17:始末
そろそろ花粉症には辛い季節です。
倒れやがった……。
俺、まだ体が震えてるだぜ?
歩こうとしても、さながら生まれたての小鹿みたいなのさ。
足がプルプルして覚束無い。
それなのに樒を背負ってる俺って凄くね?
「くそぉ〜、こんな場所でぶっ倒れやがって…」
もう牛歩だよ。ゆっくりゆっくり、一歩一歩着実に。
「あー、感謝すべきかせざるべきか」
非常に微妙な気分だ。
神楽ちゃんも微妙そうな表情だ。
樒のおかげで首は繋がった訳だが結局樒を背負いながら帰路につく有り様。
俺はともかく、神楽ちゃんは『父親』の樒と会えたというのい当人はぶっ倒れる始末。
可哀想すぎる。
まあ、寝てる本人には何も言えない訳だから気にしても意味がないか。
樒の部屋に着いたてからはもう大変。
樒はそのままベッドに寝かせ、俺は落ち着いて風呂に入るべく勝手に湯を溜めてたら、狼男の死体のグロさを思い出してトイレで土下座。
マーライオン。
湯が溜まる頃には風呂に入る気も失せ、床でゴロ寝。
気付いたら朝。
学校へ行く気分になれる訳もなく、既に起きていた神楽ちゃんに帰ることを伝え、樒には置き手紙を残して帰宅。
神楽ちゃんは戸口まで俺を見送ってくれた。
去り際の俺の手を神楽ちゃんが握る
目を向けると、神楽ちゃんは申し訳なさそうな顔をしていた。
あぁ、そんな顔すんなよ。そんな顔してると樒に心配されるぞ?
苦笑しつつ、樒に倣い笑いながら頭を撫でる。
神楽ちゃんが僅かに笑う。
そして、俺に深くお辞儀をしてきた。
俺はすぐにお辞儀を止めさせる。
また頭を撫でて、手を振りその場を後にする。
家に帰ったら、丁度妹の登校時間で、フラフラしながら妹を学校まで送り、また帰宅。
そういえば神楽ちゃんって今日学校行かないのかな?
……さすがに今日は行かないか。二日連続休み?
風呂にも入らず寝る。
夕方に起きて風呂に入る。
メール・・・樒3件、他14件
着歴・・・樒32件、他6件
メールと着歴がビックリなことに。
以上、ダイジェスト。
樒以外のメールと電話は知り合いとバイトの連絡なのでひとまず保留。
樒は……電話で済ませるつもりは無いから直接部屋へ行くことにする。
道すがら今では珍しい駄菓子屋でお菓子とジュースを購入。
ささやかな手土産。
で、樒の部屋に行ったわけだが………。
「よぉ………って、どうした?そんな今にも自殺しそうな顔して?」
そこにはいかにも『挙動不審』といった様子の部屋の主が居た。
「京!神楽ちゃんが居ない!」
挨拶無しに開口一番、詰め寄ってきた。
雰囲気からして狼男と暴れてた樒ではなく、俺がよく知る樒のようだ。
「はぁ?どういうことだよ!?」
「それは僕が知りたいよ!」
「朝、俺が帰った時にはまだ居たぞ?」
まずは軽く説明をする。
普通に考えれば俺が帰ってから樒が起きるまでに消えたことになる。
「んー、立ち話もアレだ。まずは部屋に入れろ」
ずかずかと部屋に入る。
床に座り、ジュースの蓋を開ける。
「ほい、樒も飲むか?」
缶ジュースを一本差し出す。
「そんな落ち着いてる場合じゃないんだよ!」
そりゃそうだわ。
「……で、探しに行くか?」
ジュースと買ってきたお菓子が入った袋ををテーブルに置きながら尋ねる。
「……どこへ?」
まだ混乱しているようだ。
「オイ、しっかりしろよ親父」
「〜〜っ!……あぁーーイライラするっ!!」
やべ、樒が壊れ始めた。
神楽ちゃんを心配するのはわかるけど、昨日の今日で独り外出するってことは、それなりに安全ってアタリでもつけてるんでないのかね?
ジュースを半分ほど飲んだところで切り出す。
「昨日の場所じゃないか?」
「よし、行こう!」
決断早いな。
でも、丁度いいか。
俺も神楽ちゃんに会いたいからな。
聞きたいこともあるし。
書きたいネタがあっても上手に書ける技術が無いです。