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人格形成は環境のせいで21

こんばんは。

今日は初めて1回目のワクチン接種してきました。


んー、打った次の瞬間から腕が重だるい。

知覚するの早かったなぁ。

そして夜になった今、ちょっと腕上がりにくい。


人間って本当にすごいもの開発しているなぁ。

人工的にワクチン作ってしまうなんて、ほんとすごい。


        ※


「お兄ちゃん、珍しく上機嫌なんだね」

 家に帰るとすでに真由は戻っていた。

「彼女でも、できた?」

 開口一番聞かれた内容に、私は片眉を上げて動作を止めた。


 そんなわけはないと笑ったが、年頃の妹にはそんなことが気になるらしい。

 この世界は晩婚な文化だが、恋愛は随分幼い頃から始めるらしく、幼稚園や小学生ですらカップルになって行動している輩がいるのだ。


 性に奔放なのが悪いとは言わないが、幼すぎて少し笑ってしまう。

 例には漏れず、真由も女子校に通っているくせにしっかり彼氏を作っていた。あまり柄のいい連中ではないようで、偶然見かけた時に、一応苦言を呈しておいた。


「お兄ちゃんさ、かっこいいんだから。流石に高校入ったら絶対彼女できるって」

 別に望んでいませんよ。

「部活だよ」

 父親のところに寄ってきたことは黙ったまま、事訳を説明すると、真由はなぁんだとがっかりしたようだ。


「髪型とかさ、ちょっとこだわったら。ほらワックスつけてみるとか、もったいないよ」

 交際することがアクセサリくらいに考えている年齢のようで、私は吐息をついた。


 思えばリンフィーナが私と再会したのも、真由ぐらいの年齢だった。

 彼女に本当に気持ちを寄せられていたのか、今となっては自信がなかった。


 ラーディア一族のサナレスが決断したことだから、彼女はそれに従っただけなのかもしれない。

 そう考えると、じくっと胸が痛んだ。


「彼女なんて要らないよ。お前も恋愛にばっかり現を抜かしていないで、成績を上げろよ。もう三年生だろ」

「うわぁ、真面目」

 真由は大袈裟に嫌そうな顔をする。


 真由は中学校に入って少しづつ変化していった。

 それまでは、私と母の間に立って、顔色を伺うような不安げな様子を呈していたが、中学校で友達ができ、彼氏を作り、家庭とは別の人間関係をうまく構築したらしく、本来の彼女らしく笑顔を見せるようになっている。


 その分家に帰ってくる時間も遅くなっていったので、ここのところ私よりも帰りが遅い。


「そういえばお前こそ、このところ戻り早いな」

 酒を飲む母のことを嫌う真由は、極力放課後の時間を外で過ごしていたはずだ。

 それなのに昨日今日と、自分よりも早く家に戻っている。今日用事を済ませてきたとはいえ、やはり珍しい。


「んー彼氏と喧嘩しちゃったのよ。あいつってば浮気してるっぽい」

 真由は面白くなさそうに愚痴ってきた。


「浮気ってーー。結婚しているわけでもないし、別にいいだろ?」

 そういうと真由はドン引きしたように後退った。


「えーー!? 意外なんだけど。お兄ちゃんの口からそんなこと聞きたくなかった」

 予想以上の反応を返されて、取り繕うように苦笑していると、真由は両の頬をパンパンに膨らませた。


「あのさ、お兄ちゃんって一途じゃないの? てか恋愛経験、実は豊富なの?」

 婚約もしていない恋愛は、体だけの関係というものではないのだろうか。先の約束がない、束縛のない、いっとき欲望を満たすだけの関係。

 そんなふうに思っていたのだが、真由は思いっきり顔を顰めた。


 違うのか?

「おまえ、あんなやつと結婚したいの?」

「そんなこと言ってるんじゃないし。お兄ちゃんてば、勉強ばっかりしてると思ってたのに、なんか油断ならない」


「勉強しかしてないよ。清い身のままだ」

 現世では童貞というらしいが、この点だけは山村悠希の身体に生まれ変わり好ましく思っていた。せっかく赤子から人生リスタートしたにだから、貞操観念というものを今こそ大切にしたいと思う。


 それなのに真由は白い目でこちらをじっと見たまま、ズバリと言ってきた。

「お兄ちゃん、やっぱりちょっと変」

「なんと思われてもいい。私は結婚まで軽々しく子供を作るようなことはしない」

「いや、子供って……」

 すっかり鼻白んだ様子で真由はごにょごにょ言っている。


「お前もちょうど良かったんじゃないか? およそ大成しそうにない彼氏と別れられて」

「まだ別れてないから!」

 そういうと真由は大きな足音を立てて彼女の部屋にすっこんでしまった。


 どうやら怒らせたらしいのだが、反省する点は一つもなかった。

 彼女の性は女で、万が一にでもくだらない男の子供などできれば、問題でしかない。


 ーー私の期限は10日もなく、いつ一緒に居られなくなるともしれないのだから。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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