人格形成は環境のせいで15
こんにちは。
一話一話が短いけれど、ここのところいいペースで書き進めています。
これ本編?
と思われるかもしれませんが、本編を前に進めているつもりではいます。
※
油断していた。
まさか呪術を使ったことを見られているなんて思いもせず、表情を凍らせた私は、鋭い目つきで相手を睨んでしまう。
「怖いから、やめてって」
怖いという割には軽いテンションで彼は顔の前でひらひらと手を振って見せる。
食えない奴だと判断するには十分な素養を見出して、私は身構えた。
そもそも私が空間を移動する姿など、使役した精霊の速度なのだ。人の動体視力が追いつくものではないはずだ。どうしてバレたのかと思わずにはいられない。
しかもーー。
「ほらぁ君みたいな逸材ってあまりいないんだから、超常現象研究部に入ってもらうしかないって思ったんだよ」
これって脅しではないだろうか。
見たよ。
黙っておいてやるから、ほうら、入部しなよ。
という最悪の束縛に感じてしまう。
「あ、察しが良いね。でも強制じゃないよ、あくまで部活の勧誘」
人というのはなんて狡猾なんだろうか。
いち平民不勢がと完全に気を抜いていて不覚をとってしまった。
自転車置き場に登校してくる学生が次々と自転車を停めにくるので、目の前の彼はそれを見て軽く笑った。
「放課後、視聴覚教室で待ってるよ。超常現象研究部の部室なんだ。ーーで、君の本当の姿ね、綺麗に撮れているから見せてあげる」
撮れている?
やはり肉眼で確認されていたわけではなかったらしい。
けれど撮れているという事態は、なんらかのメディアに保存されているということらしく、嬉しくはないことこの上ない。
私は深い深いため息をつく。
「行きますよ、放課後。けれど私は今日の放課後、もう一つ私用があります。ですので手短に開放していただけるとありがたいのですがね」
アセスとして素の口調に戻ってしまうのもかまわず、知れてしまったのであれば仕方がないと、開き直る。
そんな私に彼は嬉しそうに自己紹介した。
「俺は貴男、木杉貴男で3年生」
え?
どう頑張っても2年生ぐらいにしか見えず、下手するとその容姿は中学生にも見える。
こんなに小さくて童顔なのに3年生なのかと思ってしまい、即座にーー否と思い直した。
男なのに女のようだとか、ラーディオヌ一族は皇女が次代かと散々揶揄するような陰口を叩かれてきた自分が、見た目で人を判断していること自体滑稽だった。
「木杉先輩、じゃあ放課後にお会いしましょう」
私は不承不承、初めて学生同士での約束を結んだ。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
シリーズの8作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




