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人格形成は環境のせいで9

こんばんは。

平日の夜のルーティーン。小説を書く。


お酒を飲みながらっていうルーティーンだったのだけれど、とあるYouTubeで酒は合法ドラックなんて面白い言葉を聞いて、やめてみるかと決意しました。

とすると夜の別のルーティーンをなんか考えなければならない。


小説を書くことは続けるけれど、さてあとは何するかなぁ。

        ※


 私は、アセス・アルス・ラーディオヌ。

 ラーディオヌ一族の総帥であり、一族を背負う立場にあった。


 そうだというのに、なんの因果で異世界のどこの誰とも知らない夫婦の子供に生まれ、彼らとの縁を持たなければならなかったのか。

 ぼやきたくなるが、赤ん坊の姿ではぼやくこともできやしない。


 だが私が変わらなければ、悠美ーーつまりこの世界の私の母は、父と離婚という破局に向かうことを宣言している。


 この世界での時間が、アルス大陸においてどれくらいの尺を持っているのか、見当もつかなかった。

 あと、散り散りになった自分の五分の四の魂はどこに行ったのか?


 目の前の問題は、若い夫婦に育てられる安定した自分の生活の確保だった。

 父親がいうように、仕事というのは食べていく上で重要なので、生活感がなさそうな母には離婚はして欲しくはなかった。


 この母は湯浴みが適当なんですよ。

 髪の毛もなんだかわからない泡のでる液体をつけて洗えばいいと思っていて、満足な髪の手入れも知らないらしい。

 耳とか目に泡や湯が入らなければそれでいいと思っている。


 挙げ句の果てに、食事が貧しい。


 赤ん坊でなければ声を大にして言いたかったことがある。


 どうして食事の用意をする時、生物が生きる糧になっている食べ物の匂いがしないのか?


 自分に与えられるものは、粉状になった飲み物が大半で、大人である両親もカプセルに入った薬のようなものを常に飲んでいるような有様だ。調理すると言っても、数分間磁気を帯びた箱に銀色に密封された袋を入れて終了してしまう。

 飲み物と言ったら、これまた銀色の丸い筒に入ったものをプシューっと開けて、グラスにも注がずに口をつける。


 銀色の入れ物に入っていないもの以外は、パックという白いなんの装飾もない粗末な皿に盛られていて、食事を終えるとそのまま捨てているのだ。


 私はさほど食に興味がない質だと自覚しているが、それでも違和感は拭えない。

 この世界は衛生的であり仕事に不自由しているようではないのに、豊かなのか貧しいのか、判別が付きにくい。


 ーーおそらくは貧しいのだろうと、私は思った。


 生命体である人が大切にするべきものは身体だという。それを大切にできる環境があるかどうかというところが肝心なのだが、赤子の命で率直に思ったことは、ーーこの世界は保守的であるが故に、人の生き様を惑わしてくるようだ。


 ラーディオヌ一族も誉められたものではなく、世襲制度などでがんじがらめになっていたが、異世界もまた違うベクトルでがんじがらめになっていて、大人は生きにくそうだと同情した。


 次の日からアセスは行動を改めた。

 なるべく親に対して反抗的な態度は取らない。


 愛想を振って可愛げのある子供を演じることは難しかったが、母親が抱いてきたら大人しく抱かれることにした。見つめられたら、見つめ返すことを努力した。


 五分の1の魂になったけれど、術力は使えた。

 詠唱を唱えなくても指一本で色々なものを動かせた。

 だがこの能力の一切を封印して、普通の子供を装った。


 そうして一年経つまでに這いはいを覚え、一年経つ頃には辿々しいながら初話スキルを見につけた。年月は瞬く間に過ぎて、歩けるようになると学校で就学することになった。

 義務教育というらしく、この国の民はに教育は義務付けられていた。


 中学校を卒業するときに、卒業式という式典があって、そのとき悠美はなぜだか泣いていた。

 目立たず騒がず、極力扱いやすい子供として成長してきのに、こちらが恥ずかしくなるぐらい、母は泣いていた。


「母さん、私は何か悪いことをしましたか?」

「ううん……。ううんそうじゃない。嬉しいのよ」

 彼女はそう言って微笑んだが、私には意味がわからず困惑するばかりだった。


 恐るべき卒業式。困惑は母の涙だけには止まらなかった。

 色々な女性徒達に写真を撮られた。それだけではない、この日初めて見ぐるみを剥がされた。


 最初は制服についたボタンを少しづつ剥ぎ取られたのだが、最終的に上着にネクタイ、断らない限り全てを持っていかれ迷惑極まりないというのに、他の男子生徒から煙たがられるという理解できない風習を知ることになった。


 期限は一週間しかないはずなのに、瞬く間に私は成長曲線を辿って、明日からは高校生になろうとしていた。


 偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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