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人格形成は環境のせいで95

こんばんは。

最近料理関係のドラマが好きです。


あ、近未来の話頓挫したままになっていること、思い出しました。


まずはこの章を最終まで書きますね。

応援、反応、ブクマ、評価、お手数ですが、書くことの血肉になります。

よろしくお願いします。

        ※


 彼女は私たち二人の手前で自らの足に急ブレーキをかけ、前のめりになって私とサナレスを代わる代わる凝視したかと思うと、瞳から大粒の涙を惜しげもなくこぼし始めた。

 何かを言おうとして、両手で口元を押さえ、感極まる気持ちを落ち着けるように、彼女は呼吸を整えていた。


「アセス……?」

 そう呟いてこちらに手を伸ばしかけたかと思うと、傍にいるサナレスの胸の中に顔を埋めてしまう。私は彼女が近寄ってくるのかと心臓を跳ね上がらせたというのに、肩透かしを食らって、思わず恨めしげに上目遣いにサナレスを見る。


「リンフィーナ」

 私の口に出さない非難に視線を感じ取ってか、サナレスは彼女の肩に手を回して、私の方を向かせようとしてきた。だが次の言葉に悪意を感じる。

「元、婚約者だからって、なんてことはない」

 モトという部分を強調してくるあたりのサナレスの性格の悪さに、私は言葉を詰まらせてしまった。斜め上から私を見下し、勝負はここから始まっているのだとマウントを取ってくるあたり、彼らしくて頭を抱える。


 私は感情を表情や態度に表すことを苦手として、束の間黙ったまま硬直していた。顔にはでないけれど、彼女と再び出会えた嬉しさに高揚感を覚え、そんな自分に照れていたというのに、私の見た目と言ったら、ただ黒曜石の瞳で彼女を捉えているだけだった。


 サナレスがもう一度彼女の肩を押し、私へ一歩の距離を縮めた。そうして彼はリンフィーナの耳元に、私に聞こえない何かを言って、意味ありげに口の端を上げる。

 リンフィーナはサナレスから伝えられた情報に目を見張り、複雑な表情でサナレスを見つめ、首を振っている。


 意味深な二人の様子に耐えかねて、私は思わずリンフィーナの手首を掴んでしまった。そうしてそのままの勢いで羽根のように軽い彼女を私の胸元に引き寄せてしまった。

 サナレスはその様子を見て微笑み、顎を触りながらため息をついた。


「久しぶりの再会だ、ゆっくり話すといい」

 私が目覚めたことで忙しくなったと言い残し、サナレスは私とリンフィーナを残して背を向けた。二人にしてくれたことには感謝をしたが、私はすかさず彼女に確認する。

「彼は、貴方に何を?」


 リンフィーナと私は即座に息を合わせて言葉を発した。

「彼じゃない!」

「彼じゃなくて!」

 言葉がハモって、私たちは顔を見合わせた。

「サナレス」

「サナレス兄様」


 私の後に重なるように言うリンフィーナは、別れる前の彼女のまま、ブラコンのサナレスが彼女史上第一の存在のようだ。


 敗北感は、いつも否めない。

 だからーー。

「貴方がサナレスとーー。その……そういう関係になっていても、私は構わない」

 私はかつて、肉体のつながりなど、さほど重要視せずにいた。だから歪な母との関係を永遠に葬ってしまうことに平気で、母との歪んだ関係ーー私のコンプレックスに関わる話など、彼女に話すつもりなどない。だから彼女がサナレスを望んでもそれは、何も言うつもりもない。言わないから私をもう一度、土俵に上げてくれはしないかと、なりふり構わず懇願するつもりだった。


 悔しいことに何度目かでサナレスから与えられたリンフィーナとの時間を、どう過ごせばいいのか、自分の振る舞い方に頭を悩ませる。

 冷静に目を覚ました場所は、おそらくは石造の死体安置所である。この状況で考えた。


 マリアと悠美、私は初めて深く関わった異性との関係を、遠くに思う。ーーそして身近に思う。


 愛情ってね。

 全てを壊すし、逆に全てを受け入れるんだ。

 だからーー。


「貴方がサナレスを選んでも、私は構わない」

 それに耐えうるぐらい、私は貴方を。

「愛しているから」

 

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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