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【完結済み】4層世界の最下層、魔物の森で生き残る~生存率0.1%未満の試練~  作者: 鳩夜(HATOYA)
第二章 排除装置の破壊と闘気の存在

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36話 決着

 二人がまた接近しようとした時、砲台が光始めた。


「まずい、また撃ってくる! 回避に専念!」


 ハナがそう言った瞬間、連射で魔力弾が放たれた。


 それに全神経を集中し、二人は見事に回避していたが……


――ガンッ


 と弾く音がしその瞬間、フーチェの背中に魔力弾が着弾してしまった。


「あぁッ!!」

「フーチェさん!!」


 背中は真っ黒に焦げ、抉れてしまっている。

 そしてフーチェはそのまま気絶してしまった。


 幸いエンハンスは発動したままであった。

 出血は抑えられているがいつまで持つか分からない状況だ。

 そして、ハナには攻撃手段がほとんど残されていなかった。


「諦める訳には行かない! こっちだ!」


 ハナは残った二本の剣を抜き、真っ直ぐに走った。

 しかし、蜘蛛型兵器が標準を合わせたのはハナではなくフーチェの方だった。


「く! 私では無くフーチェさんの方を狙うのか!」


――ドドドド!


 ハナは咄嗟に移動し、フーチェを守るように魔力弾を受けた。

 剣で軌道を変え、全弾直撃とはならなかったが……


「かはッ……」


 刃は砕け、身体は焼け焦げ既に動ける状態では無くなっていた。


「まだ……終わらない……!」


 そんな状況でもハナは絶望した表情は見せず、蜘蛛型兵器を睨みつけた。


 その様子に一切関せずと言わんばかりに、頭部の砲台は再び光始め、ハナの方へと向いていた。


(もう動けない……!)


 ハナがそう思った瞬間だった。


「六輪、バーストチェイン」


 どこからかそう声が聞こえ、上空から光り輝く爆発が連鎖し、蜘蛛型兵器に降り注いだ。


「あれは……」


 爆風が消え、その先に見えたのは大きく抉れた地面と脚部のみ残しその他の部分はすべて焼失した蜘蛛型兵器の残骸……そして


「お兄ちゃん……!!」


 ハナの兄、ロフルの姿だった。


・・・

・・


――時少し遡り……

――二手に分かれた直後


 俺が静止した蜘蛛型兵器にブラストを放った時、砲台が破壊される程度だった。


 それだけで奴は非常に硬いと言う事は理解できている。

 出し惜しみは無しだ。


 速攻で倒してすぐにハナ達に駆け付ける。


 そう決めた俺は更に速度を上げ蜘蛛型兵器の方へと向かった。


「見えた……!」


 俺が近づいても一切止まる気配が無く、真っ直ぐに走る。

 一体どこへ向かっているのだろうか……。


「四輪、バインド!」


 気を引く為に脚部を狙って魔法を放った。


 バインドは見事に絡まったが、数秒程度で振りほどかれてしまった。

 だが、


「お、やっと俺に気がついたか」


 蜘蛛型兵器は移動を止め、こちらの方へと向いた。

 そして、魔力弾を無数に放ってきた。


 俺は魔力弾を手の甲でいなし、全て弾いた。


「この程度の攻撃なら、弾く必要も無かったな」


 そう呟きながら右手に闘気を貯めた。

 そして、その場で闘爆衝×バーストの合わせ技

 六輪、バーストチェインを放った。


 本当は闘爆衝に寄った技名で命名したかったが、六輪バーストを続けて言わないとバーストが発動しない為、諦めた。

 ただ、その後に何かつけるのは基本的に自由なのでこの名前に命名した。

 自分でも使い分ける為に技名は分けておいた方が良いだろうしな。

 いずれ誰かに教える事があるかもしれない。名前が無いと不便だ。


 バーストチェインは蜘蛛型兵器を一瞬で跡形も無く消し去った。

 右腕の保護を最優先にする為、技の威力自体は道場の時より少し減衰している。

 それでも対象を消し去るほどの威力……どちらにしても扱いを間違えれば大変な技だ。


「腕が少ししびれる……が、問題なく動く。あと一発位なら行けそうだ」


 そう呟き、すぐさまハナ達の元へと走った。


・・・


 だが俺は間に合わなかった……。

 もっと早く片付けていれば、こんな事にはなっていなかった。


 俺はフーチェの背中にスライムボールと薬草で作ったジェル状の薬をたっぷりと塗った。


「スライムボールが汚れを吸収して、薬草成分が傷を癒す。絶対に良くなるからな」


 苦しそうにうなされるフーチェの手当てをしながら俺は悔しさがこみあげていた。

 すると、


「ロフル……さん。有難うございます。痛みが一気に引いてきました」


 と小さな声でフーチェは言った。


「良かった……! 意識が戻ったんだな。しばらくはそのまま横になっとくんだ」


 俺がそう言うと、フーチェは小さく頷きもう一度眠りについた。


「さて、ハナも塗らねーと」


 そういって俺はハナに近づいた。

 すると、


「ハナは大丈夫だよ。お兄ちゃん」


 と言ってきたが、


「ダメだ。顔の傷とか残ったらどうするんだよ。こんなに可愛いのに」


 といって顔や身体の負傷部分に塗り始めた。

 ハナは顔を少し赤らめながら、俺にされるがままに薬を塗られていった。


 そして塗り終わったころに、サーチが光始めた。

 リリアナが呼んでいるようだ。


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