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【完結済み】4層世界の最下層、魔物の森で生き残る~生存率0.1%未満の試練~  作者: TOYA
第二章 排除装置の破壊と闘気の存在

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29話 それぞれ

――半年後


 俺の目の前には大岩がある。

 その場で構え、ゆっくりと闘気を循環させ、右腕に集中させた。


闘爆衝(トウバクショウ)!」


――ドン!!


 闘爆衝によって大岩はバラバラに大破した。


 周囲で俺の姿を見ている岩剛斎やリリアナはそれを見て驚いていた。


「そしてもう一つ……」


 俺はそう呟き、先ほどよりさらに大きな岩の前に立った。

 そして、もう一度闘爆衝の構えを取った。


 右腕に闘気が集中したタイミングで、魔法輪に触れた。


「六輪、バースト!」


――ズドドドド……チュドン!


 俺は右腕で闘爆衝を放つと同時にバーストを発動した。


 すると、闘爆衝とバーストの爆発が相互作用し連鎖爆発した。

 そして、爆発の飲み込まれた大岩は完全に粉塵と化した。


「何という威力じゃ……」


 岩剛斎は驚愕しながら呟いた。


 バーストと闘爆衝の射程はせいぜい2~3mである。

 しかし、この技は連鎖爆発を引き起こし、射程が15m程まで伸びていた。


 とてつもなく高威力な技だが、使うリソースは魔力と闘気で分かれている為、結果的に燃費が悪くない。


 魔力の枯渇は抗う事が出来ない気絶を引き起こしてしまう。

 魔力を抑えつつ闘気を活用し高威力の技を出す……

 今後もそれが重要になってきそうだな。


 とは言え……


「衝撃を闘気で守り切れなかったみたいだ。腕に感覚が無い……」


 俺の腕の骨が複雑骨折していた。

 これだけの威力……当然砲台の役割を持つ腕の保護が足りなければこうなる。


「うわ! 凄い色になってますよ腕!」


 フーチェは俺の腕を見て慌て始めた。

 そして岩剛斎は、


「その技は当分禁止じゃ! 腕を治すまで安静にするんじゃ」


 と俺に強く言った。


 闘気装とエンハンスを纏えるようになった為、施設の調査へ行く準備は出来た。

 とにかく……まずはこの腕を治さなければ……。


・・・・・・

・・・

・・


――同刻 下層(第三層) 0.0地点前哨基地


「ハナ総司令官! 第四の門、修繕が完了いたしました」


 革で作った鎧を全身に纏った青年は敬礼しながら言った。


「総司令官なんてつけなくていい。守衛隊長でさえこそばゆかったと言うのに……とにかく、よく間に合わせてくれた! そのまま配置についてくれ」


 ハナがそう言うと、青年はハナ様承知いたしました! と応えその場を離れた。


「……総司令官よりだいぶましか」


 ハナはそう呟きながら大きな地図を広げ、入念にチェックをし始めた。


 謎の巨大穴を発見してから約半年間……最初は魔物の出現に大きな痛手を負ったが、徐々に法則などが分かってきた。

 魔物の発生は月に一回で、決まった4カ所から同時に穴から這い出てくる。


 4カ所から出た魔物は規則正しくまっすぐに直進し、その後四散する。

 理由は分からないが不気味なまでに統制が取れたその行動は、結果的に対策しやすい要因となっていた。


 この現象が起き始めてからは、すぐに周囲の村に伝令を放ち状況を共有した。

 既に壊滅した村などもあり、非常にまずい状況だと言うのは殆どの村が認識していた。


 この状況を打破すべく、ハナは協力者を募り、0.0地点にて魔物の討伐と防衛をする事となった。

 そして、簡素ではあるが、丸太で防衛用の門と壁を建設した。

 門は全部で4カ所……魔物が出現した際には3カ所の門は他の者に任せ、ハナはたった一人で一つの門を防衛し、無傷で討伐し続けていた。

 

 そしていつしか、ハナは総司令官や戦乙女やら呼ばれるようになっていた。


「さて、もうじきだ」


 ハナはそう言って立ち上がった。

 その腰には左右に2本づつ、計4本の長剣を携えていた。


「お兄ちゃん……無事だよね……?」


 一瞬ハナは不安な表情を浮かべたが、首を振りすぐにいつもの凛々しい表情へと戻した。


 そして、戦場となる門へと向かって行った。


・・・

・・


――2ヵ月後 最下層 岩剛斎道場


「完全に治ったみたいだ」


 俺は腕や手を回しながら言った。

 怪我の後は腕の治療に集中しつつ、エンハンスと闘気装を同時に長時間纏えるようにひたすら練習した。

 エンハンスに関しては出力1の場合、魔力の回復速度の方が早くなっており、永遠と発動出来るようになっていた。

 闘気装に関しては纏っていると体力を消耗して行く為、疲れが出てくるとその分乱れてしまう。


 維持できる時間は平常時で約半日……実際に戦闘などした場合はもっと短くなるだろう。


「本当に一人で行くんですか?」


 ストレッチをしている俺に、フーチェは心配そうに声を掛けた。


「俺しか行けないからな。まぁ安心して待っててくれ」


 行ける条件を満たせるのが現状俺しかいない。

 ハナが居れば修行次第で行けるようになったかもしれないな。


 ハナ……下層もあの施設の影響が出ていなければいいんだが……。


「よし、じゃぁ早速行ってくるよ」


 そう言う俺に、フーチェは気を付けて行ってきてねと言い、手を振った。

 それに応えつつ、足早に道場を後にした。

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