人格形成は環境のせいで14
こんばんは。
連休明けました。
本日よりまた社会の歯車にぐるぐる巻き込まれて過ごしますよ。
皆様の反応楽しみに本日も日記のように小説を書くだけですねぇ。
※
昨夜は結局、父は家に戻らなかった。
朝になると母はいつものように朝食と、自分たちの弁当を詰めている。
「おはよ」
「おはよ、早くしないと遅刻するわよ。高校の方がかなり家から遠くなったんだし」
悠美は泥酔して私に部屋に運ばれたことすら覚えていないらしい。
冷凍食品のオンパレードではあるけれど、毎日弁当まで詰めてくれる彼女は、結構生真面目な人なのだ。
「弁当、無理しなくても学食あるし、もう少し寝てたら?」
ふらふらしながらキッチンに立っている様子を見て、私は吐息をついた。
「だめよ、外食は体に悪いでしょ」
いや、冷凍食品は体に良いのか?
そしてスーパーの惣菜はそもそも外食と対して変わらない気がする。
庶民だと思っていた悠美だが、この世界ではまぁまぁ良いところの令嬢だったようで、そのまま専業主婦になった彼女は世間ズレしているところがあった。
この世界にいつまでも慣れない自分から世間ずれしていると思われるほどなので、相当なものだ。
「ありがとう、行ってくるよ」
今の悠希の体は、前の私のアセスの体と違って、いくらでも食べ物が腹に入っていく。味覚についてもずいぶんボケたようで、何でもかんでも受け入れられた。
母には失礼な話だが、ずいぶん悪食になったと苦笑する。
真由は今起きてきたようだ。玄関を出るときに、背後で廊下をバタバタと走ってくる音が聞こえていた。
※
高校は中学と違い2ブロック離れたところにあり、通学には自転車を使用した。
防塵マスクとサングラスは必須だったが、電車とバスを使って通うよりも、よほど早く到着することができる。片道20キロ程度なのでちょうどいい距離だった。
長年馬にすら乗れないというコンプレックスを抱えていた私が、足で漕ぐ自転車というものに跨って移動しているなど、自分自身でも意外だった。
ラーディア一族には自転車の文化もあって、確かサナレスが大喜びで開発していたが、石造りだったり赤土の地だったりするあの世界には向かなかった。
アスファルトに固められた地を走行して初めて、そんなことに気がついた。
「おはよう山村君」
校門を越えると、自転車置き場で呼び止められた。
誰?
正直分からなくて怪訝な顔をしていると、小柄な男子生徒が私の方をじっと見ていた。
大きな目は猫のように少し釣っていて、知らない男だと確信する。
こんなにも印象的な瞳を見れば、記憶のどこかには残っているはずだろう。
全体的に色素が薄く、髪の色も金色に近い茶髪、そして瞳の色も見ようによっては金色に見える薄茶色である。
「そんな警戒しないでよ」
「なんの用です?」
単刀直入に聞いて、さっさと立ち去ろうとすると、男子生徒は肩をすくめた。
「要件はさ、部活の勧誘」
あ、それね。
またかと思って私が明らかに辟易した顔をすると、彼は唇を尖らせて不服そうにした。
「山村悠希君さ、きみ絶対うちの部に入るべきだって」
いやーーだから面倒臭い。
「体格見て部活勧誘してくる方は多いんですけれど、自分は無理ですよ。病弱で、貧弱で、根性と負けん気がない」
ヤケクソで事わけを並べてみたが、彼はニコニコと聞き流した。
「大丈夫だよ。運動部じゃないし」
文化部か。
「不器用だし、長続きしないし、入ってもどうせ幽霊部員になるだけだけど……」
「うん、それだよ山村君」
わけがわからなかった。
「超常現象研究部、つまり幽霊とか超能力とかを研究する部なわけ」
瞬時に私の眉間に縦皺が刻まれる。
こいつーー。
「だってさぁ、昨日見ちゃったんだよね。君が空間歪めて、風のような速さで人の目を掻い潜って逃げちゃったとこ」
ばっちり、と彼は付け加えた。
しくじったことを私は知り、男子生徒の前に向き直った。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
シリーズの8作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




