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人格形成は環境のせいで29

こんばんは。

明日からまたお仕事の日々で、時間に制約が出てしまう。

人生って一日が短いから、きっととても短いんだなぁ。

そんな中労働に割かれる時間って結構多いし、睡眠時間も大事だと言うのだから、人は忙しい。


留学してきた異国の人に、日本人はいつも忙しいと言われた。

私の国でも、9時から18時ぐらいまで仕事をしているけれど、皆そんなに忙しくしていない、と笑っていた。


言われてみれば時間の拘束時間は同じなのに、変な感じ。

心の持ち用かも。あと遅刻したらダメだとか、早めに行動するだとかが推奨されてるしね。


明日からはできうる限りゆったりしとこ。

        ※


 家に帰ると、また母はリビングで酒を飲んでいた。

 この母は、本当に精神的に弱く、毎日毎日酒に逃げている。呆れ果てて嘆息し、私は机の上に散らばった空き缶を片手でいくつか掴み取り、ゴミ袋に入れていく。


 特に今日の泥酔具合はひどいようで、私が真横に近寄ってもピクリとも動かなかった。

 正気な時に、一度言ってみたことがあった。

『酒を飲んで寝ると、1日の大半、意識がぼやけるよね。他に楽しいことはないの?』

『何言ってるの? お酒飲むことが楽しみなんじゃないの』

 唯一の、という言葉を口にしなかっただけ、彼女は母としての自覚があるようだった。


 昼間から飲んでいる彼女がいるリビングに、最近明かりがついていることは少なく、テレビだけが似つかわしくはない雰囲気の、やたらと大袈裟な談笑を響かせていた。

 妹の真由はまだ戻っていないようで、ダイニングにはラップをかけた食事が手付かずのまま残っている。


 私は自分の分のそれを電子レンジに放り込んで、テレビを消した。

 本を片手に食事を取るのが日課だった。行儀が悪いとたしなめられそうだが、アセスであった頃からこの癖は止むことはなかった。


 狭い範囲で、限られた人生を経験することしかできない私にとって、読書する時間は何物にも変えられず貴重だ。時間がもったいないとばかりに、数々の本の中身を吸収していくのが好きだった。


 けれど今日は、いつものように読書に集中することができずにいた。うっかりと同じ行を2度、3度と目で追ってしまい、私は一呼吸置いて水を飲んだ。


 日食といった現象が、あそこまで奇怪なことだとは思わなくて、昼間あったことが脳裏から離れなかった。深山の能力についても未知数で、脅威だった。


 それに3人やられたと木杉は言ったが、日食の後の授業ではすでに全員が揃っており、クラスメイトの誰1人として欠けてはいなかった。

 木杉によるところでは、とりかえばやで、3人はもう元の3人ではないらしいが、見た目には何一つ変化はなかった。


 ーーもっとも……。3人のうちの誰かと特に親しいわけでもなかったので、日替わりで入れ替わっていても、私には永久に気づくことなどできないので、とりかえばやだなんだのと言われても、実感が湧くわけがない。


 こうしてどんどん校内の学生が異質なものに入れ替わっていっているのだと、木杉は言うが、木杉の頭の方がおかしいのでは、と今日の現象を目の当たりにするまでは半信半疑だった。


 あまり良くない、何かが学校で起こっているのは確かだった。

 急に呼吸が苦しいのか、高いいびきをかき出した母を横目に、私の思考は逡巡していた。

 学校のこと、母のこと、そしてアセスとして自分に残された期限や、散り散りになった自分の5分の4の魂について。どれひとつとして今の私にはすぐに解決できそうな問題ではなく、今日何度目かのため息が出た。


 せめて母のことだけでも、週末になって父が解決してくれればいいのだけれどと願わずにはいられなかった。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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