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人格形成は環境のせいで

こんばんは。


偽りの神々シリーズ。

急に一人称編を気楽に描きたくなって、

かといって番外編とか、もし他人の小説だったらあんまり興味もないだろうな、っておもんばかり、

物語を進行しながら、とりま徒然なるままに書こうかと思います。


お付き合いいただいていらっしゃる方、誠にありがとうございます。

基本このストーリーは、書きたいこと書いているので、日記的に読んでください。


        ※


 私は美しい。

 それはアルス大陸一の美女の忘れ形見として定評を得ている。


 おかげさまで、自覚なく自然と、とても美意識高く成長した。


 朝起きたらすぐ湯浴みをする。

 ヨースケという闇商人に言わせれば、それは朝シャンと言うらしい。

 ある程度の年齢になったら、朝シャンはハゲを進行するから、習慣にはするなと言われた。


 本当だろうか。

 真実なら恐ろしい。


 自分の湯浴みは、子供の頃から順番が決まっている。

 女官、という体のそこらかしこに凹凸がついた、母に似た女らしい女が、まず自分の髪の先に植物オイルを塗り、数分おいて栄養剤を塗りにきた。


 この作業、慣れてはいるが結構めんどくさい。

 眠い時はさっさと風呂に入って眠ってしまいたいのに、オイル、栄養剤、洗う、栄養剤、オイルという行程で朝風呂と夜の湯浴みがルーティーンとして繰り返される。


 朝はまあいいんだ。

 でも夜はそれなりに公務に疲れているから、私はたまに湯船に沈んでしまうときがあった。


 そんな時は気がつくと必ずベットに寝かされており、その横に女官の一人が侍っていた。

 母に似た女々した女体が近くにくると、相当鬱陶しい。


 ラーディオヌ一族の王族は高位の呪術師であることが望まれるから、髪を伸ばすことは義務のようなものだったが、手入れのめんどくささは日常の疎ましさだった。


「私の呪術の才覚は、史上最年少で天道士になるほどのものだ。本当に、髪の毛を長く伸ばす必要があるか?」

 日々、こんな七面倒くさい手入れとか必要なのか?


 眉間に皺を寄せ、漆黒の三白眼で睨んでしまう。

 だいいち湯浴みの度に、女官から出っ張った四肢を強めに押し付けられて不愉快だった。


 自分のお手つきになれば、ラーディア一族の子を産む皇妃として召し抱えられると、金と地位に目が眩んで出世欲を突き出してくる女達に辟易してしまう。


 女としてのボディラインを武器に迫ってくる女官に、私は恐怖すら覚えてしまった。


 (ボディライン)平坦でいい。

 押し付けてくる凹凸はいらないって。


 どうせ顔は、私よりも不細工だし。

 幼いくらいがいい。


 初めて星光の神殿で出会った少女を忘れられない自分は、母との過去も合間って、大人の女性には苦手意識がある。(決してロリコンではない)


 しかも私は、母に貞操を捧げるという歪んだ過去を持った男だから、大人の女がゲスい(怖い)としか思えなかった。


 あと私は子供の頃から、かなりの確率で誘拐された。


 ラーディオヌ一族の賢くはないが美しい母が産み落とした自分は、護衛も手薄だったので、よく外部の人間に拐われた。


 誘拐されるパターンは二つほどある。


 ラーディオヌ一族の王族、つまり王位継承権がある自分は高額な身代金目当てに狙われた。これは至極真っ当で、親が金を払ってくれたら、解放された。


 もう一つは、変態趣味の変わり種が相手だ。


 母はラーディオヌ一族の太母としてアルス大陸で名を馳せる美姫だったため、それを手に入れたくても手にできない輩、そいつらは性別が違うというのに、母の容姿を生き写しにした男の私に興味を持った。


 幼ければ性別などさほどの問題ではないらしく、その美貌、手にしてしまえばいい。

 こういった傲慢な輩が私を狙った。


 自分は変態を変態と思わないほど、彼らのことをどうでもいいと思ってしまった。


 萎える。(なえる)

 身体はもちろん、心が萎えた。


 とある貴族の当主は、私の身体と、私の顔に人の国の王国が買えるほどの高値をつけた。


 割と頑張ってきた自分の学識や呪術力なんてそっちのけで、見た目だけに一国を買い占めるだけの価値を、ーーたった一夜共に寝るために巨額の値段をつけてきた。


 ふうん。


 どうやら私は、高く売れるらしい。

 売り始めると買い手は幾重にも膨れ上がった。


 そんな時、サナレスがラーディオヌ邸を突然訪ねて、訳のわからないことを言い始めた。


「私は興味あるんだよな〜。あんたの生誕祭から、ずっとあんたに興味あるんだよ、アセス」


 最初こいつも、自分の容姿に興味を持ち、貴族の道楽で近づいてきたのかとヤブ睨んだが、彼はあえて、私のファーストネームだけを口にして、一族としての自分の立場を口にしなかった。


 眉唾で斜めに見てしまう。

 本心が心の中で声になる。


 うざっ。


 そうは思っていたけれど、自分が幼い頃に心惹かれて、ラーディアの生誕祭で再会した少女の兄であることを聞かされた。


 その上彼はラーディア一族の次期総帥という高位の立場であったから、無碍に追い返さずにいてしまったのだ。向こうのアドバンテージがすごい。


 それが、間違いだったのか。


 名目上、ラーディオヌとラーディア一族は兄弟氏族でありながら、氏族間に隔たるベミシロードは片道数刻かかる遠望にある位置関係だというのに、サナレスは十日に一度以上の頻度で、ラーディオヌ邸を訪ねてきた。


 この人、すごい勢いで距離を詰めてくる。

 最近じゃ、まるで私の友達であるかのように訪れてきた。


「あの〜、違っていたら否定してください」

 思い切って聞いてみた。

「あなた暇なんですか?」


 かなり失礼な質問かとは思ったけれど、自分に会いにきてくだらない話をするために半日以上の時間を浪費するのは、暇人だとしか思えなかった。


「ん〜〜」

 サナレスは鼻をかいて考え込んだ。

「たぶん、普通の人よりは暇じゃないと思うよ」

 そう言った。


 ですがね。

 次に自分が言いかけた言葉を予測するように、彼は説明してきた。


「ラーディアとラーディオヌ一族を行き来するには、平均2、3時間程度か。だがその移動時間、私は早馬で1時間程度で駆けてくる。最近はこの移動時間の短縮を実現するために、馬の足を早くする騎乗方法、そして馬の育成方法を研究している」


 絶句した。

「驚いただろう? 馬も人も食事療法でかなり体格を変えられるんだ」

 得意そうに言うが自分が驚いたのは、サナレスがいうそんなマニアックなことにではなかった。


 ラーディア一族というのは王族でも、馬に乗ったりするのか?

 付き人はいないのか?

 馬車は使わないのか?


 疑問符のオンパレードだった。

 偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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