人格形成は環境のせいで23
こんばんは。
明日から休みに突入。
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私の身体が仮死状態でいられる7日間、どこまで伸ばせても10日が限界だと聞いていた。アルス大陸と日本列島では時空軸が違うようだが、私は15年以上もこの現世で生き続けている。
刻一刻と戻れなくなるのではないかと不安を感じた。
リンフィーナ、彼女と別れた時のことを思い出すと心臓がギュッとなった。
自分が言ってしまった冷たい言葉を思い出す。
『私はサナレスが邪魔で仕方なくて、彼を殺した。ーーねぇリンフィーナ、だからお別れだ』
何より彼女を傷つけるとわかっていて、あえて彼女を遠ざけた。
そんな私が再び彼女と寄りを戻すことなど、とてつもなく不可能に近い。
けれどーー。
このままでは嫌だった。
あの最悪の別れをしたままの状態で、二度と弁解する機会も得られず、サナレスに勝負を挑むこともなく、アセスとして消えるのは嫌だ。
耐えられない。
それが故に、所詮この世は空蝉の世界だと思っていた。
今の自分の人生など仮初だ。
いつこの身体、つまり山村悠希の生を手放すことになってもいいように、不必要な人間関係を極力嫌い、いつでもアセスとして再びラーディオヌ一族に戻る準備をしていた。
「悠希?」
けれどそんな私でも、全ての人間関係を避けてくるわけにはいかなかった。
まず避けられないのは家族だ。
寝室に行く母に付き添って、背を向けて出て行こうとした時、母である女は不安げに私を呼び止める。
私は振り返らずに「おやすみ」と言って扉を閉めた。
家族というものは、家というずいぶん狭い、閉鎖的な空間に一緒に暮らす。
息がつまりそうで、早く出ていきたくとも、未成年と言われる時期が長い文化下では、私は親の保護の元にあった。
自分でしたことに、自分で責任を取ることすらできない、子供は真綿に包まれ、そして同時に不自由だった。
本当は悠美のことなど私は心配してはいないのかもしれない。
父に伝えて、それで自分の役目は終わったと、心のどこかで思っていた。
いつも自分に信頼を寄せてくる妹真由にも、どこかで線引きしている自分がいた。
子供の頃、かぐや姫という童話を読み聞かされた。
赤子で拾われたかぐや姫は、いつか月に帰ることをずっと隠して生きていた。
育て親の前で、何食わぬ顔で生活し、ただひたすら月に帰る日を感じていた。
かぐや姫は泣きながら、この世を去るのは寂しいと言ったが、それは本心だったのだろうか。私には彼女の気持ちがわからなかった。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
シリーズの8作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




