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1話


                  1


 いつもの元気な声が飛び交う早朝での高校の校門の前で、生徒たちが朝の挨拶を交わす姿がある。


「おはよう咲彩」

「おう、おはよう莉子」



 大橋おおはし 咲彩さあや は高校3年生。

 身長は169cmで、女子としては高めだが、細身の体系だ。しかし、性格は

男前である。 男前であるが故に、女子に人気がある。

 顔が小さく、やや吊り目ではあるが、キリッとしていて、男女にモテる面持ちだ。 いや、モテてモテて、一時だが男子の告りは、週一の時期もあったほどだ。しかし、時折同性からの告白もあり、困っている。




 肩甲骨まで伸びた サラッサラの黒髪を揺らせ、友人である 高頭たかとう 莉子りこが挨拶してきた事に、さらっと返した。


 高頭たかとう 莉子りこ も高校3年生。 咲彩とは同級生である。

 凛々しくも、しとやかな顔立ちで、咲彩とはまた違った美形な面持ちで、これまた男子にモテる容姿・品性だ。

 この時期なのに、今でも男子からの告白が時々ある。



「咲彩、昨日帰って来た定期考査の出来具合どうだった?」

 その質問に、ニヤリとしたり顔をして返答をする。

「ふふん」

 と、不敵な笑みを見せた咲彩が、両手の十本の指から一本の指を折り曲げた数字を示した。

「お~! とうとうやったね咲彩。一桁って、初登場じゃない」

「イェイ! やったぜ! やってやったぜ、莉子」

 二人、ハイタッチで喜ぶ....が。

「で、莉子は?」

 言われた莉子が、奥ゆかしさをプラスして、返したのは、片手の指から2本折り曲げた状態だった。

「ゲッ!!  マジかぁ....、さすがだな莉子」

「うふふ、私もはじめてよ、トップスリーに入るのは」

「いつも万年4位だったからな」

「万年言うなぁ」

「あ!ごめ~ん。気ぃ悪くした? えへへ」


 高校3年も、大学受験の時期が迫ってきている時期だった。


 偏差値も順調に上がって来た咲彩は、莉子と一緒の大学に通学したいと言う、単純な意図で、勉学を頑張って来た。 周りの一部の女子は、この時期になっても、やれ 彼氏だ、恋愛だなどと、ほざいている。

 その女子に、目を覚ませ、この時期を我慢しろと言ってやっているのだが、目の前の恋愛ごっこにウツツを抜かしている人達には、糠に釘だった。


             ◇


 そのウツツを抜かさなかった咲彩と莉子は、見事に第一志望に合格。 春からの大学生活を迎える事に、別のウツツを抜かしている。

大事な時期を耐え忍び、乗り越えた自分たちへのご褒美だ。 そう思った。


「こんなキャンパスライフが送れるなんて、堪えた価値があったよ~」

「おい、無くな莉子。 ハズイぞ」

「いいじゃない、感動してるのよぉ....」

「そうだな。 恋愛を抑止よくししてきた価値が、今まさにコレで叶ったんだな」

「うんうん....」


 入学一週間目のとある日、学食でこんな会話をしていると、入口から三人の外見がそこそこの出で立ちの男子達が入って来た。

 その三人は、一度テーブル席に腰かけて、一人が一度周りを見渡した後、咲彩たちを見ると、同じ席の二人に声を掛けた後、少し話している。

 その後、何かが決まったのか、その中の一人が席を立ち、咲彩たちが座っている席に、近づいて来て、莉子に声を掛けてきた。


「ねえ君たち何年生?」

 躊躇なく聞いてくる雰囲気は、女子に慣れた感じがするが、イヤな感じではない。

 返事を莉子が言う。

「1年です」

 すると、微笑みながらまた問いかけてくる男子学生。


「そうなんだ。 少しは大学慣れた?」

 いきなりのナンパでは無い事に、咲彩と莉子は胸をなでおろしたが、それを見て何かを感じた男子学生は、今度は伺う様に聞いてくる。


「実は僕、あそこの二人と同じサークルなんだ。 S.Aサーチってのをやっていて、この近くのサービスエリア・道の駅などの、名物。名産、ご当地の食に関して、調べて学内に公表しているサークルなんだ。 どう?興味あるかな?」


 何と、ナンパでは無く、大学名物、サークルの勧誘だった。


 色々と、サークルの説明をしてくる男子生徒。 莉子はそれなりに聞いていたのだが、咲彩は全く興味が湧かないため、先輩相手に時々欠伸をしながらの、対応であった。


               △


 あまり興味を持たない咲彩に対し、莉子は高速道路をドライブしながらのS.Aのご当地の物産などをサーチして、その結果を校内広報で、掲示板にて、公表する。 その事に、興味を持った。

 その顔色を見て、男子生徒が気を良くしたのか、勧誘してきた。


「どう? お試しでもいいから、取りあえず、月に一度定期的に行っている移動に参加してみない?」

 この言葉に、莉子が靡いた。

「お、お試しってのなら、行ってもいいかな....」

「莉子! 入るの? サークル」

 莉子の浅い返事に、咲彩が釘を打つように言ったが、男子学生は咲彩にまで言い寄って来た。

「そっちの君も、良かったら今週末の土曜日だけど、日帰りで 道の駅 に行くんだけど、どうかな?」

 咲彩にも声を掛ける男子。 だがそこへ、今度は二人女子生徒が入って来た。

 その二人が、今言い寄っているこの男子に向かって歩いてきて、男子生徒に話しかける。


「優。 なに? サークルの勧誘してるの?」

「あ、茜か。うん、そうなんだが、この子は興味あるみたいなんだけど、こちらの女の子があまり乗り気じゃないみたいなんだ」

 そういって、優と呼ばれた男子生徒は、咲彩の方を一瞬見た。


 勧誘してきた男子生徒は 鈴木すずき すぐる 3回生で、S.A

サーチのリーダー。 身長は176cmで、ゆるフワな感じの男子である。


 香川かがわ あかね 同じく3回生で、同じS.Aサーチのメンバーだ。 清楚な容姿で、女子にしては身長が高く、165cmある。 人当たりは良く、他人の面倒見が良い事から、優のサポートをしている。 優とは付き合っていない。


 二人の会話の後、もう一人の女子生徒が咲彩と莉子に、話しかけてきた。


「こんにちは。 いきなりでゴメンね~。 この人こんなで....、あ、私は 沙耶、鈴川 沙耶って言うんだ。ココの2回生なの、よろしくね。で、私もこのもこの優さんと同じサークルなんだ。怪しいサークルじゃ無いのは、私たちが太鼓判を押すよ」


 鈴川すずかわ 沙耶さや 2回生で、S.Aサーチのメンバー。 

 気さくな性格で、カワイイ系だ。

「はぁ、そうなんですか。 でも今までに色んなサークルに勧誘されていて、いまだに決めかねているんですが、帰宅部も兼ねて検討しているんです」

「まあ、入る入らないは、本人の自由だから、決して強制はしないわ。 でもね、結構活動に縛られる事も無いから、普段は自由に出来るわよ」

 茜が説明した後、今度は優が補足する。

「活動は、月一回で、第2土曜日がメイン。 で、参加は自由。 遠出の場合は、宿泊費が出るけど、基本は月の会費は2千円で、後足りない分は、リーダーである僕がとりあえず払って、後に参加人数で折半って感じかな」

「何人が入ってるんですか?」

 莉子がサークルメンバーの人数を聞いてみる。

「全部で大体30人くらい。だけど、実際にはサークルの掛け持ちってのが半分くらいいるから、毎回の参加人数は10~15人ってとこかな」

 って答えた後、咲彩に対しの爆弾的な発言があった。

「でね。 地方って、とにかく、美味しい食べ物があるんだよね、コレが。 メディアなどで紹介されない、隠された美味しい物とか、オレ結構それらを探すのが楽しみな感じで、毎回ワクワクしてるんだ」

 この優のワーディングに、咲彩が食いついた。

「お、美味しい物....」

 コレを見て、茜が、さらに追及する。

「私も地方に行って、知られていない美味しいものがあると、テンション上がるわ~」

「ぐ!」

 追い打ちを掛けられた咲彩は、莉子に耳打ちする格好で、相談する。


「莉子。 こ、コレって何か楽しそうなサークルだな。 縛られる事も無いし、美味しい事もあるし」

「咲彩。それって、完全に胃袋を食べる前から、掴まされそうな言い方よ」

「そ、それでも、月一くらいなら都合つくし。 あと、会費もそんなに負担にならないし。コレは莉子と入るしかないな」

 語尾だけ聞き取れた茜が。

「じゃあ、二人とも入会決定ね」

 コレに莉子と咲彩は。

「「はい!!」

 と、勢いよく返事をした。


 その後、先ほどの男子学生二人も合流して、大テーブルに7人で掛けて、暫くサークルの詳細を紹介されて、これからの予定を咲彩・莉子共にスマホのリマインダーに入れ、連絡先を交換後、挨拶をしてから解散した。



           □ □ □



 この小説をお読み下さっている方々、ありがとうございます。


 この小説は、以前投稿した“結婚したい”の作中に登場している、杉本 咲彩の、学生時代からの話です。

 何故かこの 先輩OL咲彩の事が、結婚したい が終わってからも気になり、色々と構想を考え、何とか文章に立ち上げました。

 若干、取って付けたような文面になりますが、よろしかったら最後までお付き合いください。






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