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人格形成は環境のせいで8

おはようございます。

平日一日一話ペースで書いています。

お付き合い頂きありがとうございます。


感想、コメント、ブクマなど励みにしていますので、モチベーションの向上によろしくお願いします。

        ※


 私にはわからないーー。

 人の心の機微なんて。


 次代の一族の後継者として幼少期を過ごした私は、人に甘えるなどという所作は知らない。そのことが、異世界で母になった女ーーつまり悠美を傷つけてしまったのだろうか。


 私にはわからないーー。

 子供から拒絶される親の不安なんて。


『普通の暮らしをしたい』

『この子、なついていないみたい』


 そんなことを言われても困る。

 別世界の時期総帥として生きてきた私には、母子の関わり方などわからないのだ。


 この度はたまたま、凡人の女を母に持った。


 それなのに彼女の言葉は、自分の胸に刺さる。


 父親は忙しく、常に母という存在は一人子供に向かい合う世界という点では、妙なことだが異世界には共通点があった。


 ナリス・アルス・ラーディオヌ。

 ラーディオヌ一族の総帥として一族を背負う父は、ひと回りどころか、4百歳も年下の若い貴族の娘、マリアという女性を正妃にした。


 父は確かに母を大切にしていたと思う。絶世の貴族の美姫を正妃にした喜びは、つまらなく生涯仕事に捧げた彼の、唯一の功績と言っても過言ない。


 けれど父は、若い母に対して十分な時間を使って、その愛情を示せたのか?

 母の魅力に魅入られた父は、おそらくは母に対して、どんな望みでも叶えたであろう。


 けれどそれはどこまで続いたのだろうか。

 自分という王位継承権がある皇子をマリアが授かり、忙しく老いた父は、どこまで母に接する時間を使えたのだろう?


「ねぇあなた……。こんな時代に医者が大変だってこと、私はわかってる。理性ではわかってるんだけどね、このままじゃ離婚だからね」


 自分の過去を思い出している異世界的現在、空気感は率直に不穏だった。


 離婚ってなんだろう?

 離縁のことだろうか。


 夫婦として交わって別れることなど、あってはならないはずだ。

 自分がいた世界では、貴族間の夫婦に別居はあっても、死別以外で離縁するなんてご法度だった。


 まして子供もいるのにーー。

(私が可愛げのない子供だったことが原因か!?)

 おかしな罪悪感が支配してきて、赤ん坊でしかない自分はちっと舌打ちした。


 この夫婦、別れさせるわけにはいかない。

 法を犯させるわけにはいかない。


 縁あって、子供という強い関わりを持ってしまっているから。


 ため息しか、付けなかった。

 

 反省はしているのだ。

 母と子供の正常な関係がわからない私には、ハードルが高すぎて、世界の理で親子になった関係性上、急に自然な演技はできなかった。


「おぎゃぁーー!」

 理路整然と弁明したいところだが、ーーいきなり赤ん坊が言語巧みに話すことなどはあり得ないことで、私は唯一できること、つまり泣きの一手を投じてみた。


 私の期限は七日から十日。

 こんな赤子から、しかも破綻しそうな親子関係から修復することなんてできるのか。

 泣き疲れると赤子の体力はすぐに無くなり眠くなってくる。私はまた、ため息をついた。

 偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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