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14:契機
短いです。
僕は動けなかった。
曲がりなりにも僕の娘である神楽ちゃんが危険に晒されているにも関わらず。
当の神楽ちゃんは僕らの前に出て……僕たちを守っている。
京は奴――狼男――の攻撃を回避した上に、軽口まで言っていたというのに。
歯痒い。
口惜しい。
みっともない。
せめて、皮肉の一つでも言ってやれたら……。
せめて、神楽ちゃんを守り、敵を退ける力があれば。
でも、僕にそんな力は無い。
今までこんな事は経験したことすらない。
でも守りたい。
何も出来ないくせに言うのはワガママかもしれない。
でも、力がほしい。
自分の弱さを確信した今だからこそ思える。
絶対的な力じゃなくていい。
今だけは、神楽ちゃんと京だけでも守れる力がほしい。
今……君の思いに答えよう。
ご都合主義は大好きです。
燃える展開なら尚更。