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人格形成は環境のせいで51

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

        ※


「誤解しないでほしい」

 深山が吐息まじりにいう弁明を、私は覚醒仕掛けている意識の中で聞いている。

 そんなことはどうでもいい。

 お前達は、私をとりかえばやされた異形の者と同じ扱いにしていることが罪深い。


 なめした皮と厚い鎖は、高官である人をつなぐものとは思えないほどのしつらえだ。

 私を奴隷扱いするとはいい度胸だ。


 力のない幼少時代、蔑まれて屈服させたれたトラウマはひどく、今の状態は苦痛でしかない。


「どうするのかと問うている」

 我慢の限界を超えていて、私は深山に対しても自然と威嚇する態度をとっていた。

 側に繋がれたとりかえばやで魂を失っった二体の傀儡も、神経を尖らせているようで、繋がれた手足への楔には血が滲むことを気にしている様子はない。


「木杉、彼を離して」

「それはできない」

 断固として拒絶され、深山は私の横にひざまづいた。


「ごめんなさい。私はわかってる」

 はぁ?

 と、うがった態度で彼女を睨みつけた。


「木杉も蓮も私も、同じ気持ちを味わってるわ」

 何を言っている?

 私の気持ちなど、お前達如きにわかるはずがない。


 私は繋がれた鉄の楔を引きちぎった。

 その時に肉体である悠希の身体が壊れ、右の手首がちぎれてしまった。


 結構出血するものだ。

 舐めて治る傷ではなくて、私は手首をブンブンと振る。飛び散る血は薄黒い部室に飛び散るが、そんなことは知ったことではない。


 ちょうどいいか。

 これで過去に償えとばかりに罪を彷彿とさせてくる幻影はもう現れない。

 洗う手も無くなったのだ。

 左の束縛もちぎってやる。

 そう思う自分の身体に、深山が抱きついてきた。


「ねぇ木杉! 早く彼を解放して!!」

 私の血で汚されることに躊躇せずに、身体を押さえ込んでくる深山の力は大したモノではないが、彼女の気迫だけで少し時間を奪われた。


「深山先輩、離れて。危ないって」

 蓮が深山の行動を阻止しようとするが、深山の勢いの方が強い。


 めんどくさい。

 洗い流さないとそこから腐りそうになる手指のように、こいつらごといっそ吹き飛ばしてしまおうか。

 私はただ、帰りたいだけだ。


 我慢してきた思いが溢れ出てきて、私は上半身の筋肉を可能な限り緊張させる。もう一方の手がちぎれても、ニの足がもげたとしても、魂の叫びとしてはもうどうでも良くなった。

 物理的に二の足がちぎれて、歩行できるかな?

 バランスの問題に頭がいって、どうしようかと考えてしまう。


「木杉! あんたも押さえてよ!」

 私の冷え切った思考回路とは反するような深山のヒステリックな声に、木杉は観念したように施錠を解く鍵を放ってよこした。

 パソコンデスクの上を滑る鍵を、蓮が受け止め深山に渡し、彼女は私の左手の拘束具をおぼつかない手つきで解放した。


 私は自由になった左の手で、深山を遠ざけるために吹っ飛ばそうとして、馬鹿力の蓮に止められる。

「木杉先輩!」


 蓮が最終的に判断を仰ぐのは木杉らしい。

 木杉は冷静にこちらを見て、部室内に煌々と照る照明のスイッチを入れた。


 私はその隙をついて、深山と蓮を腕の力で払いのけた。

 蓮は深山を庇うことに必死で、難なく離れてくれているので煩わしさは少なかった。


 あとは足枷だけになり、私はちぎれた右手首の肉片の先を少し確認した。骨が見えていて、裂けて血が出る肉片から筋と神経だけが白く、虫のように伸びて、ちぎれている。


「ちょっと冷静になったら?」

 木杉だけが冷めた視線でこっちを眺めてきた。

「私はいたって冷静だ」


「あっ、そう!」と、大きめの声で言いながら木杉は、深山を私の腹部から引き剥がして、足枷の施錠を外した。


「ちょっと二人で話さないか?」

 解放された私は、木杉の威圧的な提案に眉を動かした。

「だがまず止血して、その右手神経があるうちにくっつけないか?」


こんばんは。

本日も更新中につき、本日もよろしくお願いいたします。

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