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道具

 遠目で見かけたのは【妖術使いの小鬼(ゴブリンソーサラー)】、距離は木と木の間の7倍。

それらしく赤色に光る杖と宝玉を持っていて、別の何かと交戦中のようだ。魔方陣は視認できない、木が邪魔で距離を縮めるのは不可能…というより危険すぎる。


 相手は風を纏う狼【風狼(ふうろう)】で、状況はゴブリンの小隊が全滅から壊滅状態に移行しつつあるのに傷がついているもののまだ戦闘能力を喪失していない風狼が3体。

そうこうしているうちに弾幕と呼ぶには密度が薄い魔法攻撃が途切れて、隙をついて一気に狼が群れ全体で襲い掛かってきた!あっさりと杖もろともゴブリンの躰が食い千切られる。



 魔方陣の情報を盗むという当初の目的を果たせないまま望は這う這うの体で逃げ帰る。それでも気配を殺して繁みを避け身を隠しながら風下に向かって逃げるあたり、本能で見つからないように無意識のうちに行動しているのだろう。



その先にゴブリンのほかの部隊がいないとは言っていない。




5分後、ヘロヘロになった上半身しかない人間の姿があった。 逃げた先で更に別の集団に見つかって引き返そうとして挟み撃ちにあい、まだ逃げきれてないし体力も切れたけど立ち止まると死ぬ状況。今の状態の説明は以上だ。


『クソッタレ、どうすりゃいいんだよ!?速度で振り切ろうにも機動力で撒こうにも武装でタイマンするにしても何一つこちらに有利な要素は無し、周囲に使えそうなものは見当たらないし回収する余裕もない、お・・オワタ?』


『はっはっはっは、こん畜生、このピーーー(放送規制)(((以下略』


『一気に事態が急転直下して絶望と混沌に満ちることがあってたまるか!(厨二病再発)・・・あったわ、しかも最近。あの時は足損失したから生やせないかな思って・・』


 何か閃いた。足が無いなら生やせばいいと。




創造で補った足 《仮想脚》 として開発されたその魔法は、結界の一種で高度術式に区分される、偶然の産物ながら発展術式たるサモン術式に匹敵する複雑性が高い高度な魔法だ。複数個の不可視な魔法陣によって構成され、要素を書きだすのが面倒なのでここでは飛ばす。


お陰で速度が飛躍的に上昇・・・


しなかった。



全く慣れてないうちに竹馬に乗っているような感覚で転ぶ転ぶ。それでも少しずつ転倒する頻度が下がり、ゴブリンとの距離も縮まる一方だったのが増大に転じた。


成功だ。









 4時間に及ぶ逃走劇は終結に向かった。食べられそうな木の実を拾い食いして休んでいたのを除いて不休で走り続け、仮想脚による魔力消費からくる倦怠感を必死に抑え込んでいた望の体はもう限界を超えて酷使されて疲弊しきっていた。


――――――――

―――――――

――――――

 早朝から明け方にかけてのドタバタが終わった異世界生活2日目のお昼時。


睡眠の間隔が短すぎたため比較的早く起きてしまったのだが、そもそもまだこの世界に来て24時間も経っていない。



 いい加減に彼の紹介をしよう。以下に示す内容が望のステータスだ。


  身長:約175cm

  体重:約50kg

  視力:左右どちらも0.7

  性別:男(TSでもないのに書く必要あるのか?)

  年齢:16歳


これは召喚前。続けて、召喚後だ。


  身長:約90cm

  体重:約30kg

  視力:左右どちらも1.0+

  性別:男(特に変化はない)

  年齢:16歳


最後の2つは変化してないことを示すため。空間の狭間で視神経系および脳機能の一部が無理くり作り替えられた影響と下半身分の体積と質量が消え失せているので、ホルモンバランス的にまだ男のままであるということ・・・いや、“まだ”なんていうといつか性別が無性になりそうなので訂正しよう。精神構造及び肉体構造ホルモンバランス遺伝子戸籍(すでに意味ない)の全てにおいて彼は男の子である。時間的な異常もない、年齢が五億十六歳になっていたらそれは有名なアレだ。


 頭脳は理数特化型で興味のないことの暗記は苦手、本の虫なので国語もできる。興味がないことは覚えないのにサバイバル知識と技術・ミリタリー・ライトノベルには割と深い理解がある。精神力は一般的な人と比べてかなりある方、でなけりゃ発狂してる。体力は人並み。・・・人並?運動部には劣るが帰宅部級ではない。はず。(帰宅部)


 想像力は人一倍であるが、そのため軽度末期厨二病である。現実と妄想の区別はつくが、たまに呪文を考えてみたりすることがある。改善の見込みはない。魔法があるから厨二患者にはありがたい世界なのだが、あまり痛い呪文を考えすぎると精神にダメージを負ってしまう。黒歴史と言えば耳が痛いところで余裕で悶えてベットから転落するまである。だから彼は布団を使用していたのだがそれはどうでもいい。


 ぼっちでコミュニケーションはアドリブに弱く、そういう場合滑舌が悪くなる。今のところ問題はない、完全に孤独な現状では。あふれ出る塩水は気にしてはいけない。


宇宙マニアでSF好き、寝れば体調不良はたいていよくなる。


 手先は器用な方で、工作と読書が趣味。自己解析も得意で、たまに調子に乗ってしまうことを気にしているが、普段は慎重な性格。調子に乗った時に恥ずかしいエピソードが量産されるからだ。



「・・・武器、作ろ。」


 装備が何もなく素手で戦うのは身体的ハンディにより不可能とみて、望は武器の制作を決めた。材料が無くては何も始まらないので、まずは材料収集を始める。



タイマースタート、単調作業は体力・集中力・時間との戦いだ!!!


最初に行うのは小枝集め。落ちている小枝を拾い、木の枝を手折って両手に一杯の枝を集めたら拠点にしている洞窟に戻る。以下繰り返して一山を作って次の段階へ。


続いて洞窟内及び出入り口付近の小石を集める。こっちにも一山出来るまで延々とループする行動を送ることになる。


最後に蔦などの紐代用品を採集して、準備は完了。文章にすると短いが、各工程平均40分合計2時間(タイマーストップ時)の時間が過ぎ去っていた。



いよいよ装備制作だ。昨日覚えたばかりの魔法で火をおこし、石を熱して加工しやすくする。更にこれを自然冷却させて、それによる収縮で内部構造に亀裂を生じさせる。そんでもって(おもむろ)にすでに手に取れる程に冷めた石を振り上げて

「セイヤァアアァアアァアア!!!」

別の大きな石に叩き付ける。甲高い悲鳴を上げて砕け散った切片の中から刃先に使えそうなものを探し、脇に退()けておいて次の石を熱し―――たものがこちらに在ります。(3分クッキング感)種を明かせばまとめていくつか加熱しておいただけ。



「Sey,урааааааааа!!!」

ヤパーではない。ウラーと読む。英語とロシア語が混ざっているが勢いが大切なので気にしてはいけない。


こうして作った刃先を紐で木の棒の先に括り付ければ、ようやく打製石器の完成だ。



 ずらりと並んだ(試製)(Stone)(knife)(試製Sto)(ne spear)(試製St)(one axe)


これでようやく、戦える。

02/07 修正:ルビ

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