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人格形成は環境のせいで7

こんばんは。

今日は久々に進撃の巨人を見ています。


途中から難しくなりますが、いい話ですねぇ。

難しいから見なくなってしまった人に、是非見てほしいです。


いや、私もまだラストまでいってませんが。


しかし最近のアニメ。

小説や漫画からアニメにする時間が長くて、それで視聴者が離れてしまうことあるんですよね。


コメディアはいいですが、ストーリー性シリアスなのはほんと困りものですね。

忘却曲線考えてほしい。


あるあるですが、嘆かわしいことです。


        ※


 奇想天外な人生に、私は慣れ切っていたはずだ。

 子供の頃から、どうして海の向こうに見える地平線は、うっすらと丸みを帯びているのか。どうして神の氏族というものがこの世に存在するのか。

 

 書庫の中でふと疑問に思っても、それは感情を少し傾けるくらいの出来事だった。

 この世にはどんなことが起こっても不思議ではないし、世界は不条理で満ちている。


 だから冥府へ行かなければならない道しか残されていないと知った時でさえ、私は動揺しなかった。

 時空軸の間に落ちることを自覚し、異世界転生することも受け入れたはずだ。


 けれど現実は想像を超えている。

 

 そうか……。異世界転生というのは赤子の魂から生きるということなのか。

 前の世界の記憶もあるし、性根もはっきりしているというのに、私はただ泣き喚くばかりだ。


 泣いて寝て、乳を飲んで糞尿を垂れ流す。

 大人の意識がある私にとっては、なかなかの苦痛だ。


 しかも常に側にいるのが、私が最も苦手とする母親という存在のようだ。


 ラーディオヌ一族の王妃である母マリアにトラウマがある私は、四六時中気が休まらず、精神を消耗させた。


「あらあらぁ。なんだかよく泣きましゅねぇ。生まれた時は男の子だし、きっと育てやすいと思ったんだけど、最近は泣いてばかり……。ねぇあなた、ちょっとは悠希の相手をしてあげてよ」

 赤ちゃん言葉で話しかけるのはやめろ。


「ほらぁ! また身体をのけぞらせて、危いでしゅよ。この子っては抱っこ嫌いなのかしら……?」

 女は自分の顔をじっと覗き込みながら、悲しげに眉を寄せていた。


 漆黒の髪とその瞳は、ラーディオヌ一族の民のように見えるが、肌はやや黄色係り、顔の造形もお世辞にも美しいとは言えない女だ。


 一言で形容するなら平凡。

 同じ母でも、マリアのように派手な容姿や艶やかさは一歳なく、身につける衣服も一風変わっているが平民のようだ。


「すまないな、今日も宿直当番であまり話している時間はない。シャワーを浴びて夕食を取ったら、このまま病院へ戻る。ーーおっと、それ以上悠希と近寄るなよ」

 おそらくはこの男が私の父親のようだが、常に慌ただしい。


 赤ん坊からの異世界転生した運命を諦めきって数日が経つが、この男の姿を見ることは稀だった。


 勤め人らしく、病院という医療現場に通っていることは想像することができたが、この慌ただしさを見るとさほど上流階級の人とは思えなかった。


 玄関先の右手が風呂であるらしく、男は家に入いる前に必ず風呂場に行き、湯浴みしてから私と女のところへやってくる。


「どうした?」

 痩せこけた男は、タオルで濡れた頭を拭きながらこっちにくる。

 私の母である女は怒り出しそうな、それでいて泣きそうな顔をしていた。


「なんだかずっと子供と二人きり。ーーあなたは全然お休みも取ってくれないし……。この子はなついていないような気がするし……、私……」

「悠美……、そりゃ仕方がないだろう? こんな時代だ、またおかしな感染症が猛威を振るい始めているってのに、医者が暇なわけないじゃないか」


 私の母親は悠美というらしい。

 そう言えば初めて彼女の名前を第三者から耳にする。名無しではなかったらしい。


「だったら医者を辞めてほしい。もっと親子三人、普通の暮らしがしたい」

 悠美は我儘を言って男を困らせているようだ。

 人間というものが、この異世界で寿命通り歳を取っていくのならば、随分と歳の離れたつがいだと思った。


 男は困ったように目尻を下げて、女の頭を撫でる。

「仕事は辞めるわけには行かないよ。わかるだろ? お前たちのためでもある」

 少し老いの兆候が見える男の横顔は鼻筋が通っているが、痩せこけている。男は僅かに腰をかがめて、女の肩にぽんと手を置いた。


「落ち着いたら休暇を取るから、そうしたら私も育児をするよ。この子が君になついていないなんて勘違いだ。ほら、さっきからずっと悠美と私のことを目で追っているだろ?」


 ああ。

 退屈ついでに、観察する対象があまりにも少ないからな。


「あなたそっくり。なんだか愛想がなくて、もう大人みたいよ」

 悠美はこっちを見て、それでも愛しそうな視線を向けてきた。


 彼女は鋭い。私はもう大人だった。


 彼女なりに、私のような子供を産んでしまい、一人で悩んでいたようだ。

 そう思うと心の奥がズキリと痛んだ。

 偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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