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人格形成は環境のせいで43

こんばんは。

ワクチン接種完了。

2回目は熱出ると聞いていたけれど、半日以上38度出るとは。

次の日有給とるのは大正解でした。

        ※


「よぉ」

 久しぶりと声をかけられて、私は木杉の存在に気づいた。

「なんか人でも殺しそうな顔してるよ」

「そうですね」

 私は乾いた笑いではぐらかしたが、心の中では間違いないと、木杉の感の良さに笑ってしまう。


 今更人を殺めることなど、どうということはない。

 ここ数日間、真由の命を奪った男を残忍に切り裂く夢ばかり見ているのだ。

 自分の中に芽生えた怒りは、悠美の項垂れた後ろ姿を見るたびに膨れ上がり、衝動を抑えているだけでやっとだ。


 学校に出向いてきたのも、何かの枠組みに身を置いていないと、逸脱すればどこまでも落ちていきそうになったからだ。私にはこの世の法で縛る概念が、はなから欠如していて、ただひたすら家族に迷惑がかからないようにと息を潜めて生きてきただけだ。


 真由の死によって、その家族が崩壊しかかっている。

 この世という束縛の糸が、また一本切れていく感じがあり、眼光が鋭くなる。


「何人入れ替わった?」

「君がいない間に、結構進んでしまってね。学生の半数ーー。最近じゃ教員も違ってきてるよ」

 用心しろ、と忠告されるが、私はそれを鼻で笑った。


「で、木杉先輩はこの状況、どうしたいのです?」

 自体を収集し、モニター越しに静観しているだけというわけではあるまい。

 木杉はあくまで学者で、この不可解な現象の研究だけをしているというのであれば、暇らしいと思ってしまう。


 けれどそうではないということを、私は施設で聞いてしまったのだ。

 自分達のように呪力を持った子供達のことを、木杉は兵士だと言ったから。彼には決戦を交える覚悟があるということだ。


 それはいつだろう?

 そして私はどうするのか。


「雨降ってるな」

 ふいに木杉は空を見上げた。


「みゆきちゃんが言ってたんだけどさ、今日は手、洗わないでいいの?」

 腕を組んで私の所作を眺めて来る木杉は、何かもの言いたげだ。


 私は黙った。

 自分の手が汚れていることを認めてしまえば、洗い流したいという強迫観念に囚われることもない。手の汚れは、染み付いた心の汚れで、いくら洗い流してもきれいになることなど、もうありはしない。


「もういいのです」

 私は消え入りそうな声で答えていた。


 それなのに自分の声のボリュームとは違って、そうとうな大音量で否定される。

「よくないわよ!」

 深山みゆきだった。

 彼女はつかつかと自分の方に近寄ってきて、強引に自分の体を壁に押し付ける。


「全然っ、よくない!」

 まさか女子から壁ドンされるとは予想もせず、私は呆然と深山の顔を見返した。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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