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人格形成は環境のせいで18

こんばんは。

このシリーズ、最初異世界転生と書きながら思いっきりファンタジーで始まり、異世界転生に軌道修正かと思いきや、今度は心霊現象にーー。

ホラー書くのはとても好きです。

        ※


 自分が呪術を使っている様を動画で見せられるなんて初めての体験で、なんという一興だろうと笑えてきた。


 だが本来の私の姿ではなく、今は山村悠希という違う高校生の姿であるから、何やらアクション映画のようで他人事である。


 ただ画面は鮮明ではなく、所々白黒の砂嵐のような状態になり、これでは俊足で移動しているのかどうかははっきりしていない。


「一年生の廊下に設置したカメラ六台でやっと移動の瞬間を撮影していた」

 木杉が言うように、カメラの断片的な映像を繋ぎ合わせれば、風のように移動する私の姿を推測することができた。


「で。これどうやったの? 山村くんは何? スーパーマンか何か?」

 一瞬シラを切り通そうかどうかという考えが頭をよぎったが、能力をカミングアウトしてきた先輩二人に免じて考えを改め、降参することにした。


「見て想像している通りですよ。私は風のように早く動ける」

 呪術や精霊という言葉には触れず、ありのまま事実を受け止めてやる。


「えー、やっぱすごい。でもさ君ってちゃんと、2041年9月13日に誕生してるよね。父親は博士号取得する医師で感染症研究職。れっきとした国家公務員だし、母親は大手製菓メーカーの御令嬢。それに私立の名門女子校に通うとっても可愛らしい妹が一人。ーー家族構成あってるよね?」


 なんだ……。

 しっかり自分のことを調べてきている。


 この学校の理事長であるなら当然の権限であるらしいが、あまり気分の良いものではなかった。


「だから部長〜、この一年は変異種やモノノケ憑きとは違いますって。俺らと同じ超能力者の類だって言ったじゃないですか」

「そうね、ちゃんと正気でいるようよ」

 そう言いながらも、みゆきは少し訝しげにガラスのような青い瞳を僅かに細める。


「ーーただ気になるのは何か……。邪霊の類とはまた違うのだけれど、何か彼以外の存在を感じるのも事実だし……、木杉の言うとおり入部してもらって、監視下に置くってのが安パイかしら」

 話が不穏な方向に勝手に進んでいく。


「ちょっと待ってください。私はーー確かに貴方たちのしていることに少しだけ興味を持ったので入部届を書きました。けれどそれって、この学校が部活の強制をしてくるから、所属先をここに決めただけです。監視される対象になると言うのであれば、入部はお断りしますよ」

 それに第一、研究の目的を聞かされてもいない上に、木杉の能力についても伏せられたままだ。


 剣呑になる私に対して、木杉は一見無邪気な、それでいて腹の底はおそらくは真っ黒であることが予測されるような、親しみを込めた笑顔を向けてきた。


「やだなぁ、みゆきちゃん。監視下なんて物騒なこと言うから山村君へそ曲げちゃったじゃない。誤解、誤解! 君には僕らの共同研究者になって欲しいと思ってるんだ」

「何の?」

 返答次第ではすぐにでも踵を返してこの場を立ち去ってやるつもりだったが、木杉は私の、ーーつまり異世界を知っているアセスである私の心に釣り針を投げてきた。


「この学校がある場所ね、霊場なんだ。魑魅魍魎が生まれる場所って言えばいいのかな。ま、日本だとそういう言い方がぴったりくる。突然生徒の人格が変わってしまって不登校になったり」

「不登校なんてどこの学校でも激増でしょう? 心霊現象なんて言わないでください」

「いや」

 私の言葉を木杉はすぐさま否定した。


「通常ありえない確率で不可思議なことが頻発している。ある生徒は大怪我したり、昨年は事件にならないように揉み消したけれど自殺者も出た」

 揉み消したって……。

 突っ込みを入れたくなるが、私は黙って聞いていた。


「あと、神隠しーー。そしてその人数分だけの座敷わらし」

「仰っていることがよくわかりません」


 木杉も他の二人の先輩も、そうだろうなぁと言う眼差しでこちらを見ている。

「簡単に言うと、とりかえばやが行われているの。一人生徒が消えたと思ったら、全くの別人がどこからともなくやってきて、消えた生徒の席に座ってる。ーーでも周囲の関係者は全くこれに気づいていない」

「ーーそんなこと……」


 あるわけない。

 そう言おうとした私自身も異世界転生し、山村悠希という小さな生命の中に入れ替わったのではなかっただろうか。


 とりかえばや?


「とにかくこの地は不可思議なことが多すぎるんだ。だから僕はとある機関から依頼されてこの学校を含めた周辺に監視カメラを設置し、人の目で目視できないことの証拠集めをしている」

 洗いざらい暴露したので、後は君次第だよ、と様子伺いをしているようだ。


「いいでしょう。一緒に研究しましょう」

 どこまでが真実で、どこまでが目の前の輩が狂っているのか、この時私はまだ半信半疑でいた。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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