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人格形成は環境のせいで35

こんばんは。

少し間があいてしまいましたか。やはり土日はルーティンが壊れて書く時間を逸してしまうようです。


最近のマイブームは、珈琲ゼリーを作ること。

苦めのゼリーに、バニラアイスを少し乗せて食べるのが絶品。


        ※


 私はこの世界の富裕層というものがどんな生活をしているのか、まるで把握していない。アルス大陸でいうところの貴族は、日本という経済社会において、資産家か経営者か、もしくは投資家といったところに分類されるようだが、木杉はそれのどれに値するのだろう。


 運転手付きの高級車が学校内に乗り込んできて、私と木杉は運転席とは壁一枚隔たりのある、長細い後部座席に乗り込むことになった。

「くつろいでぇ。何か飲み物いるならなんでも言って」

「では珈琲を」


 せっかくなので、と主張すると、木杉は何系のコーヒーにするのかと聞いてきた。車の中だというのにたくさんの種類の飲料を備えていて、ドリップコーヒーのカートリッジが山ほど目の前に積み上げられる。

 苦味より酸味の強いものを飲みたくて、私は銀色のカートリッジでモカと書かれたものを指で摘んだ。


 ただ、今は私の嗜好なんてどうでもいい。

 政治家が乗るような黒光する高級車を見て、木杉という男の値踏みが始まっていた。日頃は学生服を着ているのに、学校を出るときには着替えてきて、今は細身のスーツを着ている。髪の毛をワックスで後ろにまとめ、腕には高級腕時計が光り、童顔ではあるけれど、こうしていると高校生には見えなかった。外での彼はいつもこんな感じなのだろうか。そういえば彼の著書にピンぼけで載っていた顔写真の彼は、こんな感じに大人びていた。


 今日は人からよく飲み物を出してもらう日だ。

 私は木杉からミントンのコーヒーカップを受け取った。母が愛用しているメーカーだった。白地に緑や黄色の小花柄が入ったコヒーカップは、悠美その人を思い出させる。小さくて華奢で、弱々しい。私はそっとそれを掌に乗せた。


 雨の日は苦手だったが、珈琲の香りを嗅ぐと少し落ち着いた。口に含むと、舌の上に少し酸味が残る。


「珈琲好きなの?」

 うなづくと、木杉はそう、と嬉しそうに微笑んだ。

「近くにスタバがあるからね、帰りに寄ろう。やっぱりカートリッジのじゃ物足りないよね」


 木杉もどうやら同類らしい。ものの価値がわかる男だと、好感度が上がった。

 しばらくして、乗り物の速度がゼロになったことを感じた。


 どこに着いたのだろうかと、車内のカーテンの隙間に窓の外を確認すると、自分がいつも利用しているスタバが目に入って驚いた。


 施設って、国立感染症研究所のことなのか。

 父の職場ではないか。


 車は通行証を確認するために、鉄格子の門の手前で停車していた。

 警備員が2名ゲートの出入りを管理していて、通行証の確認を求められる。


「ーーここが施設?」

「ええ。表向き、悠希くんのお父様が勤務されているところですよ」

 そう言われて、改めてこの施設の不自然さに気がついた。敷地内に軍事施設かと思わせるほど貼り廻らされた有刺鉄線が違和感の原因だ。

 

 昨日、この場所で父を待って珈琲を飲んでいた。

 それなのに、ここが深山が青ざめて恐れている施設だというのだろうか。


 父の職場に興味なんて持ったことはなかったが、深山の能力を知ってしまった今、知りたいという興味だけが先行していた。


「後で父親に会えばいいですよねぇ。山村博士のことは、僕もよく知っているから。挨拶しましょう」

 まるで古くからの旧友のようにその名前を口にしてきて、私は施設内に足を踏み入れたとき同様に背筋が凍る気分になった。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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