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人格形成は環境のせいで71

こんばんは。

少し間が開いてしまいましたが、投稿を続けていきます。


ユーチューバー並の頻度で投稿します。

お付き合い、よろしくお願いいたします。

         ※


 2匹の竜は、ただ気まぐれに現に戻ろうと暴れ回っている。この2匹は私と契約したはずで、今こんなにも自由でいていいはずがない存在だ。


 それは私の力が足りないからだとわからないわけではない。こいつらと契約するには私の力は不足している。上に立つものが、下にいるものよりも力がなければ、下から突き上げられるというのが世の道理だ。


 精霊との契約と同じで、契約主の力が、契約者よりも弱い時、彼らは完全にこちらを下手に見て揶揄ってくるのだ。私はまだ強大すぎる力を飼い慣らしていない。

 わかりきっていたので、私は軽くため息をついた。


 力の無さを歯痒く思って感情をとり乱していた過去は、どんなに屈辱的だと恥じても、取り返しがつかない。そんな恥辱を噛み締めすぎて、もう何も思わなくなっている。アセスとして総帥であった頃から自尊心は地面にめり込むほどぺしゃんこで、またかと吐息一つを産むだけだ。


 世の中には、どんなに努力しても叶わない天賦の才を持つ存在がいる。

 生まれ落ちた場所をどんなに嘆いても、変わらない環境がある。

 でも私はあがらってきた。自らの意思の強さと、継続力だけを強みに機会を窺って、立場を放棄せず、愛しい人を手に入れられる未来を夢見てきたのだ。


 

 暴れる2匹の竜の力を持て余しながら、どうすれば自分の方が優位に立てるのかと言うことを口の端を上げて計算し始めていた。


 まったくーー。

 冥府は想像したことを引き寄せるところだ。

 ここにくる前の後悔や弱さを引きずって、今その瞬間ですら弱さを具現化して存在しているのだ。


 こいつらが太古から存在した魔物だとすると、随分人の世に慣れてしまっているらしい。自分たちの意思を、契約者本人と同一だと思い込んでいる様は、意外でしかない。


 お前たちは本来契約者である私の盾と矛にならねばならないと言うのに、深山を庇い、現世に帰ることを最も重要視している。そしてとりかえばやされた生徒にすら興味を抱き、それなりに配慮をし始めているようである。


 私は右手を胸に引き寄せ、グーパーしてみる。

 その動きだけで2匹の竜を引き寄せて、思うがままに操れるイメージを膨らませた。


 ここで力を示し、奴らを従わしてアセスに戻ることが最善の策だと思え、私は掌の中に力を集めようとする。それは火と水の精霊を同時に召喚して操縦する方法論が合致しており、まずは蓮を従属させようとする。


 火龍である彼の源流はパワーだった。それをこちらの方が優れていることを示し、手綱を握れば従わすことはわけなかった。

 冥府の大地を焼いていた炎を、私の呪術で鎮火する。右手を上げて瞬く間にそうしてやると、蓮は肩透かしを食ってこちらを見た。


「えー、そんな感じ?」

「お前は少し、脇で控えているがいい」

 そう申し伝えると、私は右手を下げて火竜である蓮を頭から大地に突き落としてやった。

 暴力反対とばかりに暴れるが地の属性の呪術で、彼の半分を大地にのめり込ませ、一生封印してやろうかと剣呑に睨み上げる。


 一瞬水竜である木杉がこちらの出方次第で反旗を翻すような殺気をよこしたが、私はあえて彼を相手にしなかった。


「遊びはおしまいです。冥府の王ヨアズ、私は戻ります」

 煉獄で焼かれようと、レテの川でその身が溶け砕かれようと、戻りたい先ははっきりしていた。


「監視人を巻き込んだことは詫びましょう。けれどここが冥府で、私の想像通りの場所であれば統治者も管理人もさほどの意味なんてないんでしょう?」

 ここは単に体を抜けて出入りする魂の通り道なのだと察知していた。

 私の魂である深山や太古から存在する竜2匹を回収して、私はアセスとして戻らなければならない。意思の力が強く、私は殺気立ったまま力で周囲を制圧しようとしていた。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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