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人格形成は環境のせいで52

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

        ※


 木杉の言霊能力がどこまで影響したのかはわからない。

 私はちぎれた右手の蘇生手当てを受けている。

「トカゲじゃないんだからね、そんな簡単に手をちぎっちゃったらさぁ、この先まぁまぁ不便だと思うよ。右手、利き手でしょ?」


 木杉に連れて行かれた病院内は、私の手当に集中して、大勢の人間が忙しく立ち回っていたが、木杉だけが部室にいるままの冷静さで話を続けた。


 このまま右手がくっつかなかったとしても、問題ない。

 私にはすでに山村悠希として生きる価値はなくなり、今日戻るはずの家に、誰もいない。


 普通片手を失ったら、気を失うとかそれ相応の対応をとるらしく、医療現場の人間が血相を変えて私の手を元に戻そうと奔走しているけれど、私はかすり傷の処置を受けるぐらいの気軽さでそこにいる。


「あなたちょっと、横になってください」

 意識レベル正常。

「付き添いの方も、ここまでです」


 トカゲが自らの体の一部をちぎっても騒動にはならないが、人間はそうもいかないらしい。

 貧血で遠のく意識に耐えながら、私は木杉と話をすることを優先したかったので、彼が着ている服の一端を左手で掴んで離さなかった。


「すみませんねぇ。彼僕がいないとダメなんで、手術室まで付き添い許可いただけます?」

 何を言っている?

 不服に思ってはいても、今は木杉と話すことを第一優先に考えているので、屈辱的な虚偽の会話を鵜呑みにせざるを得ない。


 その代わりに意識が途切れるまで、聞きたいことはいくらでもある。

「お前だけじゃないさ。こっちからも言いたいことは山ほどあるんだ」

 私の耳元に息が届きそうな近くで、木杉は言葉を伝えてくる。


「深山先輩が、私のことを敵か味方かなんて言っていたことが原因なんですね? そろそろ、貴方達が私に近づいてきた理由をお聞かせください」

 私は受け止める覚悟はできていた。

 隠されて、そして畏怖される方がその何倍も屈辱的だ。


「言えばいいでしょう? あんたのせいだって」

「それは、確証を得ていないからさ」

 私たちの会話は、周囲の医療チームの慌ただしさとは別に、とても淡々とした抑揚で続くモノだったが、双方の思いは単純でまるで子供同士の喧嘩のようだ。


 馬鹿らしさに、私は身体をくの字にして笑ってしまった。

「動かないでください」

 看護師が私を押さえつけ、安定剤なのか鎮痛剤なのか、よくわからない管を身体の打ち込んでくる。


「先輩方は、この騒動の一連を私のせいだと思っているんですね?」

 確認事項だった。

 私の右手が物憂げに身体に引っ付こうと手術台の上で手首に接合されていく。


 飛んだ濡れ衣だ。

 私は否定しようと木杉を真っ向から眺めていた。

 また薬に精神を支配されようとしていて、視線が定まらない。


 霞んでくる視界にいる木杉は、そうですねぇと首を傾け、「正しくはあなたのせいではない。でも悠希くんが原因である可能性は濃厚なんだよなぁ」とぼやくように言った。


続きます。

お付き合いよろしくお願いします。

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