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人格形成は環境のせいで50

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

        ※


 小さい窓に、夜になってやっと晴れ間を見せた下弦の月が淡い光を照らしていた。

 目を覚ますならこの世界ではなく、私は愛しい人がいる世界で目覚めたかった。


 リンフィーナ、私はまだ君に出会うことはできず、声も聞けず、ーー私にとっては目の上のたんこぶ、言い換えれば貴方が理想とするような、私も理想としてこうなりたかった存在、つまりサナレスだけを追いかけることになる。


「山村くんのことは、入学当初からよく知ってるのよ。私はずっと花壇に水をやってたから彼のことは入学した時から見てきた。ーー彼はね、雨の日はずっと手を洗わないといられない人なんだ」

 深山みゆきが擁護するように私のことを口にしていた。


「みゆきちゃんはさ、だから僕たちに、彼は脅威ではあるが、敵にはならないって主張してきたんだよね?」

「うん。だって自分の過去とか見つめ直してる人、敵じゃないでしょ? 自分のとった行動に後悔とか、罪悪感とか持ってなければ、山村くんみたいにはならないでしょ? 彼はちゃんと考えてて、思うこともあって、そして苦しんでるんだと私は思う。敵じゃない」

 深山は私を庇っていた。


 彼女から最後に聞いた言葉は、自分達は『敵じゃないよね?』と言った確認事項だった。

 私が彼らの敵?

 考えたこともなく、私はうっすらと見える月の形を、ぼやけた視界に映していた。


 戻りたい。

 懐かしさが相待って、アセスとして関わってきた時間に、今はただ戻りたいだけだった。

 そして会いたい。

 リンフィーナ、彼女と初めて出会ったのも月のさやけき夜だ。


 刺客に取り囲まれた、あの日の夜、自分の覚悟は受動的に決まった。

 この機に乗じて、ラーディオヌ一族の運命は変わる。


 母の系統であるハプスブルク家は、父方のアルス家を鎮圧し、程よく利用された母はハプスブルク家の後の権力を利用する輩に、そう、男女関係というベットの上で、いいようにされようとしていた。


 はぁ?

 そんなことは許さない。


 私がどれだけ、母の人形として蔑まれるクリスタルドールであっても、アルス家の血統まで愚弄されることがあってはならない。

 マリア・アルス・ラーディオヌ。

 アルス大陸一の美姫である彼女の忘れ形見である私は、単なる美しいモノ、そして利用されるモノであることを拒絶した。


 それはアルス家の血のために?

 否。

 違う、母との耐えられない関係性の精算をしたかった。


 クリスタルドール。

 アルス大陸の美姫が産み落とした、一分の狂いもない美貌を誇るラーディオヌ一族の次期総帥。それが生まれ落ちた時に得た、私への肩書きなら認めよう。


 そしてそんな肩書き全てを利用しても、それ以上の存在になるために努力を積み重ね、年月を味方に実力で超えていく。

 動機は実に単純だ。リンフィーナ、その姫を手に入れたかったからだ。


 気だるい身体を無理やり起こして、私は悠希である自分の前髪を鬱陶しそうに拭って、木杉を筆頭とする部員に視線を向ける。


「少なくとも私は、貴方達の敵ではないと思っていました」

 正直な気持ちのみを伝え、入部届に呪縛されたり、その後薬を盛られらことについては度外視してやる。


「で、貴方達は敵なんですか?」

 ただ率直に問うてみて、敵であればすぐさま排除したいほど、私は機嫌が悪かった。

 目覚めるのならば、どうしてアセスとしてではなかったのかばかりを悔やんでしまう。


「どうやら木杉先輩は、呪術の理に明るいようだ。呪禁や、契約、そんなものを生業にしているらしい。入部届の件では出し抜かれましたよ」

 気怠げに頭部を起こす。


「ふうん。やっぱり予定ほども薬、効いててくれないんですね」

 私は悠希の身体であったから、まだ効いていた方だと言いたかった。

 重い頭を振って辺りを見渡すと、自分の他に拘束されている人影が2体確認できた。


 腕と脚が拘束具によって施錠されている。そしてデスクに一体づつ、感覚をあけて捕らえられているのだ。

 他2体は眠っている。私を追ってきたとりかえばやになった生徒であることは、見てすぐに判じていた。


「で? こいつらと私をどうするんだ?」

 圧力だけで周囲のもの全てを破壊しそうな不機嫌さで、私は目覚めた。


こんばんは。

昨日更新しようと寝落ちしてしまったようです。

ということで本日続きを書いてUPします。

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