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7話「ゼーマン帝国の第三皇子」




第三皇子を接待するためにガゼボにお通しした。


ガゼボには色とりどりの花が飾られ、とても華やかだ。


「初めましてフォスター公爵令嬢。ゼーマン帝国の第三皇子エデル・ゼーマンです。以後お見知りおきを」


黒髪黒目の美少年が優雅に挨拶した。


スタン殿下は金髪碧眼の美少年でした。


エデル殿下はスタン殿下とは違うタイプの美形ですわ。


「フォスター公爵家の長女、アリシアです」


私は自己紹介をし、カーテシーをした。


エデル殿下は私より三歳年上の十三歳。


エデル殿下の兄二人は皇妃様の子で、エデル殿下は側室の子。


エデル殿下の母親の身分は低い。エデル殿下は第一皇子や第二皇子より優秀なため、祖国で命を狙われていたそうです。


皇帝はゲート国でも力のある公爵家に、第三皇子の保護を求めてきた。


第三皇子が、私の婚約者になりたいと言い出した理由が分かりました。


「エデル殿下、私はある理由からスタン殿下と婚約したくありませんの。そしてエデル殿下は祖国に帰りたくない。私たちの婚約は互いに利益があると思いません?」


「君は自国の王族と結婚したくない。僕は僕の身を保護してくれる力のある貴族と縁を結びたい。確かに互いの利害が一致しているね」


「私たち気が合いそうですわね」


「僕もそう思ったところだよ」


私が愛想笑いをすると、エデル殿下も作り笑いを浮かべた。


「婚約者が決まったのはよかったけど。ロマンチックなムードが一ミリもないね……」


父がため息をついた。


お父様は私に恋愛結婚してほしかったのかしら?


エデル殿下のことは嫌いではありませんが、一度お会いしただけで恋愛感情は抱けませんわ。


一目惚れは前回の人生で懲りましたわ。


ですが何年か一緒に過ごせば、情が移り、彼を好きになることもあるかもしれません。


「お父様、国王陛下に私とエデル殿下の婚約を認めさせることはできますか?」


この国の貴族の婚約には、国王の承認がいる。


国王が第一王子を公爵家に婿入りさせたい場合、私とエデル殿下の婚約を認めない可能性もある。


「もちろんだよアリシア。わしが第二王子の派閥に入り、中立派の貴族を説得して第二王子派閥に入れると言えば、陛下は二つ返事でうなずくよ。ちょうどよい機会だ、陛下に第一王子を捨てる覚悟をさせるよ」


これで第二王子のファルケ殿下が、王太子になることは確定ですね。


「さすがお父様ですわ。ですが私とエデル殿下の婚約は、時期が来るまで内密にするように、陛下に約束させてください」


「第一王子のスタン殿下を油断させ孤立させるためだね」


「ええ、スタン殿下のことですから、ご自分の危うい立場をご理解していないことでしょう。ファルケ殿下が立太子するまで、自分が王太子になれると信じ疑わないでしょう」


「ファルケ殿下は優秀だがまだ幼い、ファルケ殿下が成長するまでの時間稼ぎもできるね」


「ええ、ファルケ殿下が立太子したときには、周りに誰もいなくなっていますわ。家族も、友人も、側近も、婚約者候補も、全て離れて行っているでしょう。その時になって慌てて婿入り先を探すスタン殿下を想像すると、思わず頬が緩みますわ」


「追い打ちをかけるように、アリシアとエデル殿下の婚約を発表する。確かに愉快だね」


「お父様は中立派の貴族を説得して第二王子派につけるんですもの。当然、私とエデル殿下の婚約を認めさせる以上のことを、してくださるのでしょう?」


「もちろんだよアリシア。ファルケ殿下が立太子したら、スタン殿下の王位継承権を剥奪して、王族から除籍して、貴族に婿入りさせる確約も取り付けるよ」


「さすがお父様ですわ」


「君たちもしかして、かなり悪い話してる?」


「エデル殿下、この話を聞いてしまったからには、後戻りはできませんわよ。一蓮托生。私の夫になる方にも同じ罪を背負っていただきますわ」


「どこの家にも他家には言えないことがあるもんだよ。面白いから僕も話にのるよ」


エデル殿下が仲間に加わった。


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― 新着の感想 ―
[一言] エデル殿下なかなかに聡いですね。どこの家でも秘密があるっていい言葉ですね…
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