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人格形成は環境のせいで10

こんばんは。

すっかり学園モノになってきたなぁ。


あくまで本編の続きなんですが、伏線の回収はいつになることか。またキャラが一人歩きし始めて、私はそれを楽しんでいる状態になってます。


このような日記的小説ですが、お付き合いや反応いただき、ありがとうございます。


        ※


 あれから15年経つ。


 転生したこの世での名前になど、全く興味を持つことができなかったけれど、さすがに15年も生きてくれば名前を呼ばれる機会も増えて、不思議なことに馴染んでくる。


 山村悠希、それが私の現在の名前だ。


 父親似で色白、そして鼻筋の通った顔はアセスの容姿ほど艶やかではないが、よくモテた。新鮮なことに、変態貴族から注目されるのではなく、女子から好まれる容姿であるらしい。


 高校一年生の春。 

 高校と言う新しい環境になると、色々な人から勧誘される。

 中学時代では極力人と深く関わらず、目立たないように過ごしてきたと言うのに、身を隠すには自分の身長は伸びすぎていた。


「いい体格しているねぇ。どうかバレー部へ」

「中学時代なんかやってた? バスケはどう?」


 この世界球技というスポーツを楽しむようで、中学の頃から体育でそういったチームプレーに参加させられた。


 高校生になる頃には身長180センチ近くになっていて、運動部の勧誘がうるさくて仕方がない。


「いえ、私ーー俺はずっと帰宅部だったんで、運動神経よくないです」

 一人称を私なんて言っていると、余計に目立つらしいので学校では少し喋り方を変えないといけなかった。


「そっかなぁ。かなり筋肉ついちゃっているけど、絶対なんかしてるでしょ?」


 鍛錬は日課なので、身体を鍛えることは怠っていない。

 けれど運動部などに所属したら、不意なことで封印した呪力を使ってしまうかもしれない。そもそも集団生活は苦手だった。


 高校一年のクラス前の廊下には、三年生が部活動に誘うためにひしめいている。

 チラシを巻く人、呼び止める人、無理矢理入部届を握らせてくる人、様々だ。


 早々に逃げようとしても難しく、案の定足止めされた私は、廊下で前方を4、5人に塞がれることになった。


「あ、お前もしかして三中の山村じゃないか? やっと部活する気になってくれたん?」


 誰だ?

 気安く話しかけてくる男がいるが、こちらは全く誰なのかわからない。

「ほらほら? 中学時代もこうやってチームに引っ張ろうとしたのに、覚えてないの?」


 全く。

 というか同じ生徒のことを、私はどうしても対等に思えなかった。


 ラーディオヌ一族の総帥として育てられた心底身についた選民意識があって、その他大勢の民のことはーー更に本音を言うと、彼らを足元を這う虫けらだと思ってしまっている。


 冷たい気持ちを隠すように、私は少しだけ口角を上げた。

「そうでしたか。身体が弱いので、高校でも運動部になんて入部できないですよ。はは」

 笑いは乾き切っている。

 下手くそな演技でも、この場を乗り越えるくらいの処世術は身に付けていた。


「そっかぁ、残念。でもさぁ。この学校絶対なんか部活入らないといけないんだけど、じゃあ文化部入るのか?」

「え……? 部活強制されるんですか?」


 初耳だった。


 私の持ち時間は7日程度だと言うのに、もうこの異世界に来て15年以上経つ。このまま爺さんになって寿命全うする人生ってわけではないはずだと思いたい。

 呑気に部活なんてしている気分ではなかった。


「そうなんですね……」

 一瞬落胆したが、それならば活動実態が少ない、目立たない文化部に入るのがいいだろうと諦める。


「茶道部はどうです? お菓子毎回食べれますし、似合いますよ」

「演劇部は? 男子少なくて困ってるんです」


 運動部の先輩たちが退いていくと、今度は文化部の人たちが集まってきた。


 拉致が開かない。


 私は詠唱を声に出さずに唇で言葉をなぞった。

 すると自分を取り巻く空間と、学生たちがいる空間にねじれが生まれる。


 私はそのねじれた空間に身を隠すようにして、一瞬で、人の波を左右に掻い潜って移動した。


 学校で呪術は極力行使したくはなかったが、背に腹は変えられない。


 動きは早く、人の目をくらます。

 きっと見破られはしないと自信があった。

 中学時代もこの方法で、なんとか厄介ごとを避けてきたのだ。


 3年生達が占拠する廊下を抜けて、階段の踊り場まで移動すると、私はやれやれとため息をついた。

 うまく逃げおおせたようだ。

 偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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