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人格形成は環境のせいで12

こんばんは。

休日に珍しく小説を書いています。

流石に4連休あると書きたくなります。日記だからなぁ。

        ※


「ただいま、母さん」

 母は壁際に設置した100インチはある大きなモニターにテレビを映し、電気も付けずに座っていた。


 ソファの上でしどけなく裸足の足を放り出し、モニターからの光を浴びる母の顔は、赤かったり青かったりまだらに照らされていて、虚な表情をしている。


「ただいまーー」

 二度目に声をかけて、初めて彼女はこちらに眼をやった。

 彼女の手には、酒が入った銀色の缶が握られている。


「ああ。悠希、おかえりなさい。高校はどう?」

 炭酸が喉から漏れるのか、ひっくと喉を鳴らしながら、母はにっこりと笑っていた。


「問題ないよ」

 ぶっきらぼうにそう言うと、私は僅かに眼を細めた。


 この人、明らかに飲み過ぎだ。

 机の上には500ミリリットルの酒缶が三本空いていると言うのに、まだ飲んでいる。


 どうしてこうも、毎日飲んだくれているのだろう?


 自分の周りで酒を飲む男は、サナレスただ一人だった。

 そういえばサナレスは、若い頃から習慣的に酒を飲むと言っていた。

 ラーディア神殿の彼の私室をふらりと尋ねると、彼はよく一人で酒を飲んではいたが、今の悠美のように酔いつぶれていることはなかった。


『アセス、お前もどうだ?』

『結構です』

 一度だけ付き合ったことがあったが、飲めはしても欲しくはなかった。


 意識を混沌とさせることは薬で慣れていたが、酒というものはそれ以上に私を酩酊状態にした。

 こういう体質を酒に弱い、というのかもしれない。


「あら、珍しく楽しそうね? 何かいいことあった?」

 知らず苦笑いを浮かべていた私に、悠美は質問してくる。


「いえ。母さん、私にはお酒の味はわからないんですが、そんなに美味しいですか?」

「わからなくて当然よ、あなた未成年なんだから」

 優美はあきれたように肩をすくめた。


「美味しいか美味しくないかなんて、もう忘れちゃった。ただ飲みたいし、飲まないと眠れないもの」

「父さんに薬を処方して貰えば?」

 そう言うと、悠美は白い薬袋をチラつかせた。

「とっくに貰ってるわよ。でもだめ、眠れないの」


 この小さな身体にどれほどの酒が流し込まれているのだろうかと考えると、いい気分にはならなかった。

 顔を背けて冷蔵庫から水を出そうとすると、不意に悠美は私に向かって手を伸ばしてきた。


 びくり。

 咄嗟のことにアセスは身を縮めて、彼女の手を避けてしまう。


 しまった。

 そうは思っても、母親に対する拒絶反応は咄嗟に出てしまう。


 悠美は悲しそうに唇を歪め、伸ばした手を引っ込めて、反対の手でその手を自分の胸に寄せた。

「ごめん、驚いた?」


「うん、ごめん……」

 少し気まずい。


 しかし次の瞬間、私は怖いものを見てしまった。

「ーー母さん、手震えているよ」


「最近少し震えるみたい」

「それ……」


 病気?

 もしかしてアルコール依存症?


 喉元まで出かかったけれど聞けなかった。


 どうしてこの人はこれほど毎日酒を煽るのだろう?

 誰と飲むわけでもなく、たった一人で、食事をしていない時でも常に彼女の手の中には銀色の空き缶が握られている。


「母さん、少しお酒控えなよ」


 偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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