人格形成は環境のせいで64
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
シリーズの8作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー
※
呪術は人の心に住まう、光、或いは闇が作り出した呪い。
太古に生きた竜という魔物が、よもやまだ人の心を住まいにして生きていたとはーー、精霊以上に希少価値があった。
私はいつ、彼らと契約していたのか?
魂が分離する時も、それ以降も彼らの存在は内包する力として以外、全く感じることはなかった。
2匹の竜の力は無茶苦茶で、こんなものを身体の中に取り入れていたなんてと閉口する。思いきり力を解放してしまうなんて無謀だったこと、ーー今更ながら自分の魂ごと吹き飛ばしてしまったことは、軽率だったと思い知らされる。
「けれどねぇ、姫はちゃんと器だったよ」
「俺はともかく、水竜まで使役してしまえるんだから、流石に驚いたなぁ」
死霊を聖域の深山がいる病院建物に近づけないように、2匹の竜は暴れたい放題だったが、余裕があるのか楽しそうに語りかけてくる。
「この器はさ、最初俺が見つけたんだ。それなのに土壇場でねぇ先輩が割り込んできて、全くもって不本意なんだけど」
蓮が縄張り意識を愚痴っている。彼は翼の先が炎に変わる炎の竜で、吐く息は炎だ。けれど不思議なことに、姿は違えど蓮なのだ。
「それに至ってはこいつーー姫が間抜けなんで、私が悪いわけではない。割り込みとは聞き捨てならないな。私が眠る湖で、姫さん溺れなければ契約なんてしていない」
彼らの会話から、私は記憶の糸を辿っていた。
外に放り出した二人とは違い、私は未だ病院内の玄関先にいて、力を振るう必要もなくじっくりと思い出す時間を与えられている。
湖で溺れた?
それは水月の宮近くのラギアージャの森でのことを言っているのか。
私の婚約者であるリンフィーナを数々の異形の敵が襲撃してきた折、確かに私は、生きるために精霊以外のものに名前を与えてしまった。
初めての魔性との契約、そして魔道士に落ちたのだ。
「大きな器で、同居でもけっこう居心地が良かったのにさ、急に分断させられたかと思ったら、姫本人は俺たちのこと完全に忘れてるとか、ひどい契約者だ」
「こっちからグーリングオフしてやってもいいんだけどなぁ。人間界でこんな何年も人として生まれ変わらせられるなんて、思いもしなかった」
「そうだよねぇ。挙げ句の果てに主役は最後に登場とばかりに、生まれてくるのも遅いし、出会っても気づかないし」
「悪い、悪い」
「こんな人とも言えないような存在が誕生してしまうから、世界の理が壊れていくんだよ」
言いたい放題、そして非難されているのは自分だということは理解した。
五分割された私の魂の一端であることは如実にわかる。無意識のうちに魔性の部分だけが削ぎ落とされ、元からある彼らの性根が人格化していったと考えるべきなのか。
「俺みたいに若い竜はいいけどさぁ、先輩なんてほんと可哀想だよね。眠ってたのに起こされて、こき使われて、挙げ句の果ては人間だよ」
「呪いだな。だが、まあこの十数年はわりと新鮮で、さほど長いものではなかった。それなりに楽しんださ」
二人の勢いは止まらず、冥府自体を破壊しかねないほど暴れている。
いいのか?
この状態を放置していても……。
監視者の逆鱗に触れるのではないか?
考えて、そういえば自分が力を使って自分の魂毎、監視者と名乗った李蘭という少女とそばにいる男を吹き飛ばしたことをふと思い出した。
あ、冥府が荒れ放題なのも、自分のせいなのか。
自己嫌悪で項垂れる。
異次元へひょこひょこと死者が現れ、とりかえばやされる事態が発生しているのも、元はと言えば監視者を不在にしたことが原因だったのかもしれない。
これは、真剣に考えなければならない由々しき現状。
ただアセスがいた世界に戻ればいいというものでもなくなっている。
多少の責任を感じ、私は内心その面倒くささに舌打ちした。
こんばんは。
今日は引っ越しを手伝う。
でも少し前に、自転車で高校生とぶつかって手首負傷してたので、思ったほども働けなかったなぁ。
やっぱ健康第一。もっと身体を大事にしよう。
タイピングとかも痛いのじゃ、楽しみがーー!




