレビに向き直ってしまった。
「…………あのぉ……神楽ちゃん?」
もう一度呼ぶ。
今度はこちらをしっかり見てくれた。
「これ……何?」
手に持っていたルーズリーフを見せる。
神楽ちゃんはギョッという擬音がつきそうな位の驚き方をすると僕の手にあるルーズリーフを引ったくった。
顔面蒼白。
……何だか悪いことをしてしまった気分だ。
居た堪れない。
「お……お風呂入ろうか?」
ハイ、この状況から逃げ出した僕はチキンです。
神楽ちゃんがお風呂に入ってる間、頭の中のグルグルとした状態を抑えるのに神経を総動員していた。
狼男が異世界の敵で、神楽ちゃんは異世界からやってきて、魂が親子で………えーっと、平行世界は異世界で、魔法魔術が当たり前で、科学より発達して……。
………………。
…………。
……。
うん、そういう事なんだよね。
考える事を放棄した。
何だか大切な事を忘れてるような気がするけど、忘れてしまったんだから大したことはないんだろう。
暫く考える事を放棄して頭の中で花畑をスキップしていると、神楽ちゃんがお風呂からあがった。神楽ちゃんと交代で僕もお風呂に入った。
一緒に寝た。
一緒にベッドに入った神楽ちゃんは最初、僕から少し距離を空けて寝ていたけど、身じろぎしながら徐々に近付いてきた。
仕舞いには手を繋ぎ、顔を僕の胸板に押し付けるように埋めて寝るという、どこの恋人だという体制に行き着いた。
……何て言うか……幸せ。
いけない道……もとい父性に目覚めてしまいそうだ。
実際に子供ができたら毎晩こんな気持ちになるのだろうか。
………寝れないよ。
こんなの毎晩続いたら72時間働けますか!?の某財閥社長もビックリな状態になってしまいそうだ。
取り留めなく悩んでいると、隣からは穏やかな寝息が聞こえてきた。
何時の間にか神楽ちゃんは眠ってしまったようだ。
そして、神楽ちゃんの寝息につられて僕も何時の間にか眠りについてしまった。
年度末から忙しくなり書く時間がしっかりと確保できませんでした。
時間の使い方が下手なのが目下の悩み。