人格形成は環境のせいで17
こんばんは。
いつもの夜、違うことと言ったら、明日の出勤時間がめちゃ早いってこと。
更新したら、風呂入って寝ないと。
筆者は大体1日にいくつかのルーティンを作っているので、急な予定外の仕事が入ると、非常にめんどくさってなります。
めんどくさってなっても、勤勉な私、また自分を追い込んでしまう。
ワーカーホリックだわぁ。
※
視聴覚室の奥は教員だけが出入りしていい場所だったはずだった。
モニターばかりが散見されて、そう広くない。
少ない部活のメンバーだが、高校生4人が入ると割と圧迫感のある場所だった。
「いいっしょ? 秘密基地っぽくて」
隅っこや狭いところが落ち着くという性格は私も同じだった。木杉に聞かれて素直にうなづいた。
だが彼が機械を操作して、学校の監視カメラの映像を部屋の中のモニター全てに映し出した時、私はあっけに取られた。
校舎のありとあらゆるところにカメラがついているらしく、十いくつあるモニターにランダムに放課後の生徒の様子が映し出される。
廊下だけではない。1つの教室の中に三方向の数でカメラが設置されている。
「あ〜、またあいつら誰もいないのをいいことにイチャつきやがって」
2年生の蓮が一つ画面に注目して、羨ましそうに見入っている。
見れは2年生の教室で、女生徒とおそらくは若い教員が、誰もいない教室で二人きりだ。
「またやるのかぁ。こんなとこで本番!!」
蓮は画面上の教員を指先で弾きながら、「このスケコマシがぁ」と唸っている。
「これちょっといいとこだよね。録画しちゃう?」
木杉が悪戯っぽく笑って、蓮の横に顔を並べるのを横目に、長い黒髪のみゆきという女生徒が、ボタン操作でそのモニターの画面を切ってしまった。
「わぁん、いいところだったのに。みゆきちゃん!」
「そうですよぉ。男の夢がわからんのですかぁ、先輩!」
いや、ただの覗き見だろ。
私はみゆきの行動に一票入れたかった。
「安心して、山村君。この大量で高額なカメラ、こいつらの覗き見のために設置されてるわけじゃないから」
みゆきは頭ひとつ木杉よりも長身で、大きな手で木杉の頭を小突いていた。
よかった、まともな人もいるようだと、胸を撫で下ろす。
「ーーでも、深山先輩これって隠しカメラですよね? こんな部屋があるなんて学生も教員も誰も気がついていないんじゃ……」
てことは違法か?
「ん〜。確かに生徒たちに許可取ってやってるわけじゃないのよね。実験というか研究だから、ディセプションってわかる?」
「研究のために目的を伏せてやる実験のことですか?」
「そう、この研究まだあくまで実験段階だから、モニタリングさせてもらってることは伏せているの。インフォームド・コンセントして協力得られるもんでもないし」
いや、この人もちょっと強引だな。
普通ディセプションで実験を行っても、事後に説明して同意を得る必要、つまりデブリーフィングが必要だろ。
「まあこれが研究だということを信じたとしてもですよ、勝手にこの学校施設に監視カメラみたいなもの仕込んじゃいけないんじゃないです?」
「それは……」
私の質問にみゆきが答えると同時に、木杉が満面の笑みで言葉を奪った。
「心配しなさんなぁ〜。この学校、僕の所有物だからぁ」
え?
こんな中学生みたいな童顔が?
さすがに面食らって、私はじっと木杉を見た。
「それ本当よ。この人この学校の理事長」
みゆきが信じられないという顔をする私に、苦笑いを浮かべながら木杉の主張を肯定する。
「うん。いや、学校運営なんて全く興味ないんだけどねぇ。仕方がないよ、研究のためにこの学校購入しちゃったの」
「ーーそうなんですね」
ラーディオヌ一族の財力に慣れた私は、そうかそういうこともあるだろうと納得したが、そうまでして研究していることはなんなのだろうかと興味が湧いた。
「あら? 意外とあっさりと信じたわね。蓮の時はもうほんとうるさいぐらい騒ぎ立ててきたのに」
「うん、この一年坊主いやに冷静だなぁ」
どこまでが真剣なのかわからなかった。
「嘘なんですか?」
「ううんほんと」
「だったら貴方たちが部活だと偽って研究しているこの大掛かりな研究について、紹介していただけますか? 部活の名前、つまり超常現象と何か関係あるんですか?」
持って回った言い方は苦手なので率直に問いかけると、木杉が唇の端を上げて、少しわざとらしく笑い声をあげた。
「やっぱ山村君いいねぇ。非常に聡明だ! でもまずは君の能力について確認させてもらうよ、話はそれからだ」
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
シリーズの8作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




